今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『子宮頸がんの原因。ヒトパピローマウイルス(HPV)とは?』をご紹介させて頂きます。

「子宮頸がんとヒトパピローマウイルスの関係」

日本で「子宮頸がん」の発症者は、毎年約1万5000人といわれています。20~30歳代の若い世代の発症者数はこの10年で約2倍となっています。そのため、子宮頸がん検診の公費負担が2005年から20歳以上に引き下げられています。

子宮頸がんは、子宮の下部にある「子宮頸部」とよばれる部分に発生します。子宮の入り口付近であるため、婦人科の診察で発見されやすく、比較的治療しやすがんといえます。

子宮頸がんの発生には「ヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papillomavirus)」の感染が大きく関係しています。子宮頸がん患者の90%以上から、HPVが検出されています。ドイツのウイルス学者であるハラルド・ツア・ハウゼン氏は、子宮頸がんを引き起こすヒトパピローマウイルスの発見で、2008年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。
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性行為の低年齢化により、若者のHPV感染者数が急増!!

ヒトパピローマウイルスは、性行為で感染する一般的なウイルスです。性経験のある女性の約50〜80%以上が生涯で一度は感染するといわれています。性行為によって子宮や口腔に生じる小さな傷から感染します。また、性器の皮膚同士の接触でも感染することが知られています。

もっとも感染機会が多いのは、性行為をはじめて経験した直後のようです。最近では、性行為開始の低年齢化が進んでいるため、若者の感染者数が急増しています。近年、若い女性の子宮頸がん罹患が増えていることもあり、厚生労働省は、ヒトパピローマウイルスを問題視しています。
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90%の人は、免疫力によってウイルスは排除される

ヒトパピローマウイルスは、乳頭腫というイボのウイルスです。100種類以上もの遺伝子型が特定され、そのうちの13種類に発がん性があることが分かっています。

感染者の約90%は、免疫力によってヒトパピローマウイルスが排除されるため、がんを発症することはありません。数ヶ月以内に自然に治癒し、2年以内でほとんどが治ります。

しかし、約10%の人は何らかの理由で特定の型(約70%は16型か18型)のウイルス感染が長期化(持続感染)し、さらにその中の約1%の人が約15〜20年経過して子宮頸がんを発症しています。
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子宮頸がん予防も期待される「HPVワクチン」

話を整理すると、ヒトパピローマウイルス感染者のなかの子宮頸がん発症率は「約0.1%」です。子宮がん検診を定期的に受けていれば、早期に発見できるといいます。ただし、16型と18型の感染の場合、がんへの進行が早いので注意が必要です。

ヒトパピローマウイルスの感染を防ぐのが「HPVワクチン」です。HPVワクチンは新しいワクチンのため、子宮頸がんを予防する効果はまだ確認されていません。それでも、がんの前段階にあたる病気の発症リスクを約90%以上減らすことができ、今後の子宮頸がん予防にも期待されています。
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性行為を経験する前にワクチン接種…

HPVワクチンの接種は、小児科・産婦人科・内科で受け付けできますが、念のため前もって確認してください。日本での推奨年齢は、小学6年生~高校1年生相当の女子です。はじめて性行為を経験する前にワクチン接種を受けると、高い効果があるようです。ワクチンの効果は約20年といわれています。

HPVワクチンを接種しても、20歳を迎えたら「子宮がん検診」を受診することが大切です。欧米では子宮がん検診の受診率は、70%以上であるのに、日本は約42%と低い状態です。特に、ヒトパピローマウイルスの感染や子宮頸がんの発症者が急増している若い世代の受診率の低さは大きな問題です。

検査にかかる時間は5~10分程度です。社会全体で、子宮がん検診の受診を呼びかけることが必要でしょう。

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