遅発性ジスキネジーはどんな病気?
遅発性ジスキネジーとは、抗精神病薬などのドパミン拮抗薬の長期投与に伴って、遅発性の副作用として出現する症状です。不随意的な運動障害の一種で重度の場合には常同的な不随意運動へと進展します。多くみられる特徴として、口をもぐもぐさせるような運動があります。身体のどの部分にも出現し、嚥下や呼吸に影響することもあります。正確な発生機序は不明であり、原因薬物の漸減や中止以外の有効な治療法も確立されていません。
主な症状
遅発性ジスキネジーの特徴的な症状は、反復性があり、不随意で目的のない動作です。例えば、顔を歪める、舌を動かす、唇を鳴らす、口をすぼませる、過度のまばたきがこのような動作です。四肢や胴、指にも早い不随意運動が生じることがあり、脚に発症して歩行が困難、または不可能なほど影響するケースもあります。動くことが困難なパーキンソン病の患者とは逆に、遅発性ジスキネジーの患者は動かないことが困難です。
主な原因
遅発性ジスキネジーは抗精神病薬を服用することによる副作用がその原因です。抗精神病薬を長期間にわたって服用した場合や、必要量以上の処方がなされたことによって大量服薬状態となった場合などにその症状が現れます。抗精神病薬以外にもパーキンソン病の治療薬、抗ヒスタミン剤、胃腸薬または血圧を下げる薬を服用することが原因となることがあります。
主な検査と診断
遅発性ジスキネジーの有効な検査方法は存在しません。検査で重要となるのは、他の疾患との鑑別の為の所見です。この病態を診断するには、臨床症状から判断する必要がありますが、遅発性ジスキネジーを疑った場合、不随意運動が発現する全ての疾患が鑑別対象になります。他の器質的疾患との鑑別はそれほど困難ではありません。精神疾患に伴う症状との鑑別もしくは、正常な口唇ジスキネジアとの鑑別が問題となります。
主な治療方法
遅発性ジスキネジーを発症した時の治療法として、まず最初に試みられるのは、発症原因とみられる薬剤の服用を患者に中止させることです。薬剤を中止することで患者に出る不利益が大きい場合は、使用薬剤の減量や、同様の効果を持つ他の薬剤への変更を試みます。また、治療に有効とみられる場合は、ビタミンEやボツリヌス菌の毒素の投与を行います。
遅発性ジスキネジーの初診に適した診療科目