角膜炎 カクマクエン

初診に適した診療科目

角膜炎はどんな病気?

角膜炎とは角膜の表面で炎症が起こった状態の総称です。
角膜とは目の表面にある厚さ0.5ミリほどの薄い透明な膜で、構造は5層に分かれています。
角膜は一般的に黒目にあたる部分を指しており、視力形成において重要な役割を果たしている部位です。
発症の原因としては細菌やウイルスの感染症、外傷をはじめ、コンタクトレンズを長期間使用していることが原因で発症することもあります。通常、角膜上皮と呼ばれる一番外側のにあたる膜は涙で保護されていますが、角膜上皮に傷ができることで角膜に微生物が付着し炎症を引き起こします。病原体によって細菌性角膜炎、真菌性角膜炎、アカントアメーバ角膜炎、ヘルペス性角膜炎などに分類されます。

角膜炎を発症するとゴロゴロとした違和感や痛みが症状として現れます。重症化すると視力障害が残ったり失明に至る可能性もある疾患です。目に違和感を感じるなど、初期症状の段階で早期に医療機関を受診し適切な治療を受けることが重要です。

主な症状

角膜炎の場合、原因によって症状がやや異なりますが、共通する典型的な症状としては目がゴロゴロするような異物感や目の痛み、充血があげられます。
また、軽い刺激によって涙が出やすくなるなどの症状もあります。

黒目を覆うように存在する角膜に炎症が起きると、視力に影響する症状も現れます。
視力低下、角膜上皮浮腫による光の散乱・回折現象で光源のまわりに虹が見える場合もあります。

また角膜炎や角膜潰瘍では特に光刺激に対して過敏となり、光がまぶしく痛く感じたり、目の痛みや異物感による反射性の涙液分泌の増加、結膜の充血、黒目が一部白くなるなども症状に挙げられます。

細菌性角膜炎や真菌性角膜炎の場合には、強い目の痛みや大量の目やにも典型的な症状です。真菌性角膜炎は目に持病がある場合や、病気に対する抵抗力が低下している場合に感染のリスクが高くなります。

感染した病原体の種類によって病状の進行は異なります。進行が早い場合には失明に至るケースもあります。

主な原因

角膜炎は細菌感染を原因とするものと、免疫反応・アレルギー反応によるものとに大きく分けられます。

細菌感染によるものの中には、細菌が角膜内で増殖する細菌性角膜感染症、真菌(カビ)によって炎症を引き起こす真菌性角膜炎、ヘルペスウイルスを原因とする角膜ヘルペス、微生物のアメーバによるアメーバ角膜炎などがあります。細菌性角膜感染症はゴミなどの異物が目に混入したり、コンタクトレンズを装着する際に傷がつくことで発症します。
真菌性角膜炎はソフトコンタクトレンズの連続使用や、免疫が低下することでも発症します。
角膜ヘルペスの場合、もともと体の中に持っているウイルスであり、ストレスや疲れをきっかけに発症します。
アメーバ角膜炎の場合、水の中に分布する微生物で、手入れが不十分なソフトコンタクトレンズにアメーバに感染することで発症します。

総じて近年ではコンタクトレンズの不適切使用に関連する角膜炎が多いとされており、特に使い捨てコンタクトレンズの再使用や、レンズのこすり洗いが不十分であるなどの原因が多いです。

主な検査と診断

角膜炎は問診や視診に加え、角膜の状態を観察して総合的に判断されることが多いです。
炎症した角膜を詳しく観察する場合には細隙灯顕微鏡検査を用いて目を拡大し、光を当てて確認します。
その際、フルオレセイン染色と呼ばれる方法で染色を行い、目の表面や傷を見やすくすることもあります。これによって角膜障害の状態が見やすくなります。

細菌や真菌の感染が疑われる場合には角膜の表面の一部をこすり培養する場合もあります。視力検査によって視力に異常がないかを確認したり、屈折率、眼圧の評価も行われます。

眼の病気の早期発見や予防には定期的な検査が推奨されています。目の疾患は自覚症状がなかったり、症状が軽く放置してしまうことも少なくありません。眼科ドックと呼ばれる目に特化した検査を年に1度程度受けることで、症状が進行する前に治療を開始することができます。コンタクトレンズを購入する際は眼科医の検査・処方を受けることも予防のために重要です。

主な治療方法

角膜炎は原因に応じた治療が行わ、例えば病原体による感染が原因の場合にはその病原体に対する治療薬が用いられます。
細菌が原因の場合には抗生物質入りの点眼薬、ウイルスが原因の場合には抗ウイルス薬を用いるのが一般的です。
特に真菌性角膜炎、アメーバ角膜炎などは治療期間が約1~6ヵ月と長くなる傾向があります。

特にアメーバによる感染の場合は手術による治療も検討されます。
これはアメーバが薬物療法に抵抗性を示すことが多いためです。手術による根本治療と点眼薬による症状緩和を並行して行うことが多いです。

免疫反応・アレルギー反応による角膜炎に対してはステロイド点眼薬・内服薬が用いられます。病態や重症度に応じて治療が行われます。

コンタクトレンズの不適切使用など非感染性の原因の場合、コンタクトレンズの正しい使用法を守るなど行動の変化が症状の改善につながります。使用期間を守ることはもちろん、就寝中に装着しない、適切な洗浄を行うなどを徹底することで感染による角膜炎を防ぐことができます。