パニック障害

初診に適した診療科目

パニック障害はどんな病気?

パニック障害は、突然起こる激しい動悸や発汗、頻脈、ふるえ、息苦しさ、胸部の不快感、めまいといった体の異常と共に、このままでは死ぬというような強い不安感に襲われる病気です。
パニック障害は不安症の一つであり、近年この病名が使われるようになりました。現在は100人におよそ1人が発症するとされており、珍しくない病となっています。

パニック障害の中でも代表的な症状はパニック発作、予期不安、広場恐怖です。
特にパニック発作は患者に強い恐怖を感じさせ、また発作が起こるのではないかと不安になったり、発作が起きそうな場所や状況を避けるなど日常生活に支障をきたす場合も多いです。
特に仕事や外出に影響が出ます。ただし発作の症状は短時間で収まり、検査でも異常なしという結果がほとんどです。パニック発作そのものが原因で死亡することはありません。

パニック障害はうつ病を合併する可能性があるため診断、治療は早期に開始することが望ましいとされています。

主な症状

パニック障害では、心臓がどきどきする、または心拍数が増加する、発汗、身震い、手足の震え、呼吸が速くなる、息苦しい、息が詰まる、胸の痛みまたは不快感、吐きけ、腹部のいやな感じ、めまい、不安定感、頭が軽くなる、ふらつき、非現実感、自分が自分でない感じ、常軌を逸してしまう、狂ってしまうのではないかと感じる、死ぬのではないかと恐れる、知覚異常(しびれ感、うずき感)、寒気または、ほてり、口の渇き、腰がぬけるといった様々な症状が突然発症し、多くの場合数分から数十分持続して自然に消失します。

比較的短時間で症状が消失することもあり、他人に理解してもらえないという悩みを抱える患者も多いです。発作が起こるのではないかと不安に感じる予期不安や、発作が起こりそうな場所や状況を避ける回避行動が併せて現れます。その結果として、公共の乗り物に乗れなくなる、一人で行動できなくなるなど広場恐怖の状態となります。これは発作が起きた場合に逃げ場がなかったり助けを求められない状態を避けようとするためです。

主な原因

脳の中には、脳内神経伝達物質といわれる物質が数種類あり、外界からの刺激に対応して、さまざまな働きをしています。
パニック障害が起こる原因は明らかにされていないものも多いのですが、恐怖や不安に関係している神経伝達物質「ノルアドレナリン」と、興奮を抑える神経伝達物質「セロトニン」とのバランスが崩れるためと考えられています。
危険な場面で死への危険を察知し、生き延びようとする反応がパニックとなって現れます。これは人間の正常な反応ですが、危険がない場面でも同様の反応を起こしてしまうがパニック障害です。

心理的な原因や風邪などによる体調不良、脳神経機能の異常も一因となる場合があります。 発作を引き起こすものには過労や睡眠不足、ストレスなどの生活習慣や心理的な原因があります。また、家族にパニック障害を持っている人がいると、その他人と比べその発症リスクは高まります。女性の方が男性と比べ発症する確率が高いです。
 

主な検査と診断

パニック障害の検査では基本的に丁寧な問診によって症状を評価していきます。
ICD-10と呼ばれる国際的な診断基準をもとにして診断を行う場合が多いです。発作が起きた時の状況や症状、行動、頻度などを詳細に確認し診断の材料とします。

パニック障害を疑うと同時に、身体的な病気が原因ではないことを確認するために血液検査、心電図、レントゲン写真、心エコーを併せて行われることもあります。別の疾患の疑いがない場合にはそれほど詳細な検査を行うことはありません。パニック障害の症状が起きると、患者自身には心筋梗塞のような症状が現れるため心臓や気管支の病気をまず疑います。しかし検査をしても内科的な疾患や異常が見当たらないという場合、パニック障害である可能性が高くなります。

パニック障害は診断が遅れ、治療開始が遅れたり治療が不適切であった場合、慢性化してしまうというリスクがあります。うつ病などの合併症リスクもあるため早期受診が大切です。

主な治療方法

パニック障害の治療方法には薬物療法を主軸に精神療法を併用するのが一般的です。
薬物療法では予期不安を軽くするために抗うつ薬などが選択されます。短期間で効果が現れる薬ではないため。1~2週間ほど飲み続けて効果を見る必要があります。よく使用されるSSRIという薬には副作用もあり、悪心、めまい、眠気などが現れることもあります。そのほかには三環系抗うつ薬、ベンゾジアゼピン系抗不安薬なども使用されますが同じく副作用があるため医師に従って服用期間や薬の量を調整する必要があります。
まずは効果を見ながら薬の量を調節し、発作の再発を防ぐために3ヵ月程、さらに症状が無くなってから1年程、さらに1年程かけて薬を減らしていくなどの段階を経て最終的に服用なしを目指す流れとなり、治療は長期間に及びます。

その他に認知療法で患者さんの発作を引き起こす誤った考え方を訂正したり、パニック発作が起きた状況で不安が少ないものから同じ体験を積んでいき、恐怖感がなくなるまで繰り返すなどの行動療法も併せて行われます。