A型大動脈解離 エーガタダイドウミャクカイリ

初診に適した診療科目

A型大動脈解離はどんな病気?

大動脈解離とはDeBakey分類とStanford分類があり、今回はStanford分類のA型大動脈解離について説明します。A型大動脈解離とは大動脈のなかでも上行大動脈といった部位に解離がおよぶものを指します。上行大動脈は心臓に近く、解離が心臓まで及ぶと心タンポナーデを合併したり、大動脈から脳への動脈に解離が及んでしまったりと、一方のB型と比べて生存率が低く、治療としても緊急手術が適応されます。

主な症状

A型大動脈解離は胸や背中にいきなり硬いもので殴られた際に感じるような激痛が起こります。大動脈の解離の進行に伴って痛みは徐々に胸や背中の下へと移動しますが、ショック状態を呈することもあります。さらに症状が進行すると、脳が虚血状態に陥るために意識の消失や四肢の麻痺、臓器も虚血状態になるための腹痛や下血、イレウス、腎不全などを呈し、それらが壊死を始めるとごく短期間で死に至ります。

主な原因

A型大動脈解離とは、3層構造になっている大動脈の真ん中の層の膜が何らかの原因で別々に剥がれてしまうことをいいます。強烈な痛みをおぼえる患者が多く突然死の可能性もあります。検査は主に画像撮影で行われエコーが使われる場合もあります。A型の場合は他の動脈への血流の減少による脳死の危険があるため緊急手術が適用されることが多いです。

主な検査と診断

A型大動脈解離の検査方法は、胸部X線写真により、心陰影の拡大や胸腔内の浸出液溜まりの所見で確認できることがあります。ただしはっきりしない場合も多いので、造影剤を使用したCTスキャン検査やMRI検査を行うのが一般的です。解離腔が確認できれば大動脈解離に確定します。その際に解離が上方大動脈に及んでいる場合を、A型大動脈解離とします。

主な治療方法

急性期のスタンフォードA型大動脈解離に対する治療法は緊急手術が基本になります。発症から1時間当たり1~2%ずつ致死率が上昇していき、手術を行わなければ極めて予後不良です。エントリーを含んだ部分の人工血管置換術を速やかに行います。慢性期の治療としては、再解離と破裂の予防を目標としてβ遮断薬などによる厳重な血圧管理を行います。