無月経症候群 ムゲッケイショウコウグン

初診に適した診療科目

無月経症候群はどんな病気?

無月経症候群とは成熟女性が妊娠・産褥(さんじょく)期以外に月経のない状態になることを指します。
半年~1年以上の無月経を放置すると卵巣の機能が回復しづらくなったり、骨がもろくなる可能性があります。

正常な無月経は思春期以前、妊娠中、授乳中、閉経後に限られ、それ以外の無月経は重篤な疾患の初期症状である可能性もあります。
無月経のほとんどの場合、卵巣からの排卵もなく妊娠ができない状態になります。

病的な無月経には18歳を過ぎても初経が起こらない原発性無月経と、月経が始まっているもののその後3か月以上停止している続発性無月経とがあります。
原発性無月経はごくまれで、無月経の多くは続発性無月経です。

月経はホルモンと深く関連しており、内分泌系からのホルモンが正常な順序で分泌されることで規則正しい月経が起こります。
甲状腺ホルモンやプロラクチンなどのホルモンも月経周期との関連しています。月経に関連する内分泌系のいずれかに問題があり、うまく機能しないことによって無月経が起こります。

主な症状

無月経症候群は月経が停止するだけでなく、その他の症状が現れる場合があります。
具体的には骨粗鬆症、子宮体がんのリスク上昇、多毛、ニキビ、声の低音化、筋肉の増加などが挙げられます。
骨粗鬆症や子宮体がんについてはエストロゲン不足、エストロゲンの持続作用によるものです。多毛やニキビなど男性的な特徴の発達については男性ホルモンが過剰に分泌されることで見られる症状です。

そのほかには視覚障害、嗅覚障害、乳白色の乳頭からの分泌物、体重変化など他の疾患が疑われる症状もあります。

特に医療機関を受診すべきタイミングとしては、13歳までに乳房の発達など思春期の徴候が見られない場合や14歳までに陰毛がみられない場合、16歳までに月経が始まらない場合などが挙げられます。このような場合、原発性無月経の疑いがあります。また、妊娠していない状態で月経が3回以上続けて停止した場合、1年の月経回数が9回未満であった場合、月経のパターンが変化した場合にも医療機関を受診すべきです。これらの場合は続発性無月経が疑われます。

主な原因

無月経症候群は月経に関連するホルモン分泌経路のどこかに障害をきたすことが原因となって発症します。
ホルモンバランスの乱れは疲労やストレスによるものもあります。

中でも卵巣から分泌される女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンは特に重要な役割を果たしています。
この2種類のホルモンは、脳の視床下部と脳下垂体から出るホルモンによって産生と分泌の調整が行われています。
視床下部、下垂体、卵巣、子宮という経路のいずれかに問題があると疑われます。

原発性無月経の原因は卵巣にある場合が多く、続発性無月経の原因は視床下部にある場合が多いとされています。原発性無月経について、卵巣に関わる原因としてはTurner症候群、卵巣発育不全、抗がん剤、放射線治療などの影響が考えられます。また、続発性無月経について、視床下部性の原因としては心因性などによる視床下部の機能障害などが挙げられます。急激なダイエット、肥満は続発性無月経の原因となることがあります。

主な検査と診断

無月経症候群の診断は原発性無月経か続発性無月経かによっても対応が異なります。
原発性無月経の場合、遺伝的な要因で発症する可能性があるためまずは問診で家族歴や症状を確認していきます。
特に身長・体重・乳房や恥毛発達など二次性徴の特徴が現れているかも重要です。同時に内外性器の形に異常が無いかを診察で確認します。
ホルモンの機能が正常に働いているかどうかを確認するために血液検査も行われ、この結果から原因が卵巣にあるのか視床下部や下垂体にあるのかを確認することができます。

続発性無月経の検査では、まずは妊娠の検査が行われます。妊娠していないことが確認できたら超音波検査、血中ホルモン検査などによって確定診断が可能です。
超音波検査では子宮内膜の厚みや卵胞の発育状況などが確認でき、血中ホルモン検査ではホルモンの分泌が正常に行われているかを確認することができます。
また続発性無月経ストレスや環境を要因とする場合もあるため、生活習慣についての問診も大切です。必要に応じて子宮がん検診なども行われます。

主な治療方法

無月経症候群の治療は原発性無月経か続発性無月経かに加え、妊娠を希望するかによっても治療方法が異なります。
まず原発性無月経の場合には手術療法やホルモン療法などが行われます。
特に処女膜や腟が閉鎖している場合には手術によって改善が見込めます。染色体異常を原因とするものでは完治が見込めないケースもあります。

続発性無月経で妊娠を希望する場合、クロミフェン療法と呼ばれる排卵を誘発する方法が用いられます。
妊娠を目的とする治療法ですが、排卵が促されることで月経周期が整う効果が期待できます。
妊娠を希望しない場合にはゲスターゲンを周期的に投与する方法が一般的です。この方法で改善が見られない場合には女性ホルモンを周期的に内服する方法が検討されます。
男性ホルモン過多による症状が顕著な場合には経口避妊薬の投薬治療も有効です。
エストロゲンの欠乏による場合、ビタミンDを積極的に摂取したりカルシウムの摂取量を増やすなどによって改善がみられることもあります。