出血傾向(小児) シュッケツケイコウ ショウニ

初診に適した診療科目

出血傾向(小児)はどんな病気?

出血傾向とは軽い刺激で出血しやすい、あるいは出血の際に血が止まりにくい状態を指します。
血液中にある血小板や血液を固まらせる働きをする凝固因子は出血が起きたときにそれを止める機能を持っています。しかしこれらが何らかの理由でうまく働かなくなると出血傾向を引き起こします。

出血傾向との主な原因は疾患や医薬品によるものもあり、症状も軽い場合もあれば外傷などの明らかなきっかけがないのに出血するようなケースもあり、出血を放置すればショック状態を引き起こし場合によっては死に至ることもあります。

出血傾向は体のさまざまな部位で出血が起こる可能性があります。出血しやすい、血が止まりにくいなどの代表的な症状の他には青あざ、鼻血、歯ぐきからの出血、皮下出血などがあります。また、消化器官と関連する症状としては吐血、下血、黒色があります。

出血傾向の人がけがをするとそれほど大きなけがでなくても血が止まらないため重篤な事態につながりかねません。

主な症状

出血傾向においては手足に青あざができやすい、鼻血が出やすいなどの症状が見られたら、早めに血液検査を受けて、自分がこの状態であるかを確認することが望ましいです。

その他にも胃や腸などの消化管からの出血では吐血、下血、黒色便が主な症状で、同時に血便や腹痛、腹部膨満感があったり、吐血前に食欲不振や吐き気などの症状も見られます。

腎臓や尿管、膀胱などからの出血では血尿を主な症状として、頻尿、排尿時の痛み、下腹部痛などを同時に引き起こします。その他頭蓋内出血による吐気、めまい、激しい頭痛、項部硬直、意識障害、麻痺、視力障害、感覚障害、眼底出血による目のかすみ、関節内出血による関節の変形や腫れ、痛みなど、出血傾向は全身の出血に関わり、さまざまな症状を引き起こします。

出血傾向は発見しにくい疾患としても知られています。挙げたような明らかな症状で気が付くこともあれば、手術中に血が止まらずその時に初めて発見されることもあります。

主な原因

出血傾向は血を固めるのに必要な成分である血小板の減少や異常のほか、遺伝や肝臓の病気、高齢化による血管の異常などが原因となります。
血小板、凝固因子、血管のいずれかに問題があることが多いです。

中でも血小板に関わる疾患は、再生不良貧血、急性白血病、骨髄異形成症候群などを代表とする血液疾患やがんの骨髄転移、特発性血小板減少性紫斑病・全身性エリテマトーデスなどが代表的です。
血小板がうまく作られなくなる疾患や、造られた血小板が壊されてしまう疾患などがあります。また、生まれつき血小板がうまく働かない血小板無力症などの疾患も原因となります。

次に凝固因子に関わる疾患としては血友病が挙げられます。これは生まれつき血液の凝固因子がうまく働かない疾患ですが、他の疾患の治療で抗凝固薬を使用したことで凝固因子の働きが悪くなってしまうケースもあります。


また、血管に関わる疾患には凝固因老人性紫斑、クッシング病などが挙げられます。  

主な検査と診断

出血傾向が疑われる場合には最初に行われるのが血液検査です。これによって血小板、凝固因子の数を確認でき、出血による貧血、出血時間など異常値がないかも確認します。
出血時間の基準値は1~5分となっています。

出血している状態とは、血が出ている、皮下出血を起こしているなどいずれも血管から外へ血液が流れ出ている状態を表します。
出血を止める働きは血管や血小板など小さな細胞が関わる一次止血と、凝固因子が関わる二次止血に大きく分類されます。

血液検査ではフィブリノゲン・フィブリン分解産物と呼ばれる物質の数値も確認します。
この物質は出血が止まり傷ついた血管が修復されると小さく分解される物質です。高い値を示しているときには血栓の存在が疑われるため注意が必要です。

また、診断において早期に治療を開始するためには手足の点状出血、青あざ、鼻血、皮下出血、過多月経、歯ぐきからの出血などの症状をいち早く発見することも大切です。

主な治療方法

出血傾向の治療は必要に応じて血小板、凝固因子など不足している成分を補充したり、何らかの疾患が原因となる場合にはその疾患の治療が行われます。
再生不良性貧血や急性白血病などの治療には血液内科専門医による専門的な治療が必要です。急な出血によりショック状態を起こしている場合には輸血を行うなど症状に合わせた治療が行われます。

また、血液をサラサラにするワルファリンは、内服量や他の医薬品との飲み合わせによって出血傾向が起こりやすくなる場合があります。出血傾向が見られたら医師や薬剤師に相談の上、内服量を調整しながら使用します。他の疾患の治療のためにワルファリンを内服しているときに出血が大量に起こると命に係わる危険があります。この場合、ワルファリンの効果を打ち消してくれるビタミンKの投与が行われます。

日常的にワルファリンのような抗凝固剤、抗血小板剤を使用している方は小さなケガにも注意が必要です。突然の事故など緊急を要する場合にも服用している薬が分かるように、出かける際にはお薬手帳などを持ち歩く習慣があるとよいでしょう。