ボツリヌス食中毒 ボツリヌスショクチュウドク

初診に適した診療科目

ボツリヌス食中毒はどんな病気?

ボツリヌス食中毒は、ボツリヌス菌が食品中で増加し、ボツリヌス菌が生産した毒素を食品とともに摂取することで起きる食中毒です。潜伏期間は、食品を摂取してから8~36時間後です。毒素はおもに小腸で吸収されてから血液中に入ります。その後、神経や筋肉にまで毒素が及び、胃腸炎症状だけでなく、様々な症状を引き起こします。潜伏期間が短いこともあり、致死率が非常に高い食中毒といえます。

主な症状

ボツリヌス食中毒は一般的に、汚染食品摂取後、8時間から36時間以内に、下痢、腹痛、嘔吐など胃腸炎症状があらわれます。その後ボツリヌス毒素による神経症麻痺へと進み、めまい、頭痛、視力低下、かすみ目、複視、対光反射の遅延欠如など眼の状態の変化や、口の渇き、発語障害嚥下障害などの咽頭部の異常が見られます。次第に四肢の麻痺や、呼吸困難になるので、迅速な対応が必要です。

主な原因

ボツリヌス食中毒の原因は、食品中に増殖したボツリヌス菌が産出した毒素を食品とともに食べてしまうことです。ボツリヌス菌はA~G型までの強力な神経毒素をつくりだすため、汚染された食品の摂取は致命的となるのです。ただし、神経麻痺症状はボツリヌス菌毒素によるものですが、初期の下痢や嘔吐はトリメチルアミンによる非特異的な胃腸炎症状です。

主な検査と診断

ボツリヌス食中毒の検査方法は、患者の血液、糞便、浣腸回収液、喫食残品、原料、関係食品、調理上の下水や排水溝内の泥、患者の吐物や胃洗浄液などを採取し、検体からボツリヌス菌・ボツリヌス毒素の分離検出を行うことが標準的なものです。なお、検体の取り扱いは、毒素や芽胞による周囲の汚染に対し、十分な注意を払い、採取後、乾燥や高温を避け、速やかに冷蔵される。

主な治療方法

ボツリヌス食中毒になってしまった場合の治療法として、毒素を中和することのできる抗体はウマの血清だけとなっています。さまざまな型ごとの抗体が用意されています。発症後、24時間のうちに抗体を投与することが基本ですが、近年、研究により24時間を過ぎても効果が見られることがわかってきました。なお、小児が中毒になった場合、致死率が低いため、一般的には抗体は使われません。