認知症はどんな病気?
主な症状
近年、超高齢社会となり、高齢者人口が増えていることもあって認知症を耳にする事が多くなりました。その症状は様々です。記銘力低下や見当識障害といった認知機能低下に伴う症状だけでなく、抑うつ・不安・妄想・徘徊・性格変化と言った行動心理症状があらわれることもあります。認知機能低下は少しずつ進行することが多いものの、行動心理症状は周囲の関わりや生活スタイルの見直しによって改善することがほとんどです。適切な治療とあわせて介護サービスなどを利用した生活環境の工夫も欠かせません。■初期の兆候
・洋服や化粧などに気を使わなくなる。
・料理が苦手になる。得意料理も避ける。
・同じ話を繰り返したり、聞いたりする。
・物忘れが増える。指摘されても「そうだったかな」と取り繕う。
・失敗が多くなり、言い訳をする。
・物事への関心がなくなり、趣味もやらなくなる。
・イライラや焦り、不安を感じる。
主な原因
認知症の原因はアルツハイマー病、レビー小体病、前頭側頭葉変性症といった脳の病気(変性疾患)や、脳梗塞・脳出血などの血管障害がよく知られていますが、その他にもさまざまな病気によって認知症を引き起こします。特に注意しておかなければいけないのはTreatable Dementiaと呼ばれる治療な可能な病気です。硬膜下血腫や正常圧水頭症といった脳の病気や、甲状腺機能低下症・ビタミン欠乏症などの体の病気、うつ病・てんかんといった精神神経系の病気でも認知症と非常によく似た症状を起こします。複数の要因があわさって認知症をきたしている可能性もあるため、診断を確定できないことも少なくありませんが、Treatable Dementiaの見落としがないよう専門的な検査・診断は欠かせません。主な検査と診断
認知症の診断にはこれまでの経過・病歴が最も重要です。いつ頃からどのような症状が現れたのか、病前(若い頃)と比べて何ができなくなっているのかなど、丁寧に問診することである程度診断に迫ることができます。問診に加えて神経心理検査と呼ばれる質問形式の検査や画像検査・血液検査も重要です。神経心理検査は"今日の日付"を確認したり"ものの名前"を覚えて後から思い出してもらう、といったものが代表的ですが、本人の症状に応じてさまざまな種類の検査を組み合わせることで脳の働きを評価することができます。画像検査は脳の萎縮や脳梗塞などによるダメージを評価するだけでなく、慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症といった治療可能な病気が隠れていないかを確認するためにも重要です。血液検査ではビタミンやホルモンの異常など認知症のような症状をきたしうる体の病気がないかを確認します。問診と各種検査の結果から認知症を引き起こしている原因(病気)を診断するとともに、必要な治療や支援を検討します。主な治療方法
認知症は、脳神経内科やもの忘れ外来等の専門医がいる医療機関を受診して治療します。薬の治療で症状の進行を遅らせる事も出来ますので、家族や身近な人が異変に気づいたら早めに病院に受診するべきです。認知症の根治療法薬はまだありませんが、進行を抑制する薬は2020年現在では4種類の経口薬と貼り薬が発売されているため、医師と相談して使用する薬を決めましょう。また、認知症の人は「もの忘れ」や「認知症であるということ」を受け入れたがらないものですが、本人もこれまで普通に実践していた事がうまくできなくなった不安を感じています。家族から頭ごなしにあれこれ指摘されると、責められたように感じ、自信をなくしたり怒ったりする人も多いので注意が必要です。また、普段はなれて暮らしていても、電話やメールなどでコミュニケーションをマメにとるよう心掛けて、早期に異変を察知することも大切です。■家族の心掛け
・本人の話をじっくり聞く。不得手になった事を理解し支援する。
・詰問や間違いの訂正、叱咤激励などは避ける。
・「年のせいだ」と安易に決めつけない。
・早めに専門医受診を促す。
・受診を嫌がる場合もあるので、「認知症の検査」などと言わず「脳梗塞の診察をしてもらおう」など表現を工夫する。
・地域包括支援センターなどに相談する。
認知症の初診に適した診療科目
- 脳神経外科 ( 脳神経外科の病院一覧 )
- 神経科 ( 神経科の病院一覧 )
- 神経内科 ( 神経内科の病院一覧 )
- 心療内科 ( 心療内科の病院一覧 )
- 総合診療科 ( 総合診療科の病院一覧 )