感染性胃腸炎(小児) カンセンセイイチョウエン ショウニ

初診に適した診療科目

感染性胃腸炎(小児)はどんな病気?

感染性胃腸炎は、いわゆる食中毒のことです。
細菌やウイルスなどが食べ物などを媒介にして胃腸で感染し、腹痛や下痢などが繰り返されます。特にノロウイルスやウイルスが原因の感染性胃腸炎をウイルス性胃腸炎と呼び、サルモネラやブドウ球菌、大腸菌などの細菌性胃腸炎と区別します。ウイルス性胃腸炎は主に冬場から春先にかけて、細菌性胃腸炎は夏場にかかる人が増加する傾向です。
一般的にはウイルスや菌がついた食品や水で感染しますが、感染した人や動物の体に付着したウイルスや菌を手指で触ることで感染する接触感染もあります。食品や飲料水、また接触感染などが原因のため、保育園など生活を共にしている場所で集団発生する場合があります。
小児に多い感染症ですが、ウイルス性の感染性胃腸炎は、小児から大人への感染があるので注意が必要です。ヒトからヒトへの感染も多く、毎年世界中で多くの人が感染性胃腸炎にかかっていますが、日本でも約10,000人の方が罹患しています。

主な症状

症状は、原因菌により見られる症状は様々ですが、原因菌によらずほぼ全ての患者に見られる症状は下痢です。
ロタウイルスやノロウイルスなどのウイルス性の感染性胃腸炎はまず嘔吐から始まります。高熱を出しますが、ほぼ1〜2日でおさまり、ひどい腹痛が続くことはほとんどありません。水分の多い下痢が続き、出血は少なめです。水分の多い下痢が続き、嘔吐をするため脱水症状が起きやすく、脱水症状で体力が落ちるたり腎臓にダメージを与えたりします。一方細菌性の感染性胃腸炎は、ウイルス性の感染性胃腸炎とは異なり血便を伴うことがあります。中でもサルモネラ菌やカンピロバクター菌、ロタウイルスなどに感染すると、高熱が出て激しい腹痛が急に起こり下痢を繰り返します。ロタウイルスの場合は、下痢で出る便も特徴的で、コメのとぎ汁のような白色便が見られることが多いです。病原性大腸菌やノロウイルスの場合は、下痢と嘔吐を繰り返しますが、発熱するケースは少ないです。

主な原因

感染性胃腸炎の原因は、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどのウイルスや病原性大腸菌、サルモネラ菌、カンピロバクターなど菌の感染です。その他の原因として寄生虫や原虫による感染がありますが、日本ではあまり見られません。感染経路は、感染者と一緒に遊んでいるときに直接感染する場合があります。
しかし、それだけではありません。その他の感染経路として、食品媒介感染や接触感染、塵埃感染、飛沫感染がありますが、最も多い感染経路は接触感染です。
接触感染は、感染した人がさわったドアノブや手すりなどに付着したウイルスを触ることで感染します。
飛沫感染や食品媒介観戦は小児の場合少ないですが、家族に感染者がいる場合には注意が必要です。
感染者の嘔吐物や糞便を処理した際についたあと、洗い方が十分ではない手指で料理をした場合に食品媒介感染が起きる可能性があります。
また、嘔吐物や糞便の掃除で取り残された物質が乾燥し、最近を含む塵芥が空気中をさまよい口から入ってしまう塵芥感染が起きます。

主な検査と診断

感染性胃腸炎の原因はさまざまで、ウイルス性と考えられた場合はウイルスを特定する必要は特にありません。基本的にどのウイルスに感染していても治療方法は同じですから、検査の必要を医師が不要と思えば、検査をしない場合があります。
また、ウイルスの種類や患者の年齢や胃腸炎の状態によって検査に保険が適用されない場合があります。
ノロウイルスならば、3歳未満は健康保険が適用され、小さい場合は危険が伴うこともあり必ず検査をします。
ロタウイルスとアデノウイルスの検査は保険適用ですぐに調べられます。
入院する場合には、院内感染を避ける必要があるため検査をし、同じウイルス感染者を同室にします。
しかし一般的なケースでは、症状からどのウイルスに感染しているのかを判断することがほとんどです。ノロウイルスの感染は、激しい嘔吐が続きますが2日程度で治ります。
ロタウイルスは、熱が出た後嘔吐は1〜3日でおさりますが、下痢が続きます。アデノウイルスは、熱はほとんど出ず、出ても38度を超えることはほとんどありません。
嘔吐も少ないのですが、その代わり、下痢が続きます。

主な治療方法

感染が細菌かウイルスかで治療は異なります。最近の場合は、抗菌薬で治療できますが、ウイルスの場合は抗菌薬は効果がなく、その他にも特効薬になる薬はありません。
嘔吐や下痢により水分の消失が多く脱水状態が心配される場合は、点滴で水分補給を行います。
無理に食事をするとさらに嘔吐がひどくなるため、経口補水療法から始めます。経口補水療法は、電解質と糖が主成分の経口補水液を少しずつ飲むことで、脱水症状や低血糖を防止する療法です。経口補水液は、薬品メーカーが販売している既成のものを利用できますが、自宅でも作ることが可能です。
自宅で作る場合は、水1Lに砂糖大さじ4杯と塩ひとつまみを入れて作ります。5分おき、または10分おきに少しずつ口に含ませます。
熱がある場合は、解熱剤を飲ませます。治療よりもまず感染性胃腸炎にならないように予防することが第一です。小さなお子さんはおもちゃなどなんでも口に持っていきますから、ミルトンなどを利用し除菌するようにします。
家族に感染者が出た場合は、嘔吐や糞便の処理を徹底しましょう。