血尿(小児)

初診に適した診療科目

血尿(小児)はどんな病気?

血尿とは、尿中に赤血球の異変が尿に現れたもので、別名は赤血球尿と呼ばれます。
日本の乳幼児の血尿は腎疾患が多く、遺伝も見られます。小児の血尿は目で見て明らかに分かる肉眼的血尿のケースは少なく、尿検査をしてわかる程度顕微鏡的血尿がほとんどです。
3歳検尿や学校検尿などで偶然血尿を指摘されることが多いです。

肉眼的血尿では腎臓からの出血によるものは黒褐色や赤茶色、膀胱などの出血によるものは鮮紅色やピンク色になりやすい傾向があります。
小児では、風邪をひくたびに黒褐色や赤茶色の尿が出る場合には慢性腎炎も疑われます。

尿の通り道は尿路と呼ばれ、尿管、膀胱、尿道もしくは腎臓に血尿の原因が隠れているケースが多いです。
しかし血尿しか症状が現れていない場合、原因がどこにあるのか特定できないことも小児においては珍しくありません。その場合は定期的に尿検査を行い、蛋白尿や血尿の悪化をこまめに確認することが重要です。まずは1か月ごとなど短い期間で検査を行い、徐々に検査の間隔を開けて半年から年に1回程度の検査を継続することが多いです。

主な症状

血尿の症状は読んで字の如く、尿に血液が混じった状態をいいます。
血尿は主に腎臓や膀胱の異変から現れます。目で見える場合は赤色から茶褐色の尿が出ます。症状が進行すると、尿に凝固した血液の塊が混じる事もあります。

排尿痛や腹痛などを伴う場合もあれば、ほとんど自覚症状がないケースもあります。小児の場合特に注意が必要なのが黒褐色や赤茶色の尿です。
例えば風邪をひくたびにこれらの症状を繰り返す場合、慢性腎炎が疑われます。

肉眼的血尿の場合、腎臓からの出血では黒褐色や赤茶色の尿になり、膀胱など下部尿路からの出血は鮮紅色やピンク色になりやすいです。
そもそも小児においては肉眼ではわからず尿検査などで発覚する血尿がほとんどです。肉眼的な血尿があった場合には、その色調をきちんと確認し、早めに病院を受診することが大切です。

成人の血尿には腎臓、膀胱、前立腺のがんが疑われるケースもあります。特に血尿があるにもかかわらず、排尿時の痛みや頻尿、腹痛などの目立った症状がない場合には注意が必要です。
 

主な原因

血尿の原因は小児の場合はっきりと特定できないケースも少なくありません。
腎臓、尿管、膀胱、尿道などに原因がある場合が多いのですが、その中でもまれに起こる糸球体腎炎、慢性糸球体腎炎は、早期に発見して適切な治療を開始することによって腎臓機能の悪化を防ぐことができるため、注意が必要と言えます。

症状が血尿のみの場合には腎炎であっでも腎機能は悪化しません。
しかし症状が進行して蛋白尿が続くと腎機能が障害されます。
また小児の血尿において、他の要因として可能性があるのは高カルシウム尿症、水腎症、感染症、嚢胞、左の腎臓がうっ血して血尿を引き起こすナットクラッカー現象、体質性の家族性良性血尿、悪性腫瘍、尿路結石などです。悪性腫瘍、尿路結石は成人の場合に多く、小児ではほとんど見られません。

また、尿に含まれる尿酸塩やシュウ酸塩が乳幼児のおむつに付着し、ピンクやオレンジ色になる場合があり、これを親御さんが血尿と間違えてしまうことも多いです。

主な検査と診断

血尿の検査、診断には一般的に尿沈渣法と呼ばれる血尿の評価法が採用されます。
尿を遠心分離し、上清を捨てて残った成分に含まれる赤血球の数を顕微鏡で確認する方法です。手間はかかるものの確実性が高い点が特徴です。
尿の中に含まれる赤血球の数によって、−、±、1+、2+、3+などでレベル分けをし、+以上が陽性と診断されます。

簡易的な方法としては尿試験紙を用いた方法もあり、検診などで活用されています。
試験紙法の弱点は偽陽性や偽陰性が出るケースがある点です。
尿の中で細菌が増殖していた場合、激しい運動後に筋肉細胞が壊れて細胞内の物質が血中に現れ尿中にも表れ、本当は陰性でも陽性と判定されるケースがあります。また、検査前日の夜にアスコルビン酸を多く含む食品を摂取し、尿中に多量に排泄されると本当は陽性なのに陰性になってしまうということも起こります。これらのことから採尿前は激しい運動を避けたりビタミンC)を多く含む食品を控えるなどに気を付ける必要があります。

主な治療方法

血尿の治療法はその原因によってさまざまです。小児の血尿ははっきりと原因が特定できないことも少なくありません。
また、ナットクラッカー現象のように予後も良好で、成長に伴って自然に治ることがほとんどという場合もあります。

一方で、血尿の原因が糸球体と呼ばれる部分に炎症が起きる糸球体腎炎であった場合には腎臓機能の悪化を防ぐために早期に治療を開始することが求められます。
糸球体腎炎は血液をろ過して尿を作る重要なフィルターの役割を果たしているためです。小児においてはまれなケースと言えます。

多くの場合は定期的に尿検査を受け、蛋白尿などの異常が現れていないかなど経過観察となることが多いです。
集団の検査で発見される血尿の多くは悪化も進行もせず消失するケースが多いですが、まれに定期検査を続ける中で尿所見が悪化して最終的に腎炎を発症することがあります。

もちろん、高カルシウム尿症、水腎症、感染症などが原因がはっきりしている場合にはそれに応じた治療が行われます。