今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け!今回は『「不妊治療」の主な種類やステップ』をご紹介させて頂きます。

「晩婚化」と「不妊症」の関係

世界的に先進国では、晩婚化が進んでいます。厚生労働省が実施する「人口動態統計」によると、「夫妻とも初婚」は減少傾向にあり、平均初婚年齢、夫が30.7歳、妻は29歳と発表されています。日本は約20年のあいだに、平均初婚年齢が2歳以上も上昇しているようです。将来的にみても、日本は、1年で約0.1〜0.3歳ずつ結婚年齢は遅くなり、これまで以上に「晩婚化が進む」と予想されています。

晩婚化の原因は多々あるでしょうが、そういった結婚の遅れが影響しているためか、「不妊の検査や治療」を受ける人が増えているようです。人間の体は、自然妊娠が起こる確率(妊孕力:にんようりょく)は、29歳以下の女性で約30~50%といわれています。そして、26歳をピークにその確率は緩やかに下がり、35歳を過ぎると急激に低下します。

不妊治療で「誕生する子ども」は増えている

年齢が高くなると子どもは授かりにくくなる、といわれますが、それは「不妊治療」においても同じことがいえます。35歳を過ぎると、不妊治療でも妊娠の確率が低下する事実は否めません。しかし、「生殖補助医療」の技術は、近年目覚ましい進歩を遂げており、不妊治療の成果によって、生まれてくる子どもの数が増えているのも事実です。

不妊の原因は夫婦によってさまざまです。男性では、精子の数や運動に問題があることが挙げられ、女性では、卵巣機能・卵管・子宮・甲状腺の問題などがみられます。

WHO(World Health Organization:世界保健機関 )による調査では、不妊症原因の割合は、男性24%、女性41%、男女共24%、不明11%と発表されています。研究機関によっては、原因の男女比は、ほぼ半分という意見もあります。つまり、どちらかの原因を追求するよりも、夫婦の課題として、お互いの協力のもと、前向きに取り組む気持ちが大切なのでしょう。

国内47万人が行う「不妊治療」

現在のところ、 WHOや日本産科婦人科学会では、夫婦が妊娠を希望して1年以上妊活を行っていても、妊娠しない場合を「不妊症」と定めています。現在では、不妊のカップルは約10組に1組と言われ、早い段階で不妊治療を始める人たちが増えています。

不妊治療は、すでに国内では約47万人が経験する治療方法です。実際、1年間に生まれた赤ちゃんのうち、約27人に1人が体外受精で生まれているともいわれています。不妊治療は、不妊症の治療の総称で、大きく「一般不妊治療」と「生殖補助医療(ART:Assisted Reproductive Technology)」の2つに分けられます。

通常は、はじめに「一般不妊治療」を行い、そこで思うような成果が得られないときに「生殖補助医療」に切り替えて、治療を進めます。

3種類の「一般不妊治療」とは?

厚生労働省の調査によると、一般不妊治療は、すでに約20万人が治療を受けている療法です。おもに
(1)薬物療法
(2)卵管通気法
(3)精管形成術
の3つが挙げられます。「一般不妊治療」は、健康保険が適用されます。

<薬物療法>
「薬物療法」は、クロミフェンやシクロフェニルといった排卵誘発剤を服用(あるいは注射)することで、卵を育てるためにホルモンの分泌を活発にする治療法です。

<卵管通気法>
不妊症患者の約30%は、卵管に何らかの原因があるといわれています。「卵管通気法」は、卵管内の閉塞などによって受精が起こりにくくなる卵管疎通障害に対する治療です。

<精管形成術>
「精管形成術」は、精子を作る精管の閉塞などが原因によって、無精子症が起きる精管機能障害に対する処置を行う手術です。

進歩する2つの「生殖補助医療」とは?

生殖補助医療は、1978年イギリスで、世界初の体外受精が成功して以来、近年目覚ましく進歩した不妊治療法です。「人工授精」と「体外受精」に大きく分類されます。しかし現在のところ、日本では健康保険が適用されていません。

<人工授精>
「人工授精」は、採取した精液の中から運動良好ものを選び、注入器を使って、精子を直接子宮腔に注入し、妊娠をはかる治療法です。1回あたり、約2〜3万円の費用がかかります。

<体外受精>
「体外受精」は、大きく「体外受精・胚移植(IVF-ET)」、「顕微授精(ICSI)」、「凍結胚・融解移植」の3つに分けられます。1回あたりの治療で、約30〜60万円の費用がかかります。

「体外受精・胚移植(IVF-ET)」は、未受精卵を取り出し、精子と共存させて受精が起こった卵を、培養して子宮に移植する方法です。「顕微授精(ICSI)」、体外受精では受精が起こらない男性不妊のための治療の1つです。卵子に細い針を入れて、精子を注入します。

「凍結胚・融解移植」は、受精卵を凍結保存した後、これをとかして子宮内に移植する方法です。採卵は女性の体に負担がかかるため、凍結胚・融解移植は、安全で効率的に妊娠の機会を増やすメリットがあります。

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