サルモネラ感染症 サルモネラカンセンショウ

初診に適した診療科目

サルモネラ感染症はどんな病気?

サルモネラ菌は、大きく分けるとSalmonella enterica とSalmonel la bongori の2種類ですが、種類は多く約2,500種類が分類されており、毎年新しい型のサルモネラ菌が発見されています。サルモネラ感染症は、チフス性疾患と非チフス性疾患に分類されます。
チフス性疾患は、消化器症状はほとんど見られず、高熱が出ることが特徴です。
非チフス性疾患は、嘔吐や下痢などの消化器症状が主な症状で、日本でサルモネラ感染症という場合は、ほとんどが非チフス性を指します。
サルモネラ菌は卵に付いているものが、感染症の主な原因として有名ですが、実際にはあらゆる場所に潜んでいます。
食事による感染以外にミドリガメやインコなどを触ることで感染する場合もあります。特に小児が動物を触った後は手洗いをしっかり行うことが大切です。抗生物質を使うと便などに排菌が増加するため、抗生物質をあまり使わないことも特徴です。

主な症状

感染し症状が出るまでの潜伏期間は平均 12時間ですが、個体により異なり、5〜72時間まで幅があります。
サルモネラ菌に感染した症状は急性胃腸炎です。多くの場合、高熱をともないます。3〜5日間発熱が続き、7~10日間下痢をします。下痢のほか、吐き気、嘔吐、腹痛などの症状があります。下痢はほぼ水のようで、また嘔吐も固形物を吐き出した後液状の吐瀉物です。そのため急激に脱水症状になる場合が多く、特に小児の場合は注意が必要です。
また、小児の場合、突然けいれんを起こす場合があります。新生児や乳児、免疫不全の人、慢性的な疾患を持っている人は、敗血症、骨髄炎、膿瘍(のうよう)など腸管以外に感染してしまう場合もあります。
免疫不全の人は、HIV感染症や悪性リンパ腫、抗がん剤またはステロイドなど免疫抑制剤を使用している人を指します。骨髄移植後など)サルモネラ感染症による死亡率は 0.1~0.2%。直接的原因は内毒素によるショック死です。死亡者は、高齢者、小児に多いです

主な原因

サルモネラ感染症は、サルモネラ菌の感染が原因の疾患です。
サルモネラ感染症は特に学校、福祉施設、病院など集団で食事をする場所で起きています。
サルモネラ菌は正式にはサルモネラ・エンテリティディスという名前です。原因となる食品としては、鶏卵が最も知られていますが、鶏卵以外にも原因になる食品はたくさんあります。
サルモネラ菌は、自然な状態で哺乳類や鳥類や両生類、爬虫類など多くの動物が持っている菌です。特に家畜は腸管に保菌されており、保菌している家畜由来の食べ物によって人間に感染されます。卵や鶏肉が原因になる場合が多いですが、小児がミドリガメなど爬虫類を触ることで感染した例も見られます。
その他、インコやカモなどの鳥類、イグアナやヘビなどの爬虫類、両生類であるカエルなどです。稀な例として、1999年にイカが入ったスナック菓子を経由して全国的に感染症が広がったことがあります。原材料に使われたイカにサルモネラ菌が付着していました。

主な検査と診断

急性胃腸炎の症状があればサルモネラ感染症が疑われます。
吐き気や嘔吐から始まり、下痢は1日に数回から十数回繰り返されます。小児の場合は意識障害やけいれん、菌血症が起こる場合も。
共通して急性脱水症を起こすこともあります。サルモネラ感染症以外でも、このような症状を起こすことがあるため、サルモネラ感染症と確定することは難しいです。
しかし、一般的に患者背景を見ながら臨床診断をした結果サルモネラ感染症と診断されることが多いです。
診断材料として、38度以上の発熱や1日に10回以上の水様性下痢など。このような症状から臨床診断をするとともに、確定診断を行います。便や膿、血液、穿刺液、リンパ液、または綿棒で直腸からサンプルを採取し検査をし、菌を確定します。
サンプルとして採取した細菌による培養検査です。炎症の程度によって白血球の数が上昇します。菌血症や胃腸炎になるとトランスアミナーゼが上昇する可能性もあります。

主な治療方法

サルモネラ感染症は激しい嘔吐と水様性下痢で脱水症状になりやすいため、まず水分を補給することが大切です。
経口で水分補給をできるだけして、症状が重い場合は点滴で水分補給を行います。サルモネラ感染症は、抗生物質の投与で回復が早くなるわけではありません。
抗生物質を投与することで便に細菌が排出する期間が長引くことがあります。
便に細菌が排出することで感染が広がる可能性が高まるため、サルモネラ感染症には、抗生物質を使用しません。ただし、介護施設に入居している高齢者やHIV患者、人工関節・人工心臓弁など体内に医療機器や器具を入れている人は菌血症になるリスクが高いため、抗菌薬を投与します。
シプロフロキサシンかアジスロマイシンがよく利用される薬です。菌血症になってしまった場合は、シプロフロキサシンやセフトリアキソンなどの抗菌薬を静脈注射で2週間、投与します。
完治しない場合はさらに持続して投与します。膿瘍にかかった場合は手術で膿を排出した後、抗菌薬を投与します。