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今回は『赤ちゃんの約5%に見られる「耳ろう孔」とは?』をご紹介させて頂きます。

耳のある、この「小さな穴」はなに?

赤ちゃんの約5%の割合で、耳のつけ根や耳たぶのあたりに、小さな穴がある子がいます。生まれつき耳にあいているこの小さな穴は「先天性耳ろう孔(せんてんせいじろうこう)」と呼ばれるものです。両耳よりも、片耳のほうが比較的多くあらわれます。

穴(医学的には「孔」といいます)の大きさは個人差がありますが、だいたい縫い針ほどのサイズです。見た感じはピアスの穴のように見えます。小さな穴であるために、あることすら気づかない子も(親も)いるといわれています。穴のなかは袋状になっていて、深さ(奥行き)が浅い子もいれば、なかが複雑で深い子もいます。

なぜか、日本人に多い?

先天性耳ろう孔の原因は、今のところはっきり分かっていませんが、同じ家系に複数人あらわれるケースが見られることを考えると、遺伝の関与が考えられています。ママのお腹の中で耳が作られるときに、完全に塞がっていなかったことが原因とする説もあります。

発生頻度は欧米人は約1~2%ですが、それに比べ、日本人は約5%と高い傾向があります。こちらも理由は定かではありません。

原因が明らかでない穴ですが、それほど深刻になる必要はありません。病気ではないため、何も症状がなければ治療する必要はありません。そのまま放置していてよいでしょう。ただし、細菌などが入ると腫れることがありますので、穴の周囲を清潔にするよう心掛けます。

ときどき「炎症する」こともある

耳ろう孔は、ときどき中から白い液体が出ることがあります。これは皮膚の表面を保護するための脂で、いわゆる分泌物です。周囲の人が気がつくほど、強い臭いがします。この白い分泌物が原因となって、炎症を起こすことがあります。

また、穴の奥に隠れている細菌が、風邪や疲労などで抵抗力が弱っていると、なかに膿がたまります。どちらも、穴の周囲に赤みが見られ、腫れて強い痛みをともないます。

そして、気温が高くなると汗などによって、痒みが出ることがあります。汚れた手で穴やその周囲に触れると、、指先から細菌が侵入して炎症を起こします。感染しないよう日頃から、耳ろう孔は清潔にしておくことが大事です。

腫れたら「耳鼻咽喉科」を受診する!

炎症を起こしたときは、「耳鼻咽喉科」を受診します。症状が軽いときは、抗生剤(抗生物質)や消炎鎮痛剤を服用し、炎症が治まるのを待ちます。炎症がひどい状態では、皮膚を切開して「うみ」を出すことになるでしょう。

症状によっては、穴のなかにある袋ごと摘出する手術を行います。摘出をすれば再発することはありません。手術の傷跡は、目立たないよう工夫して処置されるようになっています。

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