食物アレルギーはどんな病気?

食物アレルギーは食べ物が含む主にたんぱく質を外敵と誤って認識し、激しく反応して自分自身の体を傷めてしまうものです。
免疫の機能が深く関連しており、食中毒や食あたりでなどとは全く異なるものです。
食物を口から体内に取り込むだけでなく、皮膚に付着したり、吸い込んだりすることでも症状が現れます。
原因となる食品として代表的なものは鶏卵や牛乳、小麦などが挙げられます。アレルギー症状として最も典型的な症状は蕁麻疹などの皮膚症状です。
その他にも下痢や喘鳴など全身に症状が現れるナフィラキシーを引き起こすこともあります。重篤なアナフィラキシーショックの場合、意識障害や血圧低下が起こり、死に至る場合もあります。

小児では1歳未満に約10%ほどアレルギー体質が見られますが、5歳頃になると2%台半ばまで減少するとされています。食物アレルギーに対して現在のところ特効薬は存在しません。
原因となる食物を特定し、原因となる食べ物を除去した食生活を送り、食物経口免疫療法などを用いて徐々に原因食物を食べられるようにしていく方法が一般的です。

主な症状

食物アレルギーを発症すると、じんましん、湿疹、紅斑、かゆみなどの症状が皮膚に現れることが多いです。
また目の充血、息苦しさのほか、嘔吐や腹痛、意識障害、口の中の腫れや違和感、頭痛など様々な症状を引き起こします。
大きく分類すると皮膚症状、呼吸器症状、粘膜症状があり、皮膚症状は全体の約7割、呼吸器症状、粘膜症状は全体の約3割に現れるとされています。
多くは原因となる食品を摂取してから数分~数時間以内にこれらの症状が現れます。
またこれらの症状が全身に一気に現れるものをアナフィラキシーと呼び、アナフィラキシーショックは血圧低下、意識障害、呼吸困難などを引き起こす重篤な状態と言えます。
原因となる食物を摂取した後に運動をすることで引き起こされる食物依存性運動誘発アナフィラキシーと呼ばれる特殊な例もあります。

食物アレルギーを含むアレルギー疾患は大人よりも子どもに多くみられ小児期に発症するケースが多いとされてます。

主な原因

食物アレルギーは、特定の食べ物に含まれるアレルゲンに対し、免疫機能が過剰に反応する免疫異常が原因となって発症します。
食物を体が異物と認識してしまう詳しいメカニズムは解明されていない部分も多いものの、通常免疫が過度に反応しないように制御されているものが、何らかの原因で免疫機能や消化吸収機能に問題が起きるために発症するとされています。
また、食物アレルギーの患者は免疫の不調によって、喘息やアトピー性皮膚炎を患っていることが多いのも特徴です。
アレルギーの原因となるたんぱく質は、牛乳や鶏卵、小麦と身近な食品に潜んでいます。その他にもそば、かに、えび、落花生などが原因となることも多いです。
上記の7つの食物はアレルギーを発症するケースが多く、重篤な症状を引き起こすケースが多いため食品に使用する場合の表示が義務付けられています。
食物アレルゲンは口から摂取する以外にも吸入、皮膚接触、注射などの経路によって発症することもあります。

主な検査と診断

食物アレルギーの診断は、問診、血液検査、皮膚検査などによって行われます。
問診では、どんな食事を食べ、どのような症状が出たかを把握することが重要です。食物アレルギーを疑うような症状が出た場合は、食べたものと症状をメモしておくと医療機関を受診する際に役立ちます。
特に疑わしい食物については、食べた量、食べてから症状が現れるまでの時間、過去に同様の症状があったかどうかなども診断に役立ちます。
問診により原因となる食物がある程度推察されれば、血液検査や皮膚テストを行い、その食物に対する免疫物質である抗原特異的IgEの数値を測定します。
皮膚テストは原因となる食物の液を皮膚に垂らし、針で刺して反応を見る検査です。これらの結果から原因となる食べ物を特定します。

また確定診断のためには原因物質を直接食べて症状を確認する必要があるため、食物経口負荷試験と呼ばれる試験が行われますが、これにはアナフィラキシーなどのリスクもあるため専門の医療機関で行われます。

主な治療方法

食物アレルギーの治療は、まずは原因食材を食事から除去することから始まります。
これはその食物でアレルギーの症状が出なくなるまで続ける必要があります。血液検査などを行い、アレルギー症状が出ないかどうかを負荷試験で確かめます。
負荷試験を行うことでアレルギー食物どのくらい食べても大丈夫か、事前に知ることができ未然に事故を防ぐことができます。
摂取する量を段階的に引き上げて限界量を探ります。

食物アレルギーの症状が出た場合は抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、ステロイド薬、エピネフリンなどを使用して、アレルギー症状を軽減する方法が一般的です。
食べて克服する治療法としては、免疫克服療法が挙げられます。
この療法は、食物アレルギーを起こす食物を限界量を大幅に下回る量から食べ続ける方法です。
入院によって行われたり、症状が軽い場合にはは自宅で試すこともあります。この方法はまれに急性の症状が現れる場合もあるため必ず医師の指導の下で実施します。

食物アレルギーの初診に適した診療科目