鳥インフルエンザ(H5N1) トリインフルエンザ

初診に適した診療科目

鳥インフルエンザ(H5N1)はどんな病気?

鳥インフルエンザとは鳥インフルエンザウイルス感染症とも呼ばれ、インフルエンザに感染した鳥と接触することにより、まれに人間にも病原性を示す場合があります。長らく鳥類には鳥インフルエンザのみ、人間にはヒトインフルエンザのみが感染すると考えられてきましたが、近年ウイルスの遺伝子が変異して人に感染するケースが見られるようになりました。

人に感染した場合、従来のインフルエンザと同様に、突然の高熱、悪寒、筋肉痛や関節痛などがみられます。このほかに、咳や息切れといった呼吸器症状や、下痢などの消化器症状がみられます。これは、従来のインフルエンザウイルスが鼻やのどなどに感染しやすいのに比べ、鳥インフルエンザウイルスは、気管支や肺など呼吸器全般や、小腸などの消化器に至る広い範囲に感染するためとされています。急速な呼吸不全、全身症状の悪化、多臓器不全の合併症を起こして死に至ることもあります。

潜伏期間は3日~7日だと考えられています。感染性のある時期は、発症前日から発症後7日間程度だと考えられています。

主な症状

鳥インフルエンザに感染すると、季節性のインフルエンザと同じような症状が現れます。発熱・せき・のどの痛みなど比較的軽度な症状から、結膜炎、肺炎、呼吸困難などの深刻な症状までさまざまな症状があらわれる可能性があります。重度の症状が現れた場合には死亡することもあり、感染の確率は低いものの軽視できない病気です。

また、ウィルスの型によっても症状は異なります。鳥インフルエンザの死亡率は流行の時期によっても大きく変わり、ウィルスの毒性が変化しているためとも言われています。

鳥インフルエンザに感染すると、感染してから2~9日ほどの潜伏期間を経て症状が現れます。季節性のインフルエンザとの大きな違いは、鳥インフルエンザは気管、気道、肺などの呼吸器の症状を伴うケースが多く、重症化する確率が高い点があげられます。この特徴により肺炎を起こしやすく、さらに他のさまざまな臓器でも機能不全を起こしてしまい、死亡につながるケースが多いのです。

主な原因

鳥インフルエンザに感染する原因のほとんどが鳥との濃厚接触です。鳥インフルエンザのウィルスは日本では高病原性鳥インフルエンザ、低病原性鳥インフルエンザ、鳥インフルエンザの3つに分類されており、中でも高病原性鳥インフルエンザは鳥が感染するとほとんどが死んでしまうほど高い病原性があります。人間への感染が確認されているのもこの高病原性鳥インフルエンザ (HPAI) となっています。

鳥インフルエンザウイルスは飼育されている鳥や野鳥の中で流行し、鳥の排泄物や毛に触れたりする機会が多い人に感染する可能性が高いです。現状では鳥インフルエンザが人から人へ感染することはまずないと言われていますが、世界的には確認されている例もあります。今後ウィルスが変異し人から人への感染が起こる可能性も懸念されています。鶏肉や鶏卵を食べることによる感染はした事例はないと言われていますが、十分に加熱をしてから食べるよう心がける必要があります。

主な検査と診断

鳥インフルエンザについて正確に診断するためには、鼻やのどから採取したサンプルの検査を行う場合が多いです。鳥インフルエンザは人への感染がまれなこともあり、症状や問診、季節性のインフルエンザなどで使用される短時間で結果が出るキットでは確定的な診断をくだすことができません。

そのためウイルス分離、RT-PCR法などの遺伝子検査や抗体測定が行われます。通常の医療施設で検査を行うことはなく、基本的には医師がサンプルを採取してそれを送り、行政を通して検査が行われます。

また鳥インフルエンザに感染したことで肺炎や多臓器不全を起こしていないか詳しく調べるために、レントゲンなどの画像検査、血液検査、尿検査も必要に応じて行われます。

インフルエンザに対する標準的なワクチンは鳥インフルエンザを予防するのが難しく、一般的には鳥インフルエンザの感染が分かると家禽の集団を特定し殺処分することで感染の拡大を食い止める方法がとられています。

主な治療方法

鳥インフルエンザの治療にはオセルタミビルかザナミビルという抗ウィルス薬が投与されます。これは季節性のインフルエンザ治療の際にも使用される薬です。その他、各症状に合わせた薬が使用されます。

鳥インフルエンザは重症化すると命にかかわることも少なくないため、早期に適した治療を開始することが生存率を上げるためにも重要です。発症から投与までの時間によって生存率が大きく変わるというデータもあり、近年では鳥インフルエンザが疑われれる場合にはできるだけ早くにオセルタミビルを投与する必要があります。48時間以内の投与が理想とされています。

また近年では国内で利用可能となったペラミビルという抗ウイルス薬がオセルタミビルの代替治療として注目されています。

鳥インフルエンザの予防策としては流行している地域への立ち入りに注意すること、野生の鳥の死骸を見つけた場合にも不用意に近づかないようにするなどリスクを行動で減らす必要があります。