へノッホ・シェーンライン紫斑病

初診に適した診療科目

へノッホ・シェーンライン紫斑病はどんな病気?

へノッホ・シェーンライン紫斑病とは手や足の四肢末梢部に、軽く盛り上がった紫斑ができる小型血管の炎症です。
近年ではIgA血管炎とも呼ばれており、一般的に炎症は皮膚の血管に見られます。
初期の段階で膝から下に紫斑や点状出血が現れた後に、腎炎や腹痛、関節痛などが症状として現れます。
特に10歳以下の子供に多く見られ、中でも4~7歳頃発症が多い傾向があります。成人や高齢でも発症する可能性はあります。
上気道感染に続いて発症するケースが多く、そのため冬の感染が多いという特徴があります。
まれに腸や腎臓の血管も炎症をおこす可能性があり、腎不全や腸重積を引き起こすケースもあるため注意が必要です。

原因ははっきりと解明されていないものの、ウイルスや細菌が体に侵入してきた際につくられるIgAと呼ばれる抗体と関連していると考えられています。
ほとんどの場合、症状は自然に回復するため積極的に治療を行わないことも多いです。

主な症状

へノッホ・シェーンライン紫斑病を発症すると特徴的な症状として盛り上がった紫斑や点状出血が現れます。
紫斑は手足の左右両側対称の皮膚、特に関節付近に起こります。
脚のすねやおしり、足の甲、腕などの他、体や顔に出る場合もあります。初期段階でははかゆみを伴ったじんましんのような発疹ができ、次第に紫色に変色していきます。

ズキズキとするような痛みが膝関節や足関節に現れます。
消化器症状としては激しい腹痛や嘔吐、下痢、血便、腎臓病なども症状のひとつとして現れる場合もあり、現れる症状には個人差があります。
まれに自覚症状がないまま症状が進行する場合もあります。

腸が折りたたまれて閉塞する腸重積を併発した場合には手術による治療も必要です。
初期症状が現れてから1ヶ月以内は、腎臓病を発症するケースが特に多く注意が必要です。
軽症のへノッホ・シェーンライン紫斑病であれば1カ月程度で落ち着く傾向がありますが、その後再発するケースも多いです。ただ最終的にはほとんどの人が完治します。

主な原因

へノッホ・シェーンライン紫斑病を発症する原因は現在のところ明らかになっていません。
上気道感染後に発症することが多く、ウイルスや細菌に対するアレルギーも原因のひとつだと考えられています。
その他にもウイルス、虫刺され、薬物などが発症につながる原因と考えられています。

IgAと呼ばれる抗体は、細菌やウイルスが侵入してきた際に作られます。
IgAが全身の血管の壁に付着することで炎症を引き起こすとされています。感染に対する過剰な免疫反応によって炎症が起きる可能性が高いと考えられています。
具体的な例としてはβ-溶連菌、マイコプラズマ、水痘、麻疹、風疹、アデノウイルス感染、薬剤アレルギーなど身近な細菌によって発症する可能性があります。
β-溶連菌感染症の後にへノッホ・シェーンライン紫斑病を発症するケースは多く、全体の約30〜50%の割合で起こります。
現在のところ遺伝性もなく、感染もしない一方で予防することも困難であるものとされています。

主な検査と診断

へノッホ・シェーンライン紫斑病の場合、診察、血液検査、腎生検などにより診断します。
問診、視診ではまず現れている症状について丁寧に確認していきます。
主に下肢に触れて分かる特徴的な紫斑が典型的な症状です。
紫斑に限ってみると血小板減少や凝固異常などによる可能性が挙げられるため、診断にはこれらの可能性を排除する必要もあります。
激しい腹痛や関節痛、タンパク尿、血尿などの症状も紫斑と同時に現れていればへノッホ・シェーンライン紫斑病が疑われます。
尿検査は腎臓の異常を確認する目的で行われます。

腸重積や血便などの疑いが強い場合、便検査や腹部超音波も行われます。さらに詳しく確認したい場合、皮膚や腎臓の組織を採取する生検を行い診断を確定できる血管の異常を探す場合もあります腎臓の機能障害が悪化している場合にも、この生検によって症状の程度を確認するために行われます。

主な治療方法

へノッホ・シェーンライン紫斑病を発症した場合、対症療法が主な治療法になりますが、症状に応じて、血管強化薬、抗線溶薬、ステロイド剤などが用いられることもあります。
関節痛が強い場合には鎮痛薬、腹痛などの症状には輸液が用いられます。症状が重い場合には副腎皮質ステロイドの使用も検討されます。
プレドニゾロンは激しい関節の痛みや腫れ、腎疾患を抑える効果が期待できます。
腎臓がに重篤な症状が現れている場合、コルチコステロイドを静脈投与したりプレドニゾロン、シクロホスファミドなどを服用します。
腸重積を発症している場合には手術による治療が行われることが多いです。
腎臓病の場合は、重症化すると専門医による治療が必要になる場合もあります。

ほとんどの場合は自然に治癒し、予後も良好です。安静にすることが回復のために大切です。
また、初期症状が現れてから時間を空けて腎炎などを生じるケースもあります。定期的な診察や検査によって早期に発見することも重要です。