卵巣がん ランソウガン

初診に適した診療科目

卵巣がんはどんな病気?

卵巣がんは卵巣に発生したがんで、婦人科系がんでは2番目に発症率が高い病気です。 また。卵巣がんの特徴として自覚症状があまりなく、早期の診断が難しいがんとして知られています。 卵巣は子宮の両脇にひとつずつある臓器です。女性ホルモンを分泌したり、卵子を症出するなどの役割を果たしています。

卵巣に腫瘍ができること自体はあまり珍しくなく、その腫瘍も良性と悪性、その間にあたる境界悪性の3種類があります。卵巣にできた腫瘍すべてを卵巣がんというわけではありません。卵巣がんの場合、85%は良性のものであると言われていますが、悪性の腫瘍の場合は子宮や腸、膀胱やその他の臓器に転移する確率が高いとも言われています。 大網、後腹膜リンパ節、大腸、小腸、横隔膜、脾臓(ひぞう)などへ転移するケースも多いです。

卵巣がんは、40代以降からピークは50代前半の女性が発祥する確率が高いです。現段階で卵巣がんについて指針として定められている検診はないため気になる症状が現れたら早期に医療機関を受診することが大切です。

主な症状

卵巣がんは初期の段階では自覚症状がなく、がんがある程度大きくなる、または他の部位に転移するまでには、卵巣がんの症状が現れません。初めに自覚する症状として多いのが下腹部のしこり、おなかが張る、トイレが近くなる、不正出血、便秘、食欲の低下などです。しかしこれらの症状を自覚して受診する頃には、2/3以上は転移した状態と言われています。婦人科検診で運よく発見されたり、がんの転移によって発見されるケースが多く、初期での発見は難しいがんとされています。

卵巣がんに最もよくおこる転移は、腹膜播種(ふくまくはしゅ)です。転移は卵巣の表面からちょうど種をまくようにがん細胞が腹膜に拡がっていくので「腹膜播種」といわれています。腹膜播種は卵巣の周りにおこりやすいのですが、横隔膜という、卵巣から最も遠く離れた腹膜にもよくみられます。腹水、胸水などで腹部全体に張りを感じるなど、卵巣がん転移したことによって症状を自覚するケースも少なくありません。

主な原因

卵巣がんの原因はひとつではなく、複数の要因が関与して発症すると考えられています。卵巣がんの確立したリスク要因は、卵巣がんの家族歴のみとされています。具体的には遺伝的な要因は全体の1割程度とされており、近親者に卵巣がんを発症した人がいる場合に、発症の確率が高くなる傾向があるとされています。家族性の卵巣がんに関してはBRCA1、BRCA2遺伝子の変異が発症リスクを高めるとされており、これは乳がんと同様のです。

原因となる疾患としては子宮内膜症・骨盤内炎症性疾患・多のう胞性卵巣症候群などが挙げられます。他にも排卵回数が多い、妊娠・出産の経験がない、早い初経と遅い閉経などが発症リスクを高めると言われています。ホルモン補充療法を長く行っていた人や、肥満、食事習慣など幅広い要因が組み合わさって卵巣がんは発症するとされています。

経口避妊薬を使用することで、卵巣がんになるリスクが低くなることが認められています。

主な検査と診断

卵巣がんの検査には、内診や超音波検査、CT検査、MRI検査、血液検査だけでなく、診断を確定するためには組織を取り出して調べる病理検査が必要です。卵巣がんは良性の腫瘍との判別が難しいがんとしても知られています。

まず腟や肛門から指を差し入れて内診や直腸診を行い子宮や卵巣、直腸の状態に異常がないかを確認します。エコー検査では卵巣腫瘍を確認し、腫瘍の位置関係、ほかの臓器やリンパ節への転移などの検査を行います。

他の臓器への転移が予想される場合には併せてCT・MRI・PET-CT検査などを行います。これらの検査は肺、肝臓など子宮から離れた臓器への転移や、周辺臓器へどの程度がんが広がっているかなどを詳しく確認するのに適しています。さらに血液検査では、がんの可能性や転移・再発の指標としたり、治療の効果を測る方法としても活用されます。血液検査は腫瘍マーカーと呼ばれる項目があり、がんがある場合に異常値が出ます。卵巣がんにおいてCA125と呼ばれるマーカーが主に活用されます。

主な治療方法

卵巣がんの治療は手術や抗がん剤などの化学療法、放射線治療などの選択肢があり、ステージや患者の年齢、合併症などを総合的に判断して使い分けます。転移のない卵巣がんは手術だけで治りますが、転移した状態ではじめて治療を受ける場合は、手術だけですべてのがんをとり除くことはできません。残された腫瘍に対しては、手術後に抗がん剤による治療が行われることが多いです。

手術では主に卵巣と卵管、子宮、大網を切除するか、状態によっては後腹膜リンパ節や大腸、小腸、脾臓などを切除するケースもあります。また、卵巣がんは抗がん剤治療が効果を示すがんであり、複数の抗がん剤を併用することが多いです。効果に伴って副作用もあるため、慎重に治療を進めます。また、放射線治療は、主に脳や骨へ転移した症状を緩和するために使用されます。近年では、手術で取り切れなかった小さながんに対して放射線治療が選択されるケースはまれになってきています。