本記事の監修医師

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えとう内科クリニック
江藤 誠司 院長先生

〒162-0055 東京都新宿区余丁町11-19
Tel.03-5919-4976

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今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『「安心なせき」と「心配なせき」の見分け方』をご紹介させて頂きます。

せきは誰でも1度は経験したことのある症状の1つではないでしょうか。せきは、気管支が何らかの刺激によって収縮して起こる現象で、異物や痰、ホコリ、細菌やウィルスなどを体の中に入らないようにする大切な体の防御反応の1つでもあります。一方で、喘息やアトピーなどのアレルギー反応でも起こります。また肺がんに伴うせきなどのように、体の中に異変があることを知らせるサインになることもあります。
今回は一般的には適切に治療をすれば悪化せずに治る「安心なせき」と命に関わる可能性もある「心配なせき」についてまとめたいと思います。

せき

安心なせき

病気に絶対に安心なものはないですが、一般的に適切に治療をすれば治る可能性が高いせきを「安心なせき」とここでは考えます。
せきの原因では、急性上気道炎や急性気管支炎などの一般的に風邪と呼ばれるものが一番多いと言われています。冬の空気が乾燥している時にはウィルスが空中を舞いやすく、多くの人に感染を起こす可能性があります。電車や学校、会社など多くの人が集まる場所では風邪やインフルエンザなどが毎年のように流行します。風邪の原因となるウィルスには多くの種類があり、病院を受診してもウィルスを特定することはありません。風邪の場合にはせきだけでなく、痰や発熱、倦怠感、頭痛、時に胃腸炎なども伴うことが多いです。市販の風邪薬や医師に処方された内服薬を飲めば、ほとんどが約1週間で改善します。発熱も3日以内に治まることが多いです。もし長期に渡って発熱が続く場合や症状が改善しない場合は、他の病気が隠れている可能性があるので早めに病院を受診しましょう。
インフルエンザによるせきも、健康な人であれば心配はありません。ただし、乳幼児や高齢者、若くても免疫力が弱っている人、心臓病や腎臓病などの基礎疾患がある人、膠原病や血液疾患でステロイドや免疫抑制剤を内服している人は悪化したり、肺炎を合併して重症化することがあるので「安心なせき」とは言えないので要注意です。

せき

心配なせき、1ヶ月以上続く場合はまずは胸部レントゲンを撮りましょう

「心配なせき」とは、命に関わる可能性のあるせきや放っておくと周囲に感染を拡大する可能性があるせきのことです。肺炎や肺結核、肺がん、心不全、喘息などに伴うせきが挙げられます。
咳が1ヶ月以上続く場合は、胸部レントゲン写真を最近1年間撮っていなければ、すぐに病院に行き、胸部レントゲン写真を撮りましょう。
レントゲンで胸部を見れば、どの病気に該当するのか、かなり明確化されます。

もし、胸部レントゲンに異常が見られない、咳止めを服用しても咳が止まらないケースは、逆流性食道炎(胃食道逆流症)の可能性もありますので、消化器内科への受診も考えましょう。
逆流性食道炎(胃食道逆流症)は胃酸が逆流することによって食後に不快感を自覚する病気で、最終診断は胃カメラによって診断します。
発熱や倦怠感などの症状がなく、食後にせきが増える、起床時に咳が出る(寝ている間に胃酸が逆流することで朝起きた時に喉の痛みから咳が出る)という特徴があれば、逆流性食道炎(胃食道逆流症)の可能性があるので、病院で診断後に胃酸の分泌を抑える薬を内服するとせきも改善します。

どんな病気が心配?〜肺炎・結核・肺がん・心不全・喘息

肺炎は発熱、呼吸困難、せき、痰などの症状を伴い、悪化すると死亡する可能性があります。特に乳幼児や高齢者、抵抗力の落ちている人は要注意です。肺炎の場合には、黄色や緑色の痰を伴うせきや息苦しさを伴うせき、またなかなか発熱が治まらないなどの特徴があります。
結核は昔の病気と思っている人がいますが、現在でも毎年約2万人がかかっています。結核は、周囲の人に感染してしまう可能性が高い病気です。健常な人では感染しても発病しないことがありますが、抵抗力が落ちていたりすると結核を発症し、肺に感染した場合には発熱、長く続くせき、全身倦怠感、体重減少などの症状が出ます。時に血痰を伴うせきが出ることもあります。長く続くせき、全身倦怠感が続くなどの症状があれば早めに病院に行きましょう。
がんは日本人の2人に1人がかかり、3人に1人はがんで死亡すると言われており、日本人の死因の1位を占めています。その中でも肺がんは、がんによる死亡原因の1位です。肺がんの症状は、せき、痰(時に血痰)、体重減少、発熱、全身倦怠感などです。発熱などは伴わずに、せきが長く続くという症状が最初に出ることもあります。風邪などの明らかなきっかけがなくせきが続いたり、全身症状も伴う場合には要注意です。
日本人の死因の第2位は心血管疾患で、心不全心筋梗塞が含まれます。心不全の時には、特徴的なピンク色の痰を伴うせきが出ます。発熱はなく、呼吸困難を伴うことが多いです。ピンク色の痰は、心不全に伴い血液が混じるからと考えられています。心不全は何らかの原因で心臓の機能が働かなくなり、心臓や肺に水が溜まる病気なので横になると呼吸が苦しいという特徴があります。
喘息の症状の1つとして、せきがあります。喘息は現在でも年間約2000人が死亡している疾患で、長く続くせきを放っておくと大きな喘息発作を起こして呼吸困難で死亡する可能性があります。
このように「心配なせき」には、長く続くせきと共に、せき以外の全身症状を伴うことが多いです。風邪だと思ったり、そのうち治まるからと放置せずに心配な時には早めに病院に行きましょう。

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