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今回は『くも膜下出血の「前兆」を知っておこう!!』をご紹介させて頂きます。

「くも膜」はどこにある?

人間の脳の表面は、
(1)硬膜
(2)くも膜
(3)軟膜
という3つの髄膜によっておおわれています。くも膜下出血は、その病名のとおり「くも膜」の下(くも膜と脳との空間)をとおる血管が切れて出血が起こる病気です。患者の約80〜90%(つまり、ほとんど)は、血管にできた「脳動脈瘤(脳の血管のふくらみ)」というコブが関係しています。脳動脈瘤に何らかの圧力が加わり、破裂したことで「くも膜下出血」が発症しています。

50〜60歳代の中年層に多く見られる病気です。高血圧・喫煙・過剰な飲酒が、発症の大きな原因として挙げられます。症状には、
(1)激しい頭痛
(2)意識障害
(3)嘔吐
(4)目の痛み
などが見られます。一般的に、死亡率の高い病気として知られ、発症すると、初回の出血で患者の「約50%」は死亡するほど恐ろしい病気です。

また、生命の危険を乗り越えた場合でも、約20%の患者には「片麻痺(片方の手足に麻痺が起こる症状)」や「言語障害」などの後遺障害が見られます。

「前兆といえる症状」を見逃さない

くも膜下出血は、死亡率の高さから、病気の名前とその恐ろしさが突出して広まったところがあるようで、なかには決して正しくない情報が人々に伝わっています。例えば、くも膜下出血は女性に多い病気といわれていますが、実際の患者の男女比は「1:1.26」で、性別にそれほど大きな差はありません。確かに、60歳以降では、女性患者が増える傾向にあります。しかし、40〜50歳代ではむしろ男性患者のほうが多いのです。

また、一般的に、くも膜下出血の症状には「前触れがない」や「突然起こる」というイメージを持っている人が多くいるようです。しかし、くも膜下出血の発症には、特徴的な「前兆」といえる症状が見られることが分かっています。そして、症状が起こったときには、「バットで頭を思い切り殴られたような、激しい頭痛がした」という話をよく耳にします。この例えは本当のようです。

発症しても「4人に1人は」社会復帰!

くも膜下出血は、処置が遅れると生命の危険性や後遺障害のリスクが高まる病気です。そのため、発症してから「いかに早く治療を開始できるか」が、患者のその後の容体に大きく影響を及ぼします。つまり、緊急を要する病気の1つです。

そして、発症した患者の約25%(つまり4人に1人)は、出血が少ないうちに治療を始めたことで、のちに社会復帰を実現させています。くも膜下出血は、中高年に多く見られる病気とされてきましたが、現在では、働き盛りの40歳代に増えています。

そこで仮に、くも膜下出血を発症した場合でも、のちに社会復帰を実現するには、症状の「前兆」である小さなサインを見逃さず、すみやかに病院で診察を受ける、また状態によっては救急車を呼ぶといった最初の行動が大事です。

前兆は「血圧の乱れ」と「強い頭痛」

くも膜下出血が起こる「前兆」には、「血圧の乱れ」と「強い頭痛」が挙げられます。くも膜下出血では、この2つの症状が、発症する数日前からくり返し見られる傾向があります。「血圧の乱れ」と「強い頭痛」が見られるということは、頭のなかにある動脈瘤から、少量の出血(マイナーリークと呼ばれる状態)があり、動脈瘤が神経を圧迫して、くも膜下出血の軽度の症状が起こっている可能性が考えられます。

頭痛は「急にズキン」とくる強めのものを、数回感じたら注意が必要です。これは「警告頭痛」とも呼ばれる症状です。警告頭痛が数日間で何度かくり返されたあとに、大きな頭痛に襲われ、くも膜下出血の大きな発作を起こす例が少なくありません。

ほかにも、
(1)目が痛む
(2)ものが二重に見える
(3)めまいを感じる
(4)吐き気をもよおす
(5)体がだるい
(6)頭がボーッとする
などの症状が合わせて見られるでしょう。これらは、一見すると風邪の症状に似ています。

しかし、自己判断をせずに、すみやかに「脳外科」を受診しましょう。くも膜下出血の発症から社会復帰している人のほとんどは、軽度な症状で病院を受診している人たちです。はじめの行動が、その後の容態や生き方を大きく左右します。

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