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知っていますか? 五月病とうつ病の違い

医療ニュース
今回のホームページ制作に役立つコンテンツは、5月18日(月)日経新聞日経Goodayセレクションに掲載の「知っていますか? 五月病とうつ病の違い 」をご紹介させて頂きます。



人事異動や入社など、環境が大きく変わる4月。
そしてその環境にようやく慣れてきたころに出てくる「出社するのがつらい」「自分はこの職場に合わないんじゃないか」……というモヤモヤとした悩みや意欲の低下、体の不調は総じて「五月病」と呼ばれます。
これまでは一過性のものとされてきたが、放置すると改善が遅れ、症状が長期化することもあります。
 

五月病の実体【1】理想と現実のギャップに折り合いがつかず起こる不調

4月に意気揚々と新生活を始め、「こんな仕事がやりたい」「自分の能力を最大限に生かしたい」と張り切っていても、そのイメージと現実にギャップがあるのはよく聞く話です。
大きい環境変化にさらされたときに、その環境が自分が思い描いていたものと違う、というギャップに折り合いをつけられずに起こる不調のことを一般に五月病と呼びます。
特に就職は、人生の中でも環境が激変するイベントの一つ。
進学やクラス替えのたびに不安定になる人も少なくないのですが、学生という境遇は同じで、変化の度合いはまだ小さいですが、『学生から社会人』という、生活も人間関係もガラッと変わるタイミングの場合、五月病になる人が出てきやすいです。
環境が変化したタイミングから1~2カ月後、すなわち新入社員では5月ごろにこのような状態が顕在化しやすいことから、「五月病」と呼ばれてきました。
 

五月病の実体【2】五月病は正式な病名ではなく、適応障害の一種

実は「五月病」は医学的な病名ではありません。そのため、明確な診断基準もないですが、環境への適応が難しく精神的・身体的不調が出る適応障害の一種とされます。
五月病は新入社員に起こりやすいが、30~40代でも、異動や転職などの環境変化に対応できずに五月病になる人もいます。
これらの症状はじわじわと表れ、悪化していきます。ただし、出勤できなくなるほどひどくなるのは珍しく、欠勤するようになったら、五月病以外の病気になっている可能性が高いと言えます。
 

五月病の実体【3】多くは一過性の不調だが、長引くケースもある

これまで、五月病は一過性のもので、一時的に調子を崩しても次第に環境に適応することによって元通りになる、と考えられてきました。しかし、近年、症状が長く続き、6カ月、あるいはもっと長く尾を引いてその人の仕事のパフォーマンスを落としていくケースも見られます。
五月病じゃ、環境の激変が引き金になるため、春特有の症状ではなく、秋の定期異動や転職などをきっかけに五月病を引き起こすケースも存在します。
 

五月病の実体【4】五月病は「周囲が悪い」、うつ病は「自分が悪い」と思う

五月病では、自尊心が保たれているのが特徴です。
仕事で感じるもどかしさの原因を会社や仕事、周囲の環境など、自分のまわりに求める傾向が強い。例えば、「この会社が自分に合わない」「自分がやりたかったのはこの仕事ではない」などといった具合です。

一方、典型的なうつ病の場合は、「自分に能力がないからだ」「怒られるのは自分のせいだ」などと自罰的な考えになりやすい。

両者とも考えが堂々巡りしていくことで、心身が消耗してしまい、不調を来たします。
ただ、五月病の場合、理想と現実のギャップに折り合いをつけられるようになったり、環境に慣れたりすることで症状は改善し、パフォーマンスが向上していきます。
 

五月病の実体【5】五月病になる人は人材としての価値が高い?


◾︎五月病になりやすい人の特徴

・真面目で、何事もきちんとやろうと思っている人
・理想が高く、「仕事はこんなものだ」と割り切ることが難しい人

逆に、いい加減な人や細かいことを気にしない人は、ストレスをかわすことができるため五月病になりにくい。
特に、最近の新入社員には、五月病になりやすいタイプが増えています。大学までは、毎日講義を受けてノートをとり、言われたことさえこなしていれば良い評価を受けられました。
しかし、企業では先輩のいうことを毎日きちんと聞いてノートにメモしていても、それだけでは評価にはつながりません。結果が欲しいからか、やたらと効率を求めるのも特徴で、『失敗したくない』『無駄なことはしたくない』と考える傾向が強いです。
人手が足りている職場を除き、多くの場合、先輩は新入社員に付きっきりで業務のすべてを教えることはできないため、業務では「自分で考えて行動する」ことが求められるわけですが、まだ仕事に慣れていないうちは、できないことが多い“仕事全般”がストレスになってきます。
やる気に満ちていた頃の自分の理想と、突きつけられる自分の至らなさにモヤモヤし少しずつ、症状を進行させていきます。
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