今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『サイトメガロウイルス』をご紹介させて頂きます。
ママや、ママになろうとしている人は、必ず読んでください。お母さんが感染すると、胎児にうつってしまう「サイトメガロウイルス」についてのお話しです。最悪、生まれてくる子供に難聴や肺の異常などの障害が起きます。
「そんなグロテスクな名前のウイルス、聞いたことがない」と感じた人も多いでしょう。でも、遠い国の話ではないのです。日本のあらゆる場所で、感染する可能性があるのです。

そもそも、こんな危険なウイルスが、なぜそれほど知られていないのでしょうか。それは、これまではあまり大きな問題にならなかったからです。サイトメガロウイルスは、昔から人の体の中にありました。いまも、感染者は普通に生活しています。それは、ほとんどの感染者の体内に免疫ができて、このウイルスが「悪さ」をするのを防いでいるからです。

サイトメガロウイルス

ところが近年、免疫を持たない人が多くなったのです。ある調査では、このウイルスによって障害を起こす子供の数は年間約1000人で、この15年で2倍になっています。

NHKの健康番組で、サイトメガロウイルスの感染で障害を負った3歳の娘さんと、その母親が紹介されました。娘さんは早産で、生まれたときの体重は1kgありませんでした。1歳のころに耳が聞こえづらくなり、現在は補聴器を付けています。会話は手話です。また、肺の機能が弱く、24時間、酸素吸入を受けています。遊ぶときも、酸素タンクに装着された長さ13mのチューブを付けたままです。

お母さんはインタビューに「これからさらに聴力が落ちることが多いそうです。まったく聴こえなくなってしまう前に、いま聴こえているときに、いっぱい言葉を入れてあげようと思っています」と泣きながら答えていました。

サイトメガロウイルスは、人の唾液や尿、便に含まれます。通常は、子供のころに感染しますが、すぐに免疫ができて、健康被害は生じません。
しかし、これまで感染したことがない女性が妊娠し、その妊娠中に感染すると胎児にうつります。胎児に感染すると、臓器が障害されてしまうのです。

サイトメガロウイルス

この娘さんにはお姉ちゃんがいて、娘さんの妊娠中、お母さんはお姉ちゃんのオムツ交換を頻繁にしていました。お母さんは、お姉ちゃんの尿や便を触っていたのです。お姉ちゃんが外で感染し、お母さんに感染し、お母さんから胎児だった娘さんに感染したと考えられます。

なぜ感染による障害が増えているのでしょうか?!

それは、免疫を持たない女性が増えているからです。「免疫を持たない女性」は、約30年前は4%に過ぎませんでしたが、現在は30%にも達しています。
それは、子供の遊び方が清潔志向に変わり、サイトメガロウイルスに感染する機会が激減したからだと考えられます。

サイトメガロウイルス

サイトメガロウイルスは、「感染したことがないお母さんが、妊娠中に初めて感染したとき」に問題になるのです。妊娠する前に感染するか、妊娠中に感染しなければ、問題になる可能性は低くなります。

感染の予防法

そこで次に「妊娠中に感染しないようにする」対策をみてみましょう。
ある大学病院の産婦人科では、妊婦に対し、サイトメガロウイルスの免疫があるかどうか検査しています。もし免疫がないことが分かると、医師たちは妊婦に対し、感染予防の指導を行います。上の子のオムツ交換の後に必ず手洗いをする、上の子が使ったスプーンを口に入れない、などです。
別の病院では、生まれてきた赤ちゃんが、サイトメガロウイルスに感染しているかどうかを調べるそうです。早めに治療を開始すれば、障害が残らないか、軽くすることができるからです。

横浜市衛生研究所によると、サイトメガロウイルスに感染した胎児が出生すると、1割程度に異常がみられるそうです。その障害は、発育遅延、早産、小頭症、黄疸、肝臓や脾臓の腫れ、出血、脳の一部の石灰化、網膜炎肺炎などです。「かなり深刻な障害」です。

ママさん、そして、ママになろうとしている方、ぜひサイトメガロウイルスを覚えておいてください。そしてママ友にも教えてあげてください。