今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『認知症と血液検査』をご紹介させて頂きます。
私たちの社会は高齢化が進んでおり、それに伴って様々な病気が多くの方に見られるようになりました。
その中でもアルツハイマー型認知症は今、メディアのあちこちでテーマとして取り上げられ、治療方法がしっかりと決まっていない治療の難しい病気として有名にもなりました。
アルツハイマー型認知症の発症原因はいまだ明確には分かっておらず、また脳が萎縮する病気だけあってその症状から日常生活への支障を避けられないので、誰しもが将来アルツハイマー型認知症にはなりたくないと思っているのではないでしょうか。
さらにその治療法も現在は対症療法薬が主流で、症状の進行を遅らせることしかできないとされています。
アルツハイマー病を未然に防ぐ!?
現在の私たちは、アルツハイマー型認知症を早期発見し、治療薬で病気の進行を遅らせる、または未然に病気を防ぐ必要が出てきました。
ではそんなアルツハイマー型認知症をどうやって早期発見するのでしょうか。
今回はアルツハイマー型認知症の早期発見として行われているMCIスクリーニング検査という血液検査について紹介したいと思います。
認知症の初期症状に注目!
認知症にはその前駆状態である軽度認知障害(MCI)というものが存在します。物忘れが多くなってくる状態であるこの軽度認知症を早期発見することで、認知症も早期に発見しようと考えられています。
ヒントは認知症の原因物質!?
また現在認知症の発症原因に関与していると考えられている物質は、アミロイドβペプチドです。これが脳内に蓄積し、神経細胞へダメージを与えることで、神経伝達への障害、脳の萎縮が起きるとされています。
健常者の脳内ではこのアミロイドβペプチドが脳内に蓄積しすぎないように様々なアミロイドβペプチド分解たんぱく質が働いていて、アミロイドβペプチドをコントロールしています。
そこで、これらのタンパク質のうち軽度認知症とアルツハイマー型認知症とで血液濃度に変化のある3つタンパク質に注目することで、軽度認知症を早期発見できるように開発されたのがMCIスクリーニング検査なのです。
軽度認知症やアルツハイマー型認知症でアミロイドβペプチドが脳内で蓄積しやすいようになっているのは、アミロイドβペプチドを分解するタンパク質の血中濃度が低下しているからだと考えられます。
アミロイドβペプチドを排除する機構の働きが弱くなることで認知症を発症しやすくなります。
MCIスクリーニング検査の実態とは…
MCIスクリーニング検査自体はとても簡単で、1回7~10㏄ほどの血液を採取するだけで、検査から2週間後には軽度認知症の発症リスクを知ることができます。
現在では全国で929件の医療機関にこのMCIスクリーニング検査が導入されているため、お近くの医療機関で検査を受けることもできます。
ただ健康保険適用外の検査となっていて自己負担で2~3万円費用がかかりますが、この検査によって自分の脳内にどれだけアミロイドβペプチドがたまりやすいのかを知り、積極的に予防を行うことや、早期診断や治療によって、未然に認知症を防ぐことも出来るのです。
特に遺伝的に認知症のリスクがある方は、その症状に応じた家族の支援や、早期の認知症療法の実施によって、予防やそれほど症状が悪化することのない将来を手にすることができるなら、このMCIスクリーニング検査を受けてみる価値はありそうです。