肺炭疽 ハイタンソ

初診に適した診療科目

肺炭疽はどんな病気?

炭疽は食品摂取や飲み物摂取による腸炭疽、皮膚の傷口から侵入する皮膚炭疽、呼吸器を経由する肺炭疽に分けられます。炭疽発症時治療を行わなかった場合腸炭疽で25~60%、皮膚炭疽で20%、肺炭疽でほぼ100%の致死率です。肺炭疽の潜伏期間は1~7日で初期には風邪の様な症状を呈し、その後呼吸困難やチアノーゼから胸部X腺で縦隔拡大が認められた場合は疑われます。

主な症状

肺炭疽症は、炭疽菌が空気とともに肺に吸入された場合に発症し、感染初期の数日間は風邪やインフルエンザに似た症状を示します。その後、肺炎と重度の呼吸不全を生じます。診断の遅れを防ぎ転帰を良好にするため、肺炭疽と他の一般的な呼吸器疾患を区別することが重要になります。未治療での致死率は92%ですが、初期治療が行われた場合の致死率は45%です。

主な原因

肺炭疽とは野生動物の感染症の原因となる炭疽菌を空気と一緒に吸い込んでしまうことで発症する。炭疽菌は土壌に生息したり、ヒツジなどの体毛に芽胞の形で付着しています。土壌から感染することはないとされており、感染動物に接触したときなどに感染してしまうことが主な原因とされています。自然感染で発症することはほとんどないと考えられています。

主な検査と診断

肺炭疽であるかどうかの検査方法は、検体からの炭疽菌の分離同定を行います。検体のグラム染色を行ってグラム陽性芽胞形成性の桿菌かどうかを調べたり、寒天培地上での特徴的なコロニー形成の有無について調べたり、血液寒天培地での様子などからも判断します。また、ガンマファージテスト、バールテスト、アスコリーテスト等を行って調べる方法もあります。

主な治療方法

肺炭疽の治療法は、抗生物質の静脈内投与です。人工呼吸器を併せて使用することもあります。感染してからできるだけ早期に治療を行うことが、死亡を防ぐために最も重要です。早期に治療が行えなかった場合、抗生物質が炭疽菌を死滅させても、体内には炭疽菌が産出した毒素が残ります。毒素に対して唯一有効な薬物は炭疽ワクチンですが、ほとんどがまだ臨床試験中や認可申請中の段階です。