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医療法人社団慈京会
五十子クリニック

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5.以前に橋本病と言われているけれど、どうしたら良いの?

橋本病は別名、慢性甲状腺炎と言います。慢性的にリンパ球という白血球の一種が甲状腺を刺激し甲状腺に炎症を起こさせる病気です。甲状腺ホルモンが正常な方もいますが、機能低下になることもあります。また長い過程の中で、無痛性甲状腺炎と言って痛みのない甲状腺の炎症を併発することもあります。その際はバセドウ病と同じようにホルモンが高くなってしまうことさえあります。甲状腺ホルモンが高い、というだけでバセドウ病と診断され誤って抗甲状腺薬(メルカゾールやチウラジール)を処方され症状がひどくなってしまう方もいまだに多く診察します。以前に橋本病と言われた方で、動悸がする、汗が多いなどバセドウ病を疑わせる症状があったからと言ってすぐに抗甲状腺薬を服用するのは大変危険です。必ず当クリニックや私が非常勤で勤務する表参道の甲状腺専門病院 伊藤病院(私は月曜日 午後新患外来 ホームページ上では記載ありませんがお電話にてご確認できます。)へご来院してご相談下さい。びっくりするぐらい誤って治療を受けていること多いのです!!
また日常生活の中で気をつけることは3点あります。
 
1.定期的に採血とエコーをすること。(症状がなくても半年毎に採血すること、一年毎にエコーをすること)
甲状腺機能低下症を初期から自覚することはあまりありません。かなり進行してから来院され発覚することが多いので症状がない時でも採血することが重要なのです。また甲状腺内部に変化を来すこともあるので一年毎のエコーも大変重要です。
 
2.妊娠したり、出産後はとてもホルモンが崩れやすくなりますので、細かな採血フォローが重要です。特に妊娠中、機能低下のまま妊娠を経過すると胎児機能に問題を来すことがあります。そのため、なるべく妊娠したとわかったら甲状腺を専門にみるクリニックへ受診してホルモン異常がないかを評価することをお勧めします。
 
3.毎日のイソジンうがい薬によるうがい、昆布の大量服用は避けましょう。甲状腺機能低下につながります。ただし、風邪の際の数日間のイソジンの使用は全く問題ありませんし、普通に昆布を食用することは何ら問題ありません。また海藻類全般を避けるように指導する医師がおりますが、昆布以外は全く心配するヨードの含有量ではありません。
つまらない生活制限はやめて正しい知識をつけて下さい。なんだ、海苔が好きだったのに、止めていました、などと伺うとかわいそうだったなあと感じます。
もちろん、アイソトープ試験や治療の際のヨード制限食の際は細かく制限が必要です。ご参考までヨード含有量の多いものを下記に記載しておきます。
 
昆布 5g;ヨード含有量8340.4μg
わかめ5g;ヨード含有量501.7μg
のり1g;ヨード含有量62.5μg
ヨード卵1個;ヨード含有量400-700μg
いわし一尾;ヨード含有量293.7μg