大量に水を飲むと死ぬ!?「水中毒」の基礎知識!

今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『大量に水を飲むと死ぬ!? 「水中毒」の基礎知識!』をご紹介させて頂きます。
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国内やアメリカでも死亡事故

宮崎県の病院で2012年、入院患者が水中毒で死亡しました。患者は統合失調症を患っていて、入院中も水を大量に飲むことを止められなかったのです。遺族は「病院が洗面台の水道の元栓を閉めるなどの対処をしなかったことが死亡事故を招いた」として損害賠償請求の裁判を起こし、地裁と高裁が病院側の過失を認めました。

またアメリカでは、水飲みコンテストの参加者が死亡した事故が起きています。このときは7リットルの水を飲んだそうです。
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嘔吐から意識障害へ

水中毒の初期症状は、疲労感、頭痛、嘔吐や多尿、発熱です。それが悪化すると、意識障害、けいれん、こん睡、自律神経症状を経て、呼吸困難を引き起こし亡くなります。

ナトリウムが急激に減るから

水を大量に飲むとナトリウムの量が相対的に減ってしまいます。ナトリウムが減って体に異変が起こることを「低ナトリウム血症」といいます。
「ナトリウムが減る」と聞くと、「ナトリウムって塩でしょ。塩って高血圧の原因なんだから少ない方がいいのでは?」と疑問に思う方もいると思います。
ナトリウムについては、このように覚えておいてください。「多すぎてもダメだが、ゼロになると死んでしまう」
ナトリウムは体にとって、なくてはならないミネラルなのです。人の体を構成している細胞や組織は、内側も外側も水分で満たされています。この内側と外側の水分の量を調整しているのが、ナトリウムなのです。ですので、ナトリウムが体内からなくなると、細胞や組織が機能しなくなります。つまり、さまざまな臓器が動かなくなるのです。
そのほかにもナトリウムは、筋肉の動きに関与したり、神経を正常に保ったりしています。
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なぜ大量の水を飲むのか?!

水飲みコンテストは論外としても、なぜ人がそんなに大量の水を飲むのでしょうか。統合失調症などの精神疾患の患者が「病気の症状」として水を飲まずにはいられなくなることは分かっています。ただある精神科医は「医師や看護師であっても、精神科の治療に携わったことのない人は多飲の症状を知らない」と指摘します。

また、精神疾患の患者が、どれだけの水を飲んだのか自己申告することはまれです。ですので、家族など身の回りの人が「この人は水中毒になっていて、水を飲まずにはいられないんだ」と気付いてあげないと、そもそも治療にも取り掛かれないのです。
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熱い場所での仕事、マラソンも…

また、病気をかかえていなくても、気温が高い現場で長時間仕事をしている人は水中毒の症状を引き起こしやすいといわれています。汗でナトリウムが流出しているのに、喉の渇きをいやそうと、大量の水を飲んでしまうからです。簡単に低ナトリウム症を引き起こしてしまうのです。
ですので、マラソン中に大量の水を飲んで水中毒を引き起こすのも、同じメカニズムです。
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1日2リットルが理想!

成人の場合、理想的な1日の水分摂取量は2リットル程度です。誤差を考えると、1.5リットル~2.5リットルの範囲内で水分補給すればよいでしょう。
この「下限の1.5リットル」という数字も覚えておいてください。水中毒より、脱水症状の方が恐いからです。水中毒は「よほどのこと」がないと起きませんが、脱水症状は無意識に陥っていることがあるからです。「多飲はNGだけど、1.5リットルは必ず飲まなきゃダメ」なのです。

薬で治療

水中毒の治療は2つあります。1つは症状を改善することです。
水中毒の症状を抑える薬は「サムスカ(一般名:トルバプタン)」といいます。一般的な利尿薬で追いつかない場合に使う、強い薬です。
2つめは、水中毒も「アルコール中毒」や「ニコチン中毒」と同様に「中毒」ですので、生活習慣を見直す必要があります。精神疾患による水中毒の場合、精神科医の治療が必要になります。熱い現場での仕事をする人は、水分と塩分の摂取量を調整する必要があります。

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