ⅲ型完全大血管転位症はどんな病気?

大動脈と肺動脈が入れ替わり、右室から大動脈が、左室から肺動脈が起始する先天性心疾患を完全大血管転位症と言います。合併症によりⅠ~Ⅲ型に分けられ、ⅲ型完全大血管転位症は、心室中隔欠損が存在し、肺動脈弁狭窄が見られるタイプです。肺動脈弁狭窄が重い場合、肺血流量が減少することで左室から大動脈へのシャントが少なくなり、チアノーゼを呈します。他の型に比べると予後は良好です。

ⅲ型完全大血管転位症の主な症状は?

ⅲ型完全大血管転位症では、大動脈と肺動脈が入れ替わり、心室中隔欠損と肺動脈弁狭窄が存在することにより、チアノーゼ、多呼吸、呼吸困難などの症状を呈します。心室中隔欠損が存在すると左室から大動脈へのシャントが形成され、肺動脈弁狭窄の存在は肺血流量減少、左室へ戻ってくる血液量の減少を引き起こします。その結果、シャントを流れる血液量も減少し、先に述べたような症状を呈するのです。

ⅲ型完全大血管転位症の主な原因は?

ⅲ型完全大血管転位症の原因として、生まれつきという先天的なものです。大動脈と肺静脈がひっくり返っているために、母親の体内から生まれた時からチアノーゼがあります。原因と特定するためには、胸の部分のレントゲンを撮影したり、心臓のエコーをとったりしますが、確定するためには心臓カテーテルを行わなければ、はっきりしたことはわかりません。

ⅲ型完全大血管転位症の主な検査と診断方法は?

ⅲ型完全大血管転位症の検査方法は、胸部X線検査、心電図検査、心エコー、心カテーテル検査が一般的です。ⅲ型完全大血管転位症の場合、心陰影は心基部が細くなり、心突部が下向きの卵のような形状を示します。心電図検査で右室肥大時にTGAと診断可能です。心エコーにより、右室から大動脈が、左室から肺動脈の出現を確認出来ます。TGAの場合は、血液ガス分析によって、大動脈の酸素濃度減少を確認出来ます。

ⅲ型完全大血管転位症の主な治療方法は?

ⅲ型完全大血管転位症の主な治療法としては、手術が一般的です。この手術では大血管を理想的な位置に移動させることが必要です。又、動静脈血が混合する場合は、その穴を閉鎖し、最適な手術のタイミングを見計らい処置が行われる事になります。そして、肺動脈に問題があり、大血管を移動させる手術が困難な場合は、人工的な血管や血液を入れ替える処置を施し、血液を万遍なく全身へ巡回させます。

ⅲ型完全大血管転位症の初診に適した診療科目