切れ痔 キレヂ

初診に適した診療科目

切れ痔はどんな病気?

 「切れ痔」は医学用語では「裂肛(れっこう)」と呼び、肛門の粘膜が便で切れて発症します。肛門は、血流が多く、痛みを感じる知覚神経が発達しているため、出血や痛みを伴います。
 また慢性化すると裂肛の部分が深くなり、裂肛の周囲に肛門のポリープや見張りイボという皮膚の出っ張りができます。さらに長期になりますと肛門が細くなる「肛門狭窄症(こうもんきょうさくしょう)」となります。

主な症状

 切れ痔の症状については、まず、排便時の強い痛みと出血が挙げられます。特に便が硬く太い場合や下痢の際に症状が強くなります。肛門は痛みを感じる神経が鋭いため、激しい痛みを感じる場合も多いです。また出血量は軽度の場合はトイレットペーパーに付く程度ですが、ひどくなると飛び散るようになります。
 また「肛門狭窄」となると、便が細くなったり、下痢便しか出ないなど便が出しにくくなります。

主な原因

便が太く硬いなど便秘気味になると、排便の際に肛門の粘膜が切れます。下痢でも肛門に負担がかかり同様に切れ痔ができる場合があります。
 また痔核により肛門の粘膜が引っ張られ、切れ痔が生じる場合があります(牽引性裂肛)。

主な検査と診断

 検査法はズボンやパンツをひざの辺りまで下ろし、診察台に寝ます。医師は手袋をはめ、ゼリーなどを塗り、触診を行います。力を抜いてリラックスすることが大切です。次に肛門鏡を用い、少し肛門を開いて裂肛の程度や肛門ポリープの有無を確認します。約12分程度の診察時間です。

主な治療方法

治療の基本は便通を改善することです。食事や生活習慣を見直し、お薬を使って便の状態が硬すぎたり下痢にならないようにします。また出血や痛みを伴う場合は、座薬や飲み薬による治療を行います。

手術の適応
裂肛(切れ痔)の部分が慢性化して、すぐに切れる状態が長期に続く場合は手術適応となります。 また肛門狭窄となった場合、『肛門が細い→切れやすい→治る時にさらに肛門が細くなる→さらに切れやすい』という悪循環となります。
それを断ち切るために肛門狭窄解除術(狭窄した内括約筋と粘膜の切開)の適応となります。
 
裂肛と肛門狭窄の手術法
1.側方内括約筋切開術 LSIS(エルエスアイエス)
排便のたびに、肛門が切れてしまう場合は、内外肛門括約筋の過緊張により、裂肛部分が切れやすくなっています。そこで、この括約筋の過緊張状態を改善する手術が「側方内括約筋切開術:LSIS(正式名称 Lateral Subctaneous Internal Sphincterotomy)」です。具体的には内括約筋の一部を切開し、狭くなっている肛門を少し拡げることで、狭窄と緊張を解除します。
 
2.裂肛切除と皮膚弁移動術 Sliding Skin Graft:SSG(スライディングスキングラフト)
裂肛を繰り返すことで、肛門がかなり狭くなってしまい、肛門狭窄の原因が肛門の皮膚部分にも及ぶ場合に、特に有効です。裂肛切除を通常通りに行った後に、切除した部分の近くに皮膚を移動させてもってくることで、肛門部分が拡がることになります。スライドさせた皮膚の近くに三日月状の減張切開を行い、緊張を解除して、皮膚が肛門に寄りやすくします。