心的外傷後ストレス障害および外傷性精神障害 シンテキガイショウゴストレスショウガイオヨビガイショウセイセイシンショウガイ

初診に適した診療科目

心的外傷後ストレス障害および外傷性精神障害はどんな病気?

心的外傷後ストレス障害および外傷性精神障害はPTSDとも呼ばれ、外傷的な出来事を経験した人が、3つのカテゴリーの症状を同時に満たす際にこの診断を受けます。
1つは、フラッシュバックや悪夢や幻覚等で外傷的な出来事を再体験すること。
2つ目は、想起不能や意欲の低下など刺激に対する持続的で全般的な反応性の麻痺。 3つ目は、易刺激性や過度の警戒心、入眠困難等の覚醒亢進状態です。

原因となる代表的な原因には戦闘、性的暴行、自然災害や人災など、生命が脅かされるような体験全般が原因となる可能性を持っています。自らが重傷を負うなどの直接的な経験もあれば他人が重傷を負った場面を目撃するなど間接的な経験もあります。

症状は1ヵ月以上続くケースが多く、原因となる出来事の直後に急性ストレス障害に次いで発症したり、半年以上たってから発症するなどタイミングも様々です。時間とともに症状が軽減する場合もあれば長年に渡り持続する人もいます。

主な症状

心的外傷後ストレス障害および外傷性精神障害の症状は大きく4種類に分けられます。

1つ目は出来事が頭の中に入り込んでくることによる侵入症状です。原因となる外傷的な出来事が悪夢やフラッシュバックとして何度も現れるものです。

2つ目が回避症状です。出来事を思い出させる状況や人物などを避けようとします。出来事について考えたり話したりすることも避けるようになります。

3つ目が解離性健忘やうつ病など、思考や気分への影響です。出来事を思い出せなくなったり、感情が麻痺するといった反応もよくある症状です。それ以前に好きだったり楽しんでいたことに対して興味が薄れることも多いです。

4つ目が反応の変化です。危険の徴候に対して敏感になったり、自分の反応がコントロールできずに怒りが爆発する、無謀な行動をするなどがあります。

その他には性的暴行を受けた際に、何度も入浴を繰り返すと言った儀式的な行動をするのも症状のひとつです。

主な原因

心的外傷後ストレス障害および外傷性精神障害の原因は大きな心理的ストレスの経験です。
またはその場面を目撃することでも発症する可能性があります。共通しているのは恐怖、無力感、戦慄の感情を引き起こすという点です。

具体的には地震や津波などの大きな自然災害、戦地に赴き命の危険にさらされる、交通事故や航空事故にあう、性的犯罪を受ける、身体的暴行によるいじめ、幼少期の虐待など様々な出来事がPTSDの原因となりるのです。
中でも多いとされているのは自然災害、戦闘、性的犯罪などです。1度その出来事を経験して発症することもあれば、複数回経験したことで発症することもあります。

同様の出来事を経験する中でも発症する、しないは出来事そのものから判断できるものではなく、その人の性格的な要因も大きいとされています。同じ出来事でも心理的なストレスに置き換えた場合それがどの程度のストレスに感じるかは人それぞれであるためです。

主な検査と診断

心的外傷後ストレス障害および外傷性精神障害の診断は具体的な診断基準に基づく問診によって行われます。
症状の有無やきっかけとなる出来事の経験や、症状の持続、日常生活への影響、心的外傷後ストレス障害と関連する症状があるか、などから評価されます。

主に原因となる出来事から1ヵ月以上経過しても症状が持続し、日常生活に支障が出ている場合に診断される場合が多いです。
精神障害のための診断と統計のマニュアルであるDSM-IVではPTSDの原因となる出来事も詳細に定められており、診断は慎重に行われます。
診断の過程で特に注意されるのが薬や他の病気による可能性がないかという点です。

PTSDの症状は複雑かつ人それぞれ症状も異なるため診断されないことも多いのが現状です。しかし診断や治療が遅れた場合、患者の慢性的な衰弱につながる恐れもあります。アメリカなどでは精神障害の診断基準に従いそれぞれ診断が行われ、それが心的外傷によるものとされる場合にPTSDと併記される場合が多いです。

主な治療方法

心的外傷後ストレス障害および外傷性精神障害は治療の主軸として精神療法、さらに必要に応じて薬物療法や他の精神障害の治療が行われるのが一般的です。

精神療法としてヨガなど不安を和らげてコントロールする運動を行ったり、呼吸やリラクゼーションなどストレスを管理する方法を学ぶことも重要です。
また、曝露療法と呼ばれる治療法では患者にトラウマと関連する状況にいること想像させ、出来事について違った形で考えるようサポートします。
トラウマの記憶と不安は結びつきが深いため、患者のペースで治療を進めることが重要です。また近年では、苦しい記憶や生理反応をコントロールするための行動療法も用いられています。
広く探索的な精神療法を行うことで、日常生活を取り戻しやすくなるとされています。

薬物療法では再体験症状や過覚醒の症状に有効とされるSSRIが用いられたり、抗うつ薬や気分安定薬なども選択肢となります。不安を取り除くために使用される安定薬は一時的な症状の抑制という役割以上を果たせないため、使用されないことも増えてきました。