今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『チェコレートは認知症予防に効果的?』をご紹介させて頂きます。

認知症の種類

認知症は近年増加している疾患です。厚生労働省の発表では、現在65歳以上の7人に1人が認知症で、10年後には5人に1人まで上昇すると推測されています。また認知症の前段階である軽度認知障害の高齢者も同数程度いると考えられています。さらに65歳未満で発症する若年性認知症も増えてきています。
認知症にはいくつかの種類があります。最も多いのはアルツハイマー型認知症で、次に脳血管型認知症です。アルツハイマー型認知症は脳にアミロイドベータのいうたんぱく質がたまることによって正常な脳細胞が破壊される病気ですが、なぜアミロイドベータがたまるのかについては明らかになっていません。ただし、糖尿病高血圧がある人は、ない人と比べてアルツハイマー型認知症になりやすいと言われています。脳血管型認知症脳梗塞脳出血によって起きる認知症です。こちらも生活習慣病が関与しています。
もともとチョコレートには血管を丈夫にする成分があると言われています。動脈硬化を予防することは間接的に認知症を予防します。しかしチョコレートにはもっと直接的に認知症を予防する効果があることがわかりました。
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チョコレートのどの成分が認知症に有効?

認知症に効果があるとされるのはカカオポリフェノールです。カカオポリフェノールは活性酸素を抑える働きがあり、これによりコレステロール値の改善、心疾患のリスク低下、インスリン抵抗性の改善などの効果があるといわれています。最近ではカカオの含有量が多いチョコレートが販売されていますが、カカオの含有量が増えると苦みが増します。この苦みがポリフェノールです。ポリフェノールは赤ワインやお茶などにも含まれますが、カカオには赤ワインの4倍以上のポリフェノールが含まれていて、効率的に必要な成分を摂取することができます。
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日本で行われた研究

日本国内で行われたチョコレートを毎日一定量摂取する調査では、脳細胞の増加に必要な脳由来神経栄養因子が増えていることがわかりました。この脳由来神経栄養因子は65歳以上で減少すると言われている成分です。特に記憶に関連する脳の海馬という場所にたくさんあり、マウスの実験では脳由来神経栄養因子を半分に減らした場合、学習能力が低下することが示されています。その後の研究では脳由来神経栄養因子はアルツハイマー型認知症とも関連があることがわかりました。
さらにカカオポリフェノールを摂取すると脳血流量が増加することもわかっています。脳血流量が増えると、認知機能のテストの点が改善することが報告されました。
また、動脈硬化症になりやすいといわれる炎症や酸化ストレスが高い人では、チョコレートを摂取するとこの2つの数値が低下することもわかっています。
チョコレートにはこのように複数の効果によって認知症を予防できる可能性があります。
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実際はどのようにチョコレートを摂取するとよい?

認知症に効果があるからといってチョコレートをたくさん食べればよい、というものではありません。ほとんどのチョコレートは糖分をたくさん含んでいるため、とり過ぎれば血糖が上がって糖尿病になってしまうこともあります。チョコレートはうつ病の改善にも効果がありますが、逆に摂り過ぎるとうつ病が悪化することもあります。さらにチョコレートには依存性があるので、欲しいままに口にすると摂り過ぎてしまう可能性あります。そのため1日の摂取量を決めておいた方がよいでしょう。
脳由来神経栄養因子の増加を証明した先の研究ではカカオを72%含むチョコレートを1日25g摂取しています。日常的にはカカオ70%以上のチョコレートを1日あたり25-50g摂取するのが良いと考えられています。

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