今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け!
今回は『授乳中ママが知っておきたい「母乳性黄疸」とは…』をご紹介させて頂きます。

赤ちゃんに多い「黄疸」の症状

赤ちゃん(新生児)は生まれてくるときは、だいたい真っ赤な顔をしています。それが2〜3日すると、白目や肌が黄色くなることがあります。これは「新生児黄疸」と呼ばれる症状です。その症状をはじめて見るとびっくりするでしょうが、不安になることはありません。新生児黄疸は、新生児には起きやすい症状で、生理現象の1つです。

黄疸は「ビリルビン」という物質が、血液中に増えた状態で起こります。健康な成人のビリルビンの量は、血液1dlあたり1mg以下で、3mgを超えると黄疸と診断されます。一方、新生児のビリルビン正常値は、1dlあたり5mgとかなり多めです。そして、新生児黄疸の状態にあるときは、1dlあたり約13mgのビリルビンが体にあります。

なぜ、「黄疸」が起きるの?

赤ちゃんはママのお腹にいるときは、へその緒を通して酸素を体内に取り入れています。しかし、その量は十分とはいえません。そこで酸素を体のすみずみに運ぶ役割である赤血球を体に増やすことで、効率的に酸素を巡らせています。

そして生まれてくると、当然のことながら肺呼吸を開始します。するとたくさんの量の赤血球は必要なくなり、赤ちゃんの体では少しずつ赤血球を分解するようになります。赤血球が分解される過程では、「ビリルビン」という黄色の色素を持つ物質が発生します。

たくさんの赤血球が分解されるため、赤ちゃんの体内ではビリルビンが一時的に増加します。ビリルビンは、肝臓を通して尿などといっしょに体外に排出されるものですが、新生児期は肝臓がまだ十分な働きができないため、たくさんのビリルビンは処理ができずに、新生児特有の「黄疸」があらわれてしまいます。

赤ちゃんの「80%」は黄疸にかかる

新生児黄疸は、新生児の約80%がかかるといわれています。黄疸の症状は、生後2〜3日から始まり、7日目あたりでピークを迎えて、だいたい10〜14日目には治まってくるでしょう。特に治療の必要がないケースがほとんどです。

しかし、赤ちゃん全体の約0.5~2.4%の子は、黄疸が1~2ヶ月間まで長引くことがあります。これは「母乳性黄疸」という症状です。母乳性黄疸は、完全母乳で育っている新生児にみられます。

母乳の約55%は脂肪でできています。そのため、母乳に含まれる「リパーゼ」という酵素が脂肪の消化を助ける働きをしています。ところが、リパーゼは肝臓の動きを抑えることがあるようで、ビリルビンの代謝に影響があらわれてしまいます。すると、血中にあるビリルビンの分解が遅くなり、黄疸の症状が長引いてしまうのです。

母乳の子は、黄疸になりやすい?

母乳性黄疸は、ミルクだけで育つ子には発生しません。それは先にも書いたように、母乳に含まれる「リパーゼ」という酵素が影響しているからです。だからといって、無理に母乳をやめることはないでしょう。

赤ちゃんが元気で、そして体重が増えているようなら黄疸はやがて治まります。赤ちゃんが成長してビリルビンをじょうずに分解処理できるようになると、黄疸は自然に消えてなくなります。しかし念のため、黄疸の症状が1ヶ月以上続くようなら医師に相談するのがよいでしょう。

▶︎医師が薦める「小児科・小児外科」の名医情報なら【名医ログ】