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今回は『スマホから出る「ブルーライト」の影響と対策』をご紹介させて頂きます。

人間が見られる「もっとも強い」光線

パソコンやスマートフォンなどのLEDディスプレイで多く使われる「ブルーライト」は、波長が380~500ナノメートルの光で、人間が見ることのできる光線のなかでは、他の光よりも強いエネルギーを持っています。

その強さは紫外線に近く、角膜や水晶体で吸収されずに網膜まで届くことから、人体にさまざまな影響があるとされています。

1時間使ったら「15分以上」休憩する

厚生労働省やパソコン、スマートフォンのメーカーは、ブルーライトの健康への影響を考えて、「連続して1時間の操作を行ったときは、15分以上の休憩を取りましょう」と私たちユーザーに呼びかけています。

ブルーライトによる影響は、網膜や角膜など眼に対する被害や、肩こりなどの発症を想像します。確かにこれらの被害は多発していますが、問題はそれだけではありません。意外なところにも悪い影響は及び、現在では、次の5つが問題視されています。

・目や肩の疲れ
・網膜への影響
・睡眠への影響
・肌への影響
・メタボリックへの影響

目や肩の疲れは「脳の疲れ」

長時間にわたるパソコン作業やスマートフォンの操作による「眼精疲労」や「ドライアイ」の症状は、ブルーライトが大きな原因です。

ブルーライトは光の波が小さく細かい(波長が短い)ため、空中のチリやほこりによって散乱しやすい性質を持っています。これがパソコンなどの画面のぶれ、まぶしさ、チラつきとしてあらわれ、私たちの目はピント合わせに苦労します。

すると、目の筋肉や視覚を認識する脳が疲れて、眼痛・かすみ・まぶしさ・充血などの目の症状や、頭痛・肩こり・吐き気などの全身症状につながります。

強烈な光が「網膜」を襲う

私たいの目は、角膜や水晶体で光を屈折させながら、網膜に集めることでものを見ています。ところが、ブルーライトは、強いエネルギーをもっているため刺激性が高く、青い光が角膜や水晶体で吸収されず、ストレートに網膜に到達してしまいます。

強烈な光をあびつづけると、「網膜」や網膜の中心にある「黄斑部」はダメージを受け、黄斑変性症(視力の低下や視界の欠如が起こる病気)などの網膜疾患を引き起こす恐れがあります。

「睡眠の質」が低下する

私たちの目がブルーライトを認識すると、脳内では「メラトニン」という物質の産生量が減少します。メラトニンは、眠りを誘導するホルモンです。

地球上の生物は、地球の自転に合わせて、24時間の周期で生活するためのリズムを体内に持っています。そのリズムを「サーカディアンリズム」といいます。これはラテン語で、サーカとは「約」、ディアンは「1日」を意味します。

メラトニンは、サーカディアンリズムに従って夜に分泌されます。しかし、夜遅くまで(22時以降)パソコンやスマートフォンなどのブルーライトを浴びていると、サーカディアンリズムは乱れ、メラトニンの分泌は低下します。寝つきが悪い、眠りが浅い、寝ても疲れがとれない、など「睡眠の質」が著しく低下し、日常生活に支障が出るでしょう。

また、サーカディアンリズムの乱れは、精神に及ぼす影響も大きく、イライラする、集中力が低下する、怒りっぽくなる、などの症状を引き起こします。

1時間のスマホで「肌が老化」する!!

ブルーライトは、紫外線に近い光線です。そのため、肌の深くまで浸透し、1時間以上浴びるだけでも、色素沈着(日焼け)、シミ、くすみの原因になることが確認されています。

昼間は仕事でパソコン作業、朝と夜はスマートフォンの操作やテレビ鑑賞、という生活の人も最近は多いようです。この状況は、紫外線対策をせずに、1日に何時間も太陽の光を浴びているようなものです。

スマホの使いすぎは「太る」

ブルーライトとメタボリックが深く関係している事実は、多くの研究機関で確認されていますが、世間ではあまり知られていないようです。

ブルーライトによるサーカディアンリズムの乱れは、インスリンなどホルモンの働きを低下させ、糖尿病のリスクを高めます。また、心拍や血圧などの生理機能にも影響し、高血圧、心筋梗塞にかかる可能性が高まります。

イギリスでは、ブルーライトを3時間以上浴びつづけると、空腹感が刺激され、肥満になりやすいとの実験結果が報告されています。

今日からはじめる4つの対策

現代社会では、ブルーライトを避けて生活することは難しいかもしれません。そこで、次のような対策を行うとよいでしょう。

<寝る前のスマホやパソコンは控える>
寝るまえのひとときは、ついスポーツの結果やSNSなどをチェックしてしまいがちですが、思い切ってその習慣はやめましょう。眠りの「質」をよくするには、就寝する2~3時間前から、パソコンやスマホを見ないよう心掛けます。

<ディスプレイの明るさを下げる>
パソコンのディスプレイ画面の明るさを下げるようにしましょう。パソコンは、ディスプレイ調節の設定で、「青色光」の輝度を下げます。赤と緑の発光が強くなるため、画面は少し赤みがかりますが、少しすればこれは慣れるでしょう。

<軽減アプリを使う>
スマートフォンは、ブルーライトを軽減するアプリを使うのがよいでしょう。ブルーライト対策の「フィルター」や「プロテクター」などの名称で検索すると見つかります。

<ブルーライト対策用のグッズを使う>
ディスプレイにプルーライトを軽減する専用フィルムを貼ったり、ブルーライト対策用のメガネをかけたりするのも効果のある方法です。メガネは、茶色っぽいレンズのほうが、青色光を遮断してくれるようです。