若年性認知症

初診に適した診療科目

若年性認知症はどんな病気?

認知症は加齢に伴い発症率が高まりますが、比較的若い年代でも認知症を発症することがあります。特に65歳未満の発症者を若年性認知症と呼んでいます。1864歳では人口10万人あたり50人程度の有病率で頻度が高いとは言えませんが、本人が家計や家事の中心的担い手であることも多いため、高齢者の認知症とは違った配慮・支援が必要です。

主な症状

原因によってあらわれる症状はさまざまですが、まず周囲が気づくのは仕事や家事など、これまで行えていた作業が滞るということです。複雑な作業が行えない、言われたことをやり遂げられないなどの遂行機能障害が目立ちます。活気がなく見えたり、集中力が低下しているようにも見えるため、うつ病などの精神疾患と間違われることもあります。

主な原因

全国の若年性認知症の患者数は4万人弱と報告されています。原因として多いのは脳卒中などの脳血管障害によって認知機能低下をきたす血管性認知症で40%程度を占めています。続いて、アルツハイマー型認知症が多く、それ以外にも頭部外傷後の後遺症として認知症をきたすことや、アルコールが原因になることもあります。

主な検査と診断

うつ病・てんかんなど精神神経疾患との鑑別や、身体疾患による治療可能な病状(Treatable Dementia)が見逃されていないかを確認することが重要です。血液検査や頭部CTMRI検査に加え、脳血流SPECTという検査を実施することもあります。残存機能を評価し今後の生活・支援を検討するために詳しい問診検査を行います。

主な治療方法

原因疾患によって治療法は異なりますが、血管性認知症では脳血管障害の再発予防治療を、アルツハイマー型認知症では症状進行を遅らせる薬の治療を行います。治療とあわせて重要なのは生活保障・支援です。就業中の方でしたら、傷病手当金、失業手当、障害年金など、制度を最大限活用して家計をたて直す必要があります。また、高齢者の認知症と大きく異なるのは支援体制が十分とは言えないことです。例えば、デイサービスと呼ばれる通所リハビリも利用者の年齢層が異なり馴染めないことが多いため、就労支援事業を活用することもあります。若年性認知症の方のケアには制度に精通した支援者が欠かせません。専門医療機関での適切な診断・治療とあわせて、若年性認知症支援コーディネーターなど専門窓口にも相談することを勧めます。