今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『陰嚢湿疹』をご紹介させて頂きます。

その不快の強さから「イノシシのような猛烈なかゆみ」と評されることがある「陰嚢湿疹(いんのうしっしん)」。男性のアソコに発生する病気です。「いのしし≒いんのうしっしん」というダジャレなのですが、そのあだ名は伊達ではありません。

陰嚢は「陰部の嚢(ふくろ)」という意味で、精巣を覆う皮膚、いわゆる「金玉袋」です。こんな場所に湿疹ができることがあるのです。
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陰嚢湿疹のかゆみ

陰嚢湿疹のかゆみは、段階的に強くなっていきます。最初はドラッグストアなどで買うことができるかゆみ止めで治まります。しかし次第に薬が効かなくなってきます。するとかきはじめてしまいます。それで悪化して周囲の皮膚が赤くなってきます。次に肌が「じゅくじゅく」してきます。
「じゅくじゅく」はすぐに「べとべと」になり、パンツが汚れるようになります。この頃から痛みが走り始めますが、痛みよりかゆみが勝り、かきつづけてしまいます。そうしてかさぶたができます。
かさぶたをかきむしる→痛む→より大きなかさぶたができる→かく→痛む→もっと大きなかさぶたができる…と、悪循環どころか、悪化がはなはだしくなっていきます。
本来は「じゅくじゅく」あたりで皮膚科にいっていただきたいのですが、場所が場所だけに相当悪化するまで我慢してしまう人が多いのです。
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陰嚢湿疹は、湿疹のひとつです

湿疹を引き起こすのは「外部の刺激」です。①洗剤、②細菌やウイルス、③アレルゲン(花粉やハウスダスト)が原因となります。これらを遠ざけるようにしましょう。

そして、陰部を清潔にしてください。「清潔だ」と思っていても、すぐに不潔になるのが男性の陰部なのです。男性は、おしっこをした後に陰部を拭かないことが多いでしょう。今後は拭くようにしてください。
そして「しっかり拭いて」ください。男性の陰部は凹凸が際立った形状ですので、拭き残しが生じやすいのです。
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陰嚢湿疹の原因

陰嚢湿疹の原因は、体の内側にあることもあります。食生活の改善が望ましいでしょう。キイワードは「ビタミンC」「ポリフェノール」「乳酸菌」の3つです。
ビタミンCは炎症を抑える効果があります。これを摂れるのは、のり、レモン、パセリ、ピーマン、いちご、ブロッコリーです。
ポリフェノールはアレルギー症状の抑制が期待できます。玄米、コーヒー、春菊、バナナ、納豆、大豆、日本茶、れんこんがおすすめです。
乳酸菌は免疫を正常化する働きがあります。ブームの塩麹にも乳酸菌が含まれています。ヨーグルト、漬物、味噌は定番の乳酸菌食材です。

陰嚢湿疹で皮膚科にかかると、ステロイドを含む薬が処方されます。この薬は劇的な効果を上げる一方で、「子供にステロイドを使わせたくない」という大人も多いでしょう。

医師の見解が分かれていることも、一般の人には混乱の種です。「ステロイドについて間違った認識が広がっている」というステロイド肯定派の医師がいると思えば、「ステロイドを使わなくても湿疹の治療はできる」と主張する反対派の医師もいます。
かかった医者の意見を聞いて、ステロイドを使うかどうか検討するしかなさそうです。

ちなみに「かゆみ」と「痛み」の違いはご存じでしょうか。かゆみも痛みも、体の異変によって生じる不快な症状という点では同じです。違いはこうです。
「かゆみ」は近づきたいと思わせます。「痛み」は遠ざけたいと感じさせます。
つまり「かゆみ」は、かくと快感を生じるのです。だから、「かゆみは悪い症状」と知っていても、触ってしまうのです。
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最後に、陰嚢湿疹に似た症状を起こす深刻な病気を紹介します。こうした病気が隠れていることがあるので、とにかく「陰嚢がかゆい」となったら、医者にかかっていただきたいのです。

性器ヘルペスも最初は陰部が赤くなり水ぶくれができます。水ぶくれが潰れると「ぐじゅぐじゅ」や「べとべと」になります。性器ヘルペスは、ウイルスに感染して発症する病気です。ですので根本的な治療をしないと、症状が治まっても再発する危険があります。

梅毒の症状は、かゆみだけでなく、陰部にしこりができます。押してみてコリコリしたら梅毒が疑われます。しこりは直にただれてきます。「ぐじゅぐじゅ」や「べとべと」は陰嚢湿疹と同じです。梅毒は抗生物質で治すしかありません。必ず医者に行く必要があります。

毛ジラミ症も陰嚢をかゆくさせます。病院で検査をすると、毛ジラミのそのももや、その卵が見つかります。シラミ駆除する治療を行います。

疥癬という病気は、疥癬虫という虫に取りつかれて発症します。陰嚢に侵入することもあります。高齢者が疥癬を発症している場合が多いため、介護施設や病院の職員が感染することがあります。

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