低血圧症 テイケツアツショウ

初診に適した診療科目

低血圧症はどんな病気?

低血圧症とは血圧が通常よりも低い状態がつづき、なおかつなんらかの症状が伴う状態を指します。
一般的には、収縮期血圧(最大血圧)が100mmHg以下の状態を低血圧といいます。
低血圧症を原因疾患の有無からみると、本態性低気圧と症候性(二次性)低気圧の大きく2つに分けることができます。またやせた体型の人や20歳代の女性に多く見られる、とくに目立った症状を伴わない体質性低血圧があります。その他にも、立ち上がった際などに血圧の変動によってめまいなどを生じる起立性低血圧もよくみられます。

血圧が低くなる原因としては、脱水、甲状腺機能低下症、糖尿病、パーキンソン病などさまざまな要因が考えられます。
低血圧症の代表的な症状としてはめまいやふらつき、倦怠感などが挙げられます。

原因が特定できる低血圧症の場合、もとにある基礎疾患の治療を行うことで低血圧症も改善が期待できます。
適度な運動を含めて規則正しい生活サイクルを確率することも予防のために大切です。

主な症状

低血圧症の場合、症状の種類や程度は人によりさまざまです。
脳神経症状では頭痛や頭重、立ちくらみ、肩こり、不眠、倦怠感、集中力の低下などが見られます。また心臓の症状では、動悸、息切れ、脈が速い、不整脈など、胃腸症では、食欲不振、胃のもたれ、下痢、便秘、胸焼けなどが一般的な例としてあげられます。

これらの症状は時間帯で見ると活動が本格化するまでの朝の時間にに多く見られます。
これによってスムーズに起床できなかったり、午前中は倦怠感が強いため活動に支障をきたすケースもあります。
また血圧が極めて低くなるとショック状態を引き起こし、血流不足から臓器が損傷を受ける場合もあります。

起立性低血圧の症状として現れるのがめまいやふらつきです。
主に長時間立ちっぱなしであった際や立ち上がった際に現れることが多いです。
症状が突発的に現れるため転倒してけがをするケースもあり、注意が必要です。高齢者の場合、めまいやふらつきによって転倒し、骨折をすることも多いです。

主な原因

低血圧症の原因はさまざまな要因が関連している場合が多いです。
全身の血液量(循環血液量)の減少、心臓が送り出す血液量(心拍出量)の低下、末梢血管の抵抗、血液の粘稠度(粘りつけ)の減少などが原因として考えられます。

慢性低血圧の中でも症候性低血圧の原因として挙げられるのは脱水、甲状腺機能低下症、アジソン病、糖尿病、多発性硬化症、不整脈、低ナトリウム血症などがあります。
疾患を原因として低血圧を引き起こすものです。急性低血圧の中でも急性心筋梗塞、大量出血、重症感染症などによって急激な経過で血圧が低下する低血圧があります。
命に係わるケースもあり、早期の治療開始が大切です。
また、急性低血圧に含まれる起立性低血圧は、糖尿病やパーキンソン病、シャイドレーガー症候群などが原因となっている可能性がありますが、はっきりと特定できない場合も多いです。起立性低血圧は血液が重力によって移動する変化に対応できていない状態を指します。

主な検査と診断

低血圧症の診断には主に血圧検査が行われます。
まずは患者が横になり安静にしながら測定する一般的な血圧検査から、血圧が基準値より低いことを確認します。
さらに問診や身体所見から疑われる疾患についての検査が行われます。不整脈や心筋梗塞が原因として疑われる場合は心電図検査を行ったり、甲状腺低下症が疑われる場合には血液検査によって甲状腺ホルモンの数値を確認するなど必要に応じた検査が検討されます。

起立性低血圧が疑われる場合には、起立動作によって変動する血圧を詳しく確認することが重要です。
起立前と起立後しばらく経過してからの血圧を比較することで診断がくだされます。
起立後3分以内に収縮期血圧が20mmHg以上、拡張期血圧が10mmHg以上低下していることが診断の基準となります。

また、より詳しく数値を確認したい場合には血液検査、心電図検査、心エコー検査、負荷試験、内分泌検査、ティルト試験なども行われます。
これらの検査も追加して行うことで低血圧症の原因が特定できる場合もあります。

主な治療方法

低血圧症の治療は基礎にある原因の治療、対症療法、弾性着衣などを用いた治療があります。
まずは原因となる疾患が特定されている場合にはその治療が行われます。
例えば糖尿病であればインスリンや血糖降下剤により血糖コントロールを行ったり、甲状腺機能低下症に対しては甲状腺ホルモンの補充療法など、その疾患に適した治療が行われます。
これらが改善することで低血圧症も改善が見られます。

対症療法としては生活習慣の改善が柱となります。
低血圧症は睡眠不足や疲れ、ストレスなどによっても引き起こされます。規則正しい生活、バランスのよい食事を心がけ、水分摂取や適度な運動を行うことで生活サイクルを整えながら症状を和らげる効果が期待できます。

また弾性ストッキングや弾性腹帯などの弾性着衣を使用することは、起立性低血圧の改善に効果的です。
特に弾性ストッキングはふくらはぎと太ももを覆うことで血液が脚の静脈から心臓まで戻る力をサポートすることができます。