インフルエンザ菌感染症

初診に適した診療科目

インフルエンザ菌感染症はどんな病気?

インフルエンザ菌に感染する疾患でヒトの鼻の奥や喉の奥にある保有している菌です。
インフルエンザ菌が保有されるだけで症状が全く出ないことが多いのですが、感染症になると、特に乳幼児は重症になります。
高齢者の場合も肺炎になる可能性が高いですが、症状はあまり重篤になりません。症状が出るのはインフルエンザ菌の中でも特にb型はヒブ(Hib)と呼ばれる菌に感染した場合で、敗血症や髄膜炎などのような重症な感染症の原因です。
ワクチンが開発されるまでは世界中で多くの罹患者が出ていました。世界各地でエリアにより異なりますが、5歳以下でHib感染症にかかった乳幼児の割合は、10万人につき40〜300人ほどが罹患していましたが、Hibワクチンができてからは減少しました。特にワクチンを定期接種として義務付けた国ではほとんど見られません。しかし、最近はHibワクチンでは回避できないインフルエンザ菌があり、市中感染症(CAI)と呼ばれ懸念されています。

主な症状

多くの場合、インフルエンザ菌は保有していても症状が出ません。
しかし、感染症になったら発熱や頭痛、嘔吐、頸部硬直といった症状が出ます。特に5歳以下の場合はかなり重篤な症状が見られますが、成人の場合は軽微です。
65歳以上の高齢者も30代、40代に比べると症状がありますが、比較的少ないです。ただし菌血昭を伴うインフルエンザ菌b型の場合、敗血症や髄膜炎、急性喉頭蓋炎の原因になります。敗血症にかかると、最初は悪寒を感じ高熱が出ます。さらに重症化すると腎不全や肝不全になり、かなり重篤な症状が出ます。髄膜炎は、脳を包み込んでいる髄膜に感染する病気で嘔吐や首の硬直などの症状が特徴です。脳に後遺症が残る可能性があります。乳幼児の初期症状としては、不機嫌になり言葉が出にくくなるなどです。風邪の症状と区別が難しいため少しでも怪しい場合は医師に相談しましょう。急性喉頭蓋炎の特徴的な症状は、喉の強い痛みです。食べ物を飲み込みにくくなり、息をしにくいため前かがみになりがちです。

主な原因

インフルエンザ菌感染症の原因は、「インフルエンザ菌」による感染です。インフルエンザ菌というとインフルエンザウイルスと混同してしまうかもしれませんが、二つは全く別のものです。
インフルエンザウイルスは、ウイルスでインフルエンザ菌はバクテリアです。ウイルスをまだ発見していなかった19世紀後半に、インフルエンザ菌がインフルエンザにかかっている人の痰から発見されたため、インフルエンザ菌と名付けられました。
しかし健常な状態でも鼻腔や咽頭などに常に存在している菌です。インフルエンザ菌はaからfという6種類に分けられます。その中でインフルエンザ菌感染症の原因になるのは、b型です。
b型はb型のインフルエンザ菌は乳幼児の場合、中耳炎や細菌性髄膜炎などを引き起こします。発病する原因はインフルエンザ菌を持っていないことです。発病は17歳以下の人にかかり、特に0~4歳は発病者の80%以上です。また稀に高齢者にもかかるため注意が必要です。誰かから感染したことが考えられますが、誰から感染したのか特定できる例は稀で、突然発病します。

主な検査と診断

検査方法は喉の奥や喉と鼻の穴の境目などに細い綿棒を差し込み、粘膜から分泌される液体を採取して分析します。
粘膜液をチョコレート寒天の上で培養します。人肌程度の温度環境で24時間放置することで確認が可能です。その他、痰を採取して専用の検査用紙で検査できます。食欲が全くなくなり、吐き気が続く場合、髄膜炎が疑われます。その場合は、まずCT検査をし、脳や髄腔に他の疾患がないことを確認した後、髄液検査を行います。
髄液検査は、「腰椎穿刺(ようついせんし)」によって髄液を採取し分析する検査です。腰椎穿刺は、腰の部分に針を刺して髄液を採取します。検査の方法は、腰回りに局所麻酔を施し、体をエビ状にしてもらって穿刺針を刺します。針を刺してから髄液を採り終わるまでは、約15分しかかかりません。髄液は、髄液沈渣のグラム染色をして分析します。腰椎穿刺の後吐き気が出たり、頭痛がしたりという場合があります。しばらく安静にすることが必要です。

主な治療方法

インフルエンザ菌感染症には、抗生物質などの抗菌薬を使って治療します。
幼児の場合は、抗菌剤の点滴を行うと同時に、他の人への感染しないために24時間隔離します。利用される抗菌剤は主にセフトリアキソンやセフォタキシムなどです。
できるだけ迅速に処置を取る必要があります。また呼吸器に損傷がある場合は、気道の機能をサポートするため、チューブを挿入する場合がある他、気管を切開します。
インフルエンザ菌の感染により起きる症状により抗菌剤が選ばれます。髄膜炎になった場合、抗生剤などの治療で致命率2~5%、また回復しても聴力や神経に障害を残してしまう場合が15~30%とかなり高率です。そのため、まず予防をすることが大切です。
日本ではインフルエンザ感染症の予防接種であるヘモフィルス-インフルエンザb型菌(Hib)ワクチンがこどもの定期予防接種に導入されています。
予防接種は月齢2ヶ月以上7ヶ月未満で始め、約4~8週間おきに3回の接種を行います。