悪性骨腫瘍 アクセイコツシュヨウ

初診に適した診療科目

悪性骨腫瘍はどんな病気?

悪性骨腫瘍とは骨に発生する悪性の腫瘍です。
派生頻度はきわめて低く、まれな腫瘍と言えます。骨肉腫に代表される原発性骨腫瘍と、肺がんや乳がんの骨への転移に代表される転移性骨腫瘍とがあります。
悪性骨腫瘍全体では転移性骨腫瘍が大半を占めます。
悪性骨腫瘍全体では特に10歳代に発症が多い傾向があります。特徴的な症状は現れない場合も多いですが、進行すると発生している部位に痛みや腫れを感じ、それが長く続くこともあります。主に原発性骨腫瘍は膝や股関節、肩付近に発症することが多く、転移性骨腫瘍は脊椎に発症することも多いです。
骨が徐々に脆くなるため、骨折を起こしてその検査によって発見されるケースも少なくありません。

発症の原因は分かっていないものの、一部には遺伝子の異常が関係している可能性もあると考えられています。悪性骨腫瘍は転移を起こす可能性もあり、最も多い転移部位は肺とされています。骨肉腫の転移は血行性である場合が多いです。

悪性骨腫瘍の場合、治療は専門の施設で行われることが多いです。化学療法や手術による切除などが症状に併せて検討されます。

主な症状

悪性骨腫瘍を発症した場合でも、各腫瘍に特有な症状はありません。
症状が現れるケースとしては、けがをしないのに痛みや腫れが出現し、それが長く続いたりすることが多いです。
骨がもろくなり、骨折して発見されることもあります。
原発性骨腫瘍は膝や股関節、肩などの近くに生じることが多いのですが、転移性骨腫瘍は脊椎にも高い頻度でみられます。

原発性悪性骨腫瘍の中にも軟骨肉腫、脊索腫、ユーイング肉腫、リンパ腫、悪性巨細胞腫、多発性骨髄腫、骨肉腫などさまざまな種類があります。
軟骨肉腫は軟骨のがん細胞からなる腫瘍ですが、その多くは増殖が遅かったり悪性度が低いため転移の可能性が他の腫瘍と比較して低いとされています。
脊索腫は脊柱の端部に多く発症が見られる腫瘍で、仙骨や尾骨にできた場合には痛みが継続して現れます。
ユーイング肉腫の場合は痛みと腫れを生じ、骨全体がに広がるケースもあります。またリンパ腫の場合、痛み、腫れ、軟部組織の蓄積が症状として現れます。

主な原因

悪性骨腫瘍を発症する原因は現在のところ明らかになっていません。
しかし一部では遺伝子の異常による影響が考えられており、現在でも研究が進められています。
この遺伝子異常は親から子供へ遺伝することはないとされています。

転移性骨腫瘍の場合は、他の臓器で発症した悪性細胞が血液やリンパを通じて運ばれ、骨に到達しそこで腫瘍を形成することで発症します。
また骨の周囲に発生した腫瘍が骨にまで広がる侵蝕性腫瘍と呼ばれるものもあります。

悪性骨腫瘍の原発性骨腫瘍で見てみると、骨肉腫は10代の思春期に多いとされており、ユーイング肉腫は小児から思春期にかけて発症することが多いです。
また骨のリンパ腫は40代~50代に発症が多く、多発性骨髄腫は主に高齢者に発生します。これら原発性骨腫瘍の種類の中で最も多くみられるのが多発性骨髄腫です。このように悪性骨腫瘍と言ってもその種類によって、発症しやすい年齢や発症までの経緯には違いがあります。

主な検査と診断

悪性骨腫瘍の診断には骨のX線検査、MRI検査、骨シンチグラフィーなどが行われます。
X線検査を行うことで骨の内部に異常があれば悪性骨腫瘍が疑われます。
さらに詳しく病変を調べるためにMRI検査、骨シンチグラフィーなどの画像検査が行われます。
X線検査ではある程度の腫瘍の詳細を確認できますが、正確な大きさを測定するにはMRI検査なども行う必要があります。
また確定診断には病変部分の腫瘍の組織を採取して顕微鏡で検査をする場合もあります。

また必要に応じて転移したがんを調べる目的で胸部X線検査や胸部のCT検査が行われます。悪性骨腫瘍は肺への転移が多く認められるため、これらの検査によって確認する必要があります。

転移性骨腫瘍の場合、これまでに悪性腫瘍を発症したことがある人が検査で異常が認められて発見されることが多いです。X線写真や骨シンチグラフィーによって異常を見つけることが可能です。血液検査によって血液中の腫瘍マーカーを測定する方法も効果的です。

主な治療方法

悪性骨腫瘍の治療は原発性骨腫瘍か転移性骨腫瘍かによっても異なります。
原発性骨腫瘍の場合、まずは抗がん剤などの化学療法による治療が一般的です。
特に悪性度の高い腫瘍に対しては化学療法がよく用いられます。
また、手術が可能な場合には手術によって腫瘍の切除を行います。
骨を切除することになるため、切除部分を回復するために人工関節を入れたり、人工骨や他の部位の骨を移植する必要があります。
腫瘍の悪性度が高く、化学療法による効果も期待できない場合には四肢を切断しなければならないケースもあります。

症状に応じて化学療法のみ、手術による切除のみ、といった場合もあれば二つを組み合わせて行うこともあります。手術の後に化学療法を行う方法も一般的です。

転移性骨腫瘍の場合には、元となっているがんなどの治療と同時に治療が行われます。
放射線治療、ホルモン治療、骨吸収抑制剤などを用いることが多いです。元となっているがんとして多い例が肺がんや乳がんです。
転移性骨腫瘍の場合でも骨がもろくなって骨折の危険がある場合などには手術が検討されます。