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今回は『不妊の原因になる?「子宮内膜症」とは?』をご紹介させて頂きます。

女性の「10人に1人」が発症する

子宮内を覆う粘膜の「子宮内膜」は本来、子宮の内側にあるものです。ところが、「子宮内膜症」は、子宮内膜に似た組織が、子宮以外の場所にできてしまう病気です。発生場所には、
(1)卵巣
(2)卵管
(3)腹膜
(4)子宮と直腸の間のくぼみ(ダグラス窩)などが挙げられます。
これらの場所にできた内膜も、子宮内膜と同じように生理のサイクルに沿って、増殖・脱落・出血をくり返します。

ところが、子宮以外に起こった脱落や出血には出口がなく、体の外に排出することができないため、お腹のなかに溜まって、やがて炎症を起こします。すると、強い月経痛を伴い、学校、仕事、家事はもちろん日常生活にも影響が出るでしょう。「子宮内膜症」は、女性ホルモンの「エストロゲン」が盛んに分泌される20〜40歳代に見られる病気です。国内では、女性の10人に1人が「子宮内膜症」を発症しているといわれています。

毎月「つらい月経痛」で寝込む

「子宮内膜症」の症状は、毎月つらい月経痛(下腹部の痛み)に悩まされます。あまりのつらさに毎月寝込んでしまう人もいるくらいです。さらに、月経時の出血量が異常に多いことが認められます。月経時以外のときにも、
(1)下腹部や腰の痛み
(2)疲労感、
(3)倦怠感
を感じることがあります。特に排便のときに腹部が強い痛み(排便痛)に襲われるのが特徴です。

子宮内膜症は月経のたびに炎症が起こるため、月経の回数にあわせて病気が進行します。子宮や卵巣など臓器の表面にあらわれる「内膜」が、月経のたびに炎症して大きく広がり、やがて臓器と臓器をくっつける「癒着」がはじまると、臓器の働きが悪くなり、体調不良が続き、気持ちが落ち込むなど精神的な疲労につながることがあります。

「不妊の原因」の1つといわれる

子宮内膜症によって、妊娠しにくくなり「不妊」の原因になる人もいます。実際、子宮内膜症患者の約20〜30%が不妊症と診断されています。また、不妊症患者の約25~50%に子宮内膜症が認められることが報告されています。しかし、必ず不妊になるというわけではありません。子宮内膜症の患者でも自然に妊娠・出産する人は多くいます。

詳しい因果関係については明らかになっていません。ですが、「子宮内膜症」と「不妊症」のあいだに何らかの繋がりがあると考えられていることは事実です。そして、子宮内膜症の症状が進行すると妊娠によくない影響があるといわれます。子宮内膜症では、早期発見・早期治療を行うことで、不妊を防ぐことにもつながります。

できるだけ早めに「婦人科」を受診

つらい月経痛が続くようなら、早めに「婦人科」を受診しましょう。問診、内診、超音波検査、MRI・CTなどの画像検査、腹腔鏡検査(局所麻酔後に腹部に小さな孔をあけて、細い内視鏡で患部を確認する検査)、血液検査などによって、診断が確定します。子宮内膜症の詳しい原因については、現在のところ明らかになっていません。子宮内膜症は再発を繰り返しやすく、基本的に長くつきあっていくタイプ病気です。

治療には「薬物療法」と「手術療法」があります。「薬物療法」は、月経痛、下腹部痛などの症状を抑える「鎮痛薬」や、子宮内膜の増殖を抑える「低用量エストロゲン・プロゲスチン製剤」が処方されます。また、エストロゲンの分泌を抑制する「ホルモン療法」を行うことがあります。

「手術療法」では、将来的に妊娠・出産を望む場合は、子宮内膜症の癒着部分だけを取り除く「保存手術」が選択されるでしょう。また、完全に治すには、子宮、卵巣、卵管などをすべて摘出するの「根治手術」を行います。ただし、術後に更年期症状が発生するケースが多いため、十分な検討が必要です。

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