マレット変形(マレット指・槌指) マレットヘンケイ マレットユビ ツイユビ

初診に適した診療科目

マレット変形(マレット指・槌指)はどんな病気?

マレット変形とはマレットフィンガーとも呼ばれており、指の第1関節が曲がって完全伸展ができなくなる突き指の一種です。
指の関節が木槌のように曲がった状態になることから、マレット変形と呼ばれています。
典型的な屈曲変形が特徴です。受傷してすぐに第一関節が伸ばせなくなり、放置すると指の付け根の関節にも影響が及び、スワンネック変形などを引き起こす場合もあります。

伸筋腱と呼ばれる腱が伸びたために生じる場合と、第1関節内の骨折によって生じる場合とがあります。
これらが原因となって指を曲げたり伸ばしたりする指の伸展機構が損傷することで発症します。
特に野球、ソフトボール、バレーボールなどの球技系スポーツで、指先にボールが当たるなどして発症するケースは特に頻繁に見られます。
スポーツを原因とする場合には中指と薬指で多発する傾向があります。

治療に当たっては受傷後すぐに早期治療を開始することが重要で、第一関節の脱臼の有無によって治療法が異なります。
装具の装着や手術による固定などが行われます。

 

主な症状

マレット変形を発症すると、基本的には第1関節が曲がったままの状態になり、痛みや腫れなどの症状が現れます。
また、曲がった関節を自力で伸ばそうと思っても伸ばすことができませんが、もう片方の手で指をひっぱって伸ばすことは可能である場合が多いです。 

マレット変形はその原因によって腱性マレット指、骨性マレット指の2種類に分類できます。
腱性マレット指は伸筋腱が断裂してしまうことで生じるもので、指の第一関節が曲がったままになるものの、痛みはほぼ起こらないのが特徴と言えます。
一方骨性マレット指の場合、末節骨と呼ばれる指の先端の骨が関節の中で折れている状態で、痛みの症状が現れますが、曲がった指はある程度自力で伸ばすことが可能です。
腱性マレット指、骨性マレット指のどちらかに関わらず、早期に治療を行わずに放置すると、指の付け根の関節が折れ曲がり、指が白鳥の首のような形に折れ曲がるスワンネック変形に繋がる可能性が高いです。

 

主な原因

マレット変形は突き指の一種で、ボールが指先に当たるなど指先が急激に屈曲したことが原因で起こります。
爪のついた部分の骨である末節骨の骨折、末節骨の亜脱臼なども挙げられます。
バレーボール、バスケットボール、野球などの球技の場面で起こることが多いとされています。
野球では特にキャッチャーに多くみられ、バスケットボールのパスや、バレーボールのブロック時などの場面でも生じやすいものです。
レクリエーションなどの比較的軽い場面でも生じます。
その他には鋭利な刃物などによって直接腱の切断されることでも起こりますが、ほとんどがスポーツや労務などの場面で起こるものです。

特に腱性マレット指の場合は、軽度の打撲、軽度の突き指、指をはじくような動作など比較的軽い外力も原因となります。
骨性マレット指の場合はスポーツや、転倒時に地面に手をついたりして起こるケースが多いのが特徴です。
捻挫や靱帯損傷と、骨性マレット指は症状が似ているため鑑別診断が難しいとされています。

 

主な検査と診断

マレット変形は、指の形状が第1関節で曲がっている特徴的な所見や、疼痛、腫張、発赤、熱感などの主な症状から診断されることが多いです。
また、腱性マレット指、骨性マレット指のどちらであるかを判断する必要があるため、エックス線検査が行われます。
これによって末節骨の掌側亜脱臼、骨折の有無を確認でき、治療方法の選択にも役立ちます。
また、捻挫や靱帯損傷と判別するためにもエックス線検査は有効と言えます。腱性マレット指であれば骨折はないため、エックス線検査で異常は見つかりません。
腱性マレット指が疑われる場合にはエコー検査が行われる場合があります。
外から第一関節を曲げると通常は伸筋腱の動きを観察することができますが、腱性マレット指の場合、このような腱の動きが見られなくなるのが特徴です。
治療によって腱と骨が回復してくれば腱が動く様子を観察できるようになるため、治療の経過を観察する場合に用いられることもある検査です。

主な治療方法

マレット変形は、病態や受傷後の経過期間に応じた治療方法が選択されます。
腱性マレット指に対しては、一般に装具などの保存的療法が行うことが多いです。
第一関節をまっすぐに伸ばしてスプリントと呼ばれる固定装置を装着します。
安静を保って腱の回復を待つ方法ですが、腱の断裂からなるべく早くこの処置を行うことが重要です。
断裂から時間が経過するほど、自然治癒が困難になります。

骨折を伴う骨性マレット指の場合にもまずは保存療法が行われますが、必要に応じて手術も検討されます。
骨折の度合いによって判断します。ワイヤーでの固定やプレートでの固定などがありますが、切開を行わずに細い鋼線を皮膚の上から差し込んで行う治療法などもあり、手術であっても患者の負担がそれほど大きくないのがメリットです。
また子供の場合には手術に至るケースはほとんどみられません。

また関節自体が固くなっていたりスワンネック変形が見られる場合には関節を柔らかくするリハビリテーションが行われることもあります。