ウェルニッケ脳症はどんな病気?
ウェルニッケ脳症は、ビタミンB1(チアミン)の欠乏により錯乱、眼の障害、平衡感覚の喪失を引き起こす脳疾患です。
アルコールの大量摂取が原因となることが多く、ビタミンB1の投与で改善されますが、治療せずにそのまま放置すると死んでしまう病気です。
この病気は重症になると認知症を引き起こすとも言われています。
ウェルニッケ脳症の主な症状は?
ウェルニッケ脳症の症状として代表的なものに、意識障害、眼球運動障害、運動失調の三徴があげられます。意識障害では、傾眠、せん妄、錯乱、昏睡など多種多様な症候がみられます。眼球運動障害では、外転時の障害や眼振がみられることが多いですが、進行すると全外眼筋麻痺に至ることもあります。運動失調では、主として体幹部の失調がみられます。
ウェルニッケ脳症の主な原因は?
ウェルニッケ脳症は昔は飢餓による栄養障害が原因でなるケースが多かったですが、現在は栄養の偏り、つまりインスタント食品や御菓子、アルコールの多飲によるものがほとんどです。妊娠中のつわりによって発症することもあります。また胃の全摘手術を行った人は、のちに欠乏状態が起こりやすいとされています。さらに長期間、点滴治療を受けていたため発症した例などの、医原性のものも報告されています。
ウェルニッケ脳症の主な検査と診断方法は?
ウェルニッケ脳症の簡便な検査方法は、ありません。診断は臨床的に行います。次にMRIやCTで脳内の病変部位を確認する方法があります。脳内の特異的な場所に病変が見られます。
また、他の病因を除外するための検査として、臨床検査を行う必要があります。
ウェルニッケ脳症の主な治療方法は?
ウェルニッケ脳症の治療法は、かなり早い段階でビタミンを投与することが有効だとされています。とくにビタミB1の投与はかなり効果的で、これを数日間にわたって継続的に、だいたい一日あたり1000mgほどのビタミンB1を投与することで治療ができます。投与の方法は即効性のある静脈注射が一般的です。
アルコール依存が伴っている場合があり、そのときにはリハビリなどによる改善も同時に行わなくてはいけなくなります。