ストレスでかかる 「たこつぼ心筋症」とは!?

今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『ストレスでかかる 「たこつぼ心筋症」』をご紹介させて頂きます。

英語でも「タコツボ」と発音する心臓の病気

たこつぼ心筋症」と呼ばれる奇妙な名前の病気は、日本で見つかった病気で、英語でもタコツボ(Takotsubo Cardiomyopathy)と発音されます。

人間の心臓は左心室が規則正しく伸縮を繰り返し、全身へ血液を送っています。 しかし、何らかの原因で、左心室の心尖部(心臓の先端)の筋肉が動かなくなり、心基部(心臓の根元)が過剰に縮んで、先端は膨らんだまま根本だけが伸縮する疾患があります。

そのときの心臓の形が、たこ漁に使う「たこつぼ」に似ていることから、「たこつぼ心筋症」と名前がつけられています。1990年(平成2年)、当時広島市民病院に勤務していた佐藤光氏らが世界で初めて報告しました。
20160609b

男性の7倍、高齢女性に圧倒的に多い疾患

たこつぼ心筋症は、突然発症する左心室心尖部(心臓の先)の一過性収縮低下をもたらす心疾患です。急性心筋梗塞狭心症ととても似ている症状を引き起こします。

突然、胸の痛み、息苦しさ、動悸、呼吸困難、頭痛、嘔吐、全身のだるさ、不整脈などの症状が起こります。

閉経後の高齢女性に多く発症し、男女比は欧米で1:9、日本では1:7と言われ、圧倒的に女性の発症率が高いことが明らかです。しかし、若年者や男性、あるいは明確な原因のない人でも起こる可能性はあります。
20160609

強いストレスによる、防衛反応の暴走が原因か

発症の原因はいまだ明らかになっていませんが、発症前に、心因的ストレスや身体的ストレスによる「カテコラミン」の増加が関係すると考えられています。

カテコラミンは、危険を感じたとき自身の体を守るために分泌されるホルモン物質です。アドレナリンやドーパミンなどのよく耳にする神経伝達物質もカテコラミンの一種です。筋肉の動きを活発化させたり、記憶力や集中力などを上昇させたりなどの作用があります。

一方で、カテコラミンの働きが乱れると、イライラする・気分が落ち込む・不安になるなどが起こりやすくなります。さらに大きなストレスによっては、自身の防衛反応が暴走し、さまざまな病気を発症することがあります。たこつぼ心筋症は、その1つです。
20160609a

災害のあとに症状が起こりやすい

2015年9月、スイスのチューリッヒ大学病院を中心とした研究グループは、「精神や神経の病気と、たこつぼ心筋症が関係する」内容を、医学誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表しています。

実際、たこつぼ心筋症を発症した人の多くは、発症前に精神や神経の病気を患っているとの報告がされています。強いストレスを受けたことが「たこつぼ心筋症」の発症原因という考えはほぼ確かなようです。そして、台風・洪水・地震など大規模な災害が起こったあとに多く発症することも研究調査で分かっています。

大地震の発生から1ヶ月以上が経過してもなお、地震が続いている熊本県と大分県では、余震などを恐れて、駐車場などに止めた車の中で寝泊まりする人が大勢います。被災者の中には、「エコノミークラス症候群(急性肺血栓塞栓症)」の発症が報告されていますが、同時に「たこつぼ心筋症」についても懸念されています。実際、新潟中越地震東や日本大震災後では多数の症例があったことが報告されています。

1〜2週間の安静とストレス治療

イライラ・精神的な落ち込み・不安、胸の痛みなどが見られるときは、たこつぼ心筋症の疑いがあります。たこつぼ心筋症患者の約6%は、心不全など重症化して亡くなっています。すみやかに、心療内科・循環器科・内科を受診しましょう。心電図や心エコー検査による所見を手がかりに診断が行われます。

はっきりした原因がいまだ不明であるため、確立された治療法はありません。安静とともにストレス要因を取り除くことが有効な治療です。できるだけ穏やかな生活を送ることにより、一般的には1~2週間程度で回復することが多いようです。

▶︎医師が薦める「精神科」の名医情報なら【名医ログ】

▶︎医師が薦める「循環器内科」の名医情報なら【名医ログ】

▶︎医師が薦める「一般内科」の名医情報なら【名医ログ】

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。