胎児を襲う「TORCH症候群」とは?

今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『TORCH症候群』をご紹介させて頂きます。

今まではブラジルなど南米の一部を中心に流行していたジカ熱が、最近の人の自由な移動に伴いアメリカや日本でも発症者が確認され、南米ではジカ熱と関連があると考えられる小頭症の新生児が急増しており社会問題に発展しています。ジカ熱ジカウィルスが原因で起きる感染症で、蚊を媒介して感染するだけではなく、性交渉によっても感染することが分かっています。ジカ熱に感染した妊婦から産まれた新生児は、脳が通常よりも小さく、長く生きることができないか、成長しても重い神経障害を伴うことが予想されています。日々研究が進められ、今年度中には予防のためのワクチンの産生ができるように努力されています。
しかし胎児を襲うウィルスはジカウィルスだけではありません。同じように妊娠中に感染すると胎児に様々な障害を来す感染症は、頭文字を取ってTORCH症候群と呼ばれています。今回はTORCH症候群の原因や感染経路、胎児への症状の出方について分かりやすくまとめます。
TORCH症候群

TORCH症候群とは

妊娠中に感染すると母体にはあまり症状が出なくても、胎児に大きな障害を引き起こしたり、流産や早産の原因になる感染症の総称を、各疾患の頭文字をとってTORCH症候群と呼びます。
Tはトキソプラズマ症(Toxoplasmosis)、Oは梅毒B型肝炎水痘EBウィルスなどのその他の感染症(Other infections)、Rは風疹(Rubella)、Cはサイトメガロウィルス(Cytomegalovirus)、Hは単純性ヘルペス(Herpes simplex virus)を表しています。
妊婦の感染症の検査の中には、風疹やB型肝炎、梅毒などが含まれています。それぞれの感染症にはペットや生もの、性行為などでうつるなどの特徴があり、風疹などは妊娠前に抗体を測定し事前にワクチンを接種することで予防できます。生まれてくる子供のために、これらの感染症に対して知識をもって日常生活の中でいくつか気を付けるように心がけることはとても大切です。
TORCH症候群

TORCH症候群によって起こる症状とは

トキソプラズマは、加熱の不十分な肉類や土や猫との接触、海外旅行で感染する可能性があります。日本では90%以上の妊婦がトキソプラズマに対する抗体を持っていないため、妊娠中に初感染を起こすリスクは高いと言えます。妊娠後期に感染した場合は、胎児への影響は軽症か症状を認めないこともあると言われていますが、妊娠初期では症状が重く、流死産や水頭症、精神障害などが起きる可能性があります。
梅毒は性行為でうつる感染症で、胎盤が完成する妊娠4か月以降に胎児に感染すると流早産、子宮内胎児死亡、子宮内胎児発育遅延を引き起こし、出産後も骨軟骨炎や皮疹、髄膜炎などの症状が現れ、成長した7-14歳以降も永久歯奇形、角膜炎、内耳神経障害などの後遺症を残すことが分かっています。
風疹は2-3週間の潜伏期間の後に発熱や発疹、リンパ節腫脹をきたす感染症で、妊娠初期に感染すると胎児に難聴白内障緑内障先天性心疾患などの重篤な症状を起こします。妊娠6か月以降に風疹に初感染しても胎児に症状は起きないと考えられています。
サイトメガロウィルスは胎児に感染を起こす頻度が高く、症状も重篤なため注意すべき感染症です。ジカ熱で見られるような小頭症に加えて、胎児水腫、肝機能異常、貧血黄疸、子宮内胎児発育遅延など様々な症状をきたします。また精神遅滞や運動障害、感音性難聴、視力障害、てんかんなど出生後も重症な後遺症を残す可能性が高いと言われています。
単純ヘルペスウィルスは1型と2型があり、性行為で感染するだけでなく、感染後に神経の中に持続して住みつき、免疫力が低下した場合に症状が出ることもあります。感染経路は胎内感染と産道感染があり、小頭症や水頭症などの中枢神経障害や多臓器不全などによる死亡を引き起こします。
TORCH症候群

TORCH症候群の予防法

妊娠初期は器官形成期と呼ばれ、胎児の脳や心臓などの重要な臓器が形成される時期です。この時期に感染症や薬剤、放射線などに曝露されると、胎児に異常をきたしたり、流早産、死産の原因になります。この時期は特に、感染症や食べ物、ペットなどに注意した方が良いです。
例えばトキソプラズマは加熱が不十分な肉や猫の糞からうつる可能性があるので、妊娠中は十分に加熱したものを摂取するように心がけ、猫には触れないようにした方が良いです。
風疹に関しては妊娠する前に抗体を測定し、抗体価が低ければ事前にワクチンを接種することで予防できます。
妊娠中の性行為は、性感染症だけでなく、その他の細菌に感染するリスクを高めるので、コンドームを使用し清潔に行う方が良いです。
また、膣や外陰部に病変を認め、単純ヘルペスウィルスによる感染症と診断された場合には産道感染を防ぐために帝王切開が選択されることがあります。
妊娠中は抵抗力が落ちる時期で様々な感染症にかかりやすい状態でもあります。うがい、手洗いなどに加えて、生ものの摂食や動物との接触を控えるようにしてTORCH症候群だけでなく、その他の感染症も予防するように心がけましょう。

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