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動悸や息切れ " 肺高血圧症 " かも…手術・薬で血管広げ治療

医療ニュース
今回のホームページ制作に役立つコンテンツは、4月10日(金)日経らいふプラスに掲載の「動悸や息切れ " 肺高血圧症 " かも…手術・薬で血管広げ治療 」をご紹介させて頂きます。


高血圧は体によくないことが知られていますが、心臓から肺に血液を送る肺動脈の血圧が上がる「肺高血圧症」も、息切れや心不全などを引き起こす難しい病気の 一つです。肺動脈の内側が狭まったり、血栓(血の塊)によってふさがったりして発症します。詳しい原因はよくわかっていません。

 

通常の高血圧肺高血圧症

肺高血圧症は通常の高血圧とは関係ない。高血圧の有無と肺高血圧症の発症しやすさとの間には関連もみられない」と、神戸大学の中山和彦特命助教は説明しています。
日本人の多くが発症する通常の高血圧は全身の血管に大きな圧力がかかっている状態で、塩分の取り過ぎなど生活習慣が影響していると考えられています。
これに対し、患者が少ない肺高血圧症は肺動脈の細い血管が何らかの原因で狭くなるなどして圧力が高い状態になります。家庭にある血圧計などでは測れず、超音波診断装置や血管内を通す細い管(カテーテル)を使って測ります。

 

肺高血圧症の主な症状

疲れやすくなるほか、動悸(どうき)や息切れ失神などが起こります。
初期は階段を上るなど体を動かしたときに症状が現れるものの、安静時は普通に過ごせます。病状が進むと心不全になり、安静時でも症状が出てきます。

但し、このような症状が出て受診しても、「最初は風邪ぜんそくなどとと診断され、診断が確定するのに1年かかることもある」と、国立循環器病研究センターの大郷剛医長は解説します。また、肺高血圧症の患者らでつくるNPO法人、PAHの会(神奈川県大和市)の村上紀子理事長は「発症後に専門の医師に診てもらうまで平均で3年半もかかっている実態がわかった」と話しています。
肺高血圧症の専門家が少ないことなどが影響しているとみられます。

 

肺高血圧症が起こる仕組み

1. 肺の血管が狭くなる
2. 血液が血管を流れにくくなる
3. 肺動脈の血圧が上昇する
4. 心臓の右心室が拡張し、機能が低下する

 

肺高血圧症の主な5タイプとその原因

1. 慢性血栓塞栓症 / 肺に血管が詰まることで起きる
2. 肺動脈性 / 膠原病などの病気に伴って発症する。遺伝性や原因がはっきりしない突発性もある
3. 心疾患に伴うタイプ / 心臓弁膜症などが原因になる
4. 肺疾患に伴うタイプ / 慢性腸閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎などが原因になる
5. 詳細不明な多因子のメカニズムに伴うタイプ / いずれにも分類できな原因不明なもの

代表的なのが血栓が肺動脈にできる「慢性血栓塞栓性肺高血圧症」(CTEPH)と、肺動脈の内側の壁が狭くなる「肺動脈性肺高血圧症」(PAH)で、国内の患者数は2タイプの合計で約4000人と推定されています。

 

肺高血圧症の治療

手術や薬物療法などがありますが、5つのタイプにより、治療法も異なります。

約20~30年前までは5年後の生存率が4割程度にとどまっていましたが、その後、効き目の高い薬が出てきたことで今では9割程度に高まっています。(大郷医長)
専門家が少ないため正確な診断が現在の課題ですが、このように肺高血圧症は薬や手術などの進化で治療成績は上がっており、専門家は「なるべく早く病気を確定診断し、治療を始めることが重要だ」と指摘しています。
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