今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け!
今回は『赤ちゃんの血便!「新生児メレナ」に気をつけて』をご紹介させて頂きます。

赤ちゃんに、吐血や下血が見られたら

メレナとは、胃や腸からの出血により、便が黒くなる症状をいいます。そして、新生児メレナとは、生後わりとすぐの赤ちゃんに、吐血や血便が見られる病気です。「真性メレナ」、あるいは「新生児出血症」とも呼ばれます。

生後3日以内から1週間のあいだに、
(1)茶色や黒っぽい血を吐く
(2)血が混じった便をだす
(3)便が黒くタールのようになる
といった症状が見られたら、「新生児メレナ」の可能性が高いでしょう。また、吐血や下血が起こるため、赤ちゃんの顔色が青白くなることがあります。

「真性」と「仮性」に区別される

新生児メレナは、症状に吐血や下血が見られる病気ですが、「その血液が、どこから来たものなのか」によって、「真性メレナ」と「仮性メレナ」の2つに区別されます。吐血や下血で見られる血液が、赤ちゃんの消化管(食道、胃、腸など)から出血したものであると「真性メレナ」と呼ばれ、分娩時や授乳のときにママの血液を飲み込んだことで起こる吐血や下血では「仮性メレナ」と判断されます。

症状は同じように見えますが、原因がママの血液(仮性メレナ)であった場合には、赤ちゃんの体に異常はなく、基本的に治療する必要はありません。そのため、赤ちゃんの下血が「真性メレナ」か、あるいは「仮性メレナ」であるかを区別することは、大事なことです。

「黒い便」と「赤い便」の違いはどうして起こる?

新生児メレナに見られる血便では、黒いものと赤いものがあります。この違いは、出血している箇所によって起こります。

黒い血便が見られるときは、出血は食道・胃・十二指腸にあると考えられます。消化管の上部で発生した出血に胃液などが混ざって変色し、黒くタール状の便が出るようになります。一方、赤い便が見られるときは、十二指腸以降の消化管(盲腸や直腸など)に出血があると考えてよいでしょう。

原因は「ビタミンK」の不足

新生児メレナ(真性メレナ)の原因は、赤ちゃんの「ビタミンKの欠乏」です。出血した血液を固めるには「プロトロンビン」という物質の働きが必要です。プロトロンビンは、ビタミンKを材料に肝臓でつくられます。

しかし、ビタミンKは胎盤を通過することができないため、生後まもない赤ちゃんは、体内にビタミンKの蓄積量が少なく、そもそも不足がちな状態です。

天然に存在するビタミンKは、「K1」と「K2」の2つがあります。ビタミンK1は、フィロキノンとも呼ばれ、緑黄色野菜・海藻類・植物油などを摂取することで体内に取り入れることができます。また、ビタミンK2は、メナキノンとも言い、腸内細菌によって合成されます。赤ちゃんは、食事を摂ることができないうえに、腸内細菌がまだ働いていないため、ビタミンKの欠乏症にかかりやすいといえます。

だいたいは「シロップを飲む」と治る

赤ちゃんは、新生児メレナの予防として、生後すぐ、生後1週間、1ヶ月検診のタイミングで計3回、「ビタミンK2のシロップ」を摂取するのが一般的です。退院するまでのあいだは「産科」で、1ヶ月検診では「小児科」で、それぞれ服用します。少量ですが、これによりビタミンK不足が解消されます。

また、市販のミルクでは、あらかじめビタミンKが配合されているものが多く、最近では、新生児メレナは完全母乳の赤ちゃんに見られる病気となっています。ビタミンK2のシロップを服用後も、吐血や下血が見られるようなら、すみやかに小児科を受診しましょう。

▶︎医師が薦める「小児科・小児外科」の名医情報なら【名医ログ】