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歯周病治せば肝炎・糖尿病も改善

医療ニュース
今回のホームページ制作に役立つコンテンツは、11月15日(日)日経新聞に掲載の「歯周病治せば肝炎糖尿病も改善 」をご紹介させて頂きます。

歯がグラグラして最終的には抜けてしまう歯周病は、成人の多くが患っている炎症性の病気で、虫歯と並ぶ歯科の二大疾患ですが、影響は口腔内にとどまりません。肝臓病や心臓病、糖尿病など全身の疾患とも密接に関係していることが分かってきています。
 

歯周病とは】

歯と歯茎の間に細菌の塊である歯垢や歯石がたまり、細菌感染を引き起こします。この結果、歯の周りに炎症が起こります。
初期は歯茎が腫れる歯肉炎、進行すると歯を支える骨が破壊される歯周病と呼ばれます。軽い症状まで含めると日本人の成人の8割が歯周病にかかっています。自覚症状がないまま進行し、放置すると歯が抜け落ちてしまい、さらにその影響は全身に及びます。
歯周病は中年以降に多い病気と思われがちですが、「侵襲性歯周炎」と呼ばれる、 若い世代でも発症するタイプもあります。「侵襲性歯周炎」は細菌感染で起こるのは通常と変わりませんが、家族内で発症するなどの特徴から「遺伝が関係している」と言われています。

【歯周病の主な予防・治療法】
■ 自宅などで
・食後の歯磨き。特に就寝前は忘れずに
・禁煙
・歯間ブラシ、歯間に高圧の水をかける器具などで口腔内を清潔に

■ 歯科医院で
・歯石の除去
・局所麻酔で表層に出ていない歯の部分の歯周病菌を除去する
・薬で歯周病菌を死滅させる

歯周病が関わると思われる疾患】
脂肪肝炎
・心臓病
糖尿病
慢性腎臓病
誤嚥性肺炎
早産低体重児出産
骨粗しょう症 など…

 

歯周病と脂肪肝炎】

肥満などが原因で発症する「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」で、食事療法や薬物療法によっても症状が改善しない患者が、歯周病の治療を行い、口の中の状態が改善すると、「ALT」という肝機能を示す数値がほぼ正常値まで下がる例があります。
歯周病菌が血液中にしみ出して全身を巡り、肝臓に届いて炎症を起こしていたものが、歯周病の改善でこうした症状が抑えられたと考えられています。

このため、20歳以上で非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と歯周病を患い、食事療法と薬物が効かない200人を対象に年内にも医師主導の臨床試験(治験)が始まる予定です。歯科医の歯磨き指導、歯についた歯石除去、症状が進んだ人では、歯茎を局所麻酔して歯根と呼ばれる歯茎で隠れた部分に付着した歯周病菌を除去することによって肝機能が改善するか詳しく調べます。
 

歯周病糖尿病

糖尿病の人は歯周病にかかりやすく、歯周病の人は糖尿病が重症化しやすい。相互に関係していると言われています。
米国の研究では、生活習慣などから発症する2型糖尿病の患者は糖尿病でない人に比べ、歯周病が重症化するリスクが1.5〜3倍程度高い結果が出ています。糖尿病患者は病原体などから身を守る免疫の働きが低下しており、炎症による組織の破壊が進みやすいことがその理由とされています。
 また、歯周病菌から出される毒素が血管内に入ると、炎症性物質がつくられ、インスリンができにくくなり血糖値が上がることも分かっています。そのため、歯周病の治療によって、インスリンの作用を阻害する炎症性物質の血中濃度が減少するため、薬や食事のコントロールをしても血糖値が下がらない患者が、歯医者に行くと症状が改善することもあります。


歯周病は全身疾患とも密接に関係しています。歯周病の予防・治療が他の病気を防いだり、症状改善につながることもあります。「歯周病は口の病気」だと甘く見ずに、しっかり予防・治療をしましょう!