顔面けいれん ガンメンケイレン

初診に適した診療科目

顔面けいれんはどんな病気?

顔面けいれんは何もしていないときに片方のまぶたがぴくぴくとけいれんすることから始まる病気です。
自分の意思とは関係なく顔の半分にけいれんが起こり、奥は目の周辺から始まって口元へと症状が広がります。
はじめは一時的にけいれんが起こり、徐々にけいれんする時間は長くなり場合によっては寝ているときにも起こったり、1日中起こることもあります。

軽度のけいれんは珍しいことではなく、疲れが原因となってまぶたがぴくぴくと動くこともありますがこれは顔面けいれんとは異なるものです。

顔面の神経が血管に圧迫されることで起こります。命に関わる疾患ではないものの、自分の意思に反して顔面が動くため対人関係や仕事面で日常生活に支障を来すケースもあります。
また、運転や機械の操作など片目が見にくい状態では実際に不自由を感じる場面も多くあります。

治療を希望する際には神経への血管の接触を解除する手術や、対処療法によって治療という選択肢があります。

主な症状

顔面けいれんでは、多くの場合顔の片側がけいれんします。
自分の意志と関係なく顔面の筋肉が動き、特に目のまわりの筋肉、頬、口まわりの筋肉は頻繁にけいれんが起こる部位です。目の周辺からはじまり、次第に頬から口元までがピクピク動くようになってきます。症状が進行すると首筋や耳、額までけいれんが広がることもあります。また緊張するとけいれんが強くなります。中高年の女性に多くみられます。

ほとんどは数日で自然に治りますが、一部の方ではけいれんがいつまでも続く場合もあります。
健康には影響をきたさないものの他人の目が気になったりすることからストレスを感じやすく、うつ症状につながる可能性もあります。


まず疲労がたまったときなどに症状が現れるようになり、徐々に頻度が高くなったり継続する時間が長くなるなどの変化もあります。
特にストレスや疲労、緊張、睡眠不足、カフェインの摂取などでも頻度が増えるとされています。就寝中にけいれんが起こることも珍しくありません。

主な原因

顔面けいれんは顔面神経が血管、腫瘍などによって圧迫され、神経興奮が続くために発症すると考えられています。
中でも多いとされているのが、頭蓋内の血管が神経を圧迫しているパターンです。その他にも動脈瘤、くも膜などが神経を圧迫する原因となっている場合もあります。

顔面の神経が物理的な圧迫を受けると、神経は不意な刺激を受けます。その結果、意思と関係のない動きが顔面の筋肉に現れます。

顔面けいれんは疲れ目との区別が難しく、診断がしにくいという特徴もあります。眼をぎゅっと強く閉じてからぱっと開いたり、口元を横にぐっと引き延ばしたときにまぶたの下にけいれんが誘発されるのが顔面けいれんの特徴です。

手術によって原因が取り除かれればほとんどの場合は1週間から10日ほどで回復し退院もできます。まれに手術で神経への圧迫を取り除いてもけいれんがすぐには収まらないケースもあり、長ければ改善するまでに1年以上かかるケースもあります。

主な検査と診断

顔面けいれんは問診と、視診によって診断がくだされます。
目を強く閉じてからぱっと開いたり、口角を横に引きのばすなどけいれんを誘発する動きによって実際に顔面が動いている状態を確認することが重要です。

さらに必要に応じて顔面の筋電図検査、MRI、MRA、血管造影検査が行われます。
腫瘍などによるけいれんが疑われる場合には頭部MRI検査によって腫瘍の有無、動脈瘤の有無、顔面神経に接触している血管がないかも確認します。
ほとんどは血管が神経を圧迫しているケースです。さらに詳しく情報を調べたい場合には脳波の検査なども行われます。

初期の段階ではまぶたのけいれんである眼瞼けいれんと症状が似ている為診断がしにくい場合があります。1回の診察で判断できない場合は日を改めて再度診察を行う場合もあります。その他症状が似ている疾患には眼瞼ミオキミア、チック、顔面麻痺に伴う顔面の病的共同運動などが挙げられます。

検査の段階でなるべく詳しい情報が得られると、その後の治療方針を決定するためにも役立ちます。

主な治療方法

顔面けいれんの治療は手術かボツリヌス毒素療法の、二つの選択肢があります。
健康に影響を来していない場合も多く、治療が行われるかは患者の希望や状況によって判断が必要です。
治療が必要である場合には症状や原因なども加味しながらどちらかの治療法が選択されます。

まず手術による治療では、顔面神経を圧迫している原因を取り除き圧迫を解除するために微小血管神経減圧術という方法が用いられます。
また、脳腫瘍や動脈瘤等が原因の場合はごくまれですが、その場合にはそれぞれに適した治療法が採用されます。

ボツリヌス毒素療法とはけいれんを止める目的ではなく、顔の筋肉を麻痺させることでけいれんがないように見せる治療法です。
患者さんはけいれんの動きを感じている状態でも、周囲には動きとして現れません。

顔の感覚を麻痺・消失させる方法なため、口の中を噛んでしまう、感覚が戻らなくなるといったデメリットもあります。
また効果は一時的なため、症状が戻った場合には再度治療を行う必要があります。