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医療法人
前田内科医院

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病院紹介

風邪に抗生物質は必要?
風邪は基本的には「ウィルス」で起きる上気道の炎症です。ウィルスには抗生物質は効きませんから抗生物質は使いません。
むしろ抗生物質を濫用して耐性菌(抗生物質に強い細菌)が増えてくるリスクを増やすことになり、使用を避けるべきなのです。
ただし、溶れん菌(溶血性連鎖球菌)の感染症や細菌性扁桃腺炎、(細菌性)肺炎などの時には「ウィルス」でなく「細菌」が病気の原因ですから抗生物質が必要です。
このことは欧米では1990年代、「科学的根拠に基づく医療(EBM)」の考え方が広まって特に強く主唱されるようになり、米国ではCDC(疾病管理予防センター)と各学会が一緒になりキャンペーンを行ってきました。当院ではかねてより、この方針で治療しています。
我が国でもやっと2003年に呼吸器学会が原則的に風邪では抗生物質を使わないとするガイドラインを発表しましたが、現実問題としてはまだまだ風邪に抗生物質が多く処方される医療機関が多いようです。

熱が出たときに解熱剤は必要?
発熱は、ウィルスや細菌などの外敵が体内に侵入し増殖することに対する体の反応の一つです。
むしろウィルスなどの勢力を弱めるのに役立っているものですから、無理矢理に熱を下げるのはかえってよくありません。
特にまだ免疫力の弱い幼小児の場合、解熱剤の使い過ぎでかえってウィルスが活発になり脳炎や脳症が起きるのではないかとする説もあり、注意が必要です。
当院では解熱剤は「体温が38.5度以上で、つらそうな時」だけ使ってくださいとお話ししています。例え39度あっても40度あっても、つらくなければ使う必要はありません。
また、お使い頂くお薬も幼小児の方には比較的安全とされているアセトアミノフェン製剤を処方しています。
一般にウィルスによる感染症の発熱は最初の3日間くらいが一番のピークです。(3日の間でも上り下がりし、一般に夕方~夜に上がりやすい傾向があります)その間は安静と水分補給に心がけてください。3日を過ぎても解熱してこなければ少し経過が長いことになりますから、必ず医療機関を受診してください。

熱性痙攣(熱によるひきつけ)が起きたら、以後は予防薬(座薬)が必要?
一般に我が国では一度熱性痙攣が起きれば、その後は熱が出た時に予防薬(ダイアップ座薬)を勧められることが多いと思います。
これは日本の「熱性けいれんの指導ガイドライン」にダイアップ座薬による予防について書かれているからですが、このガイドラインでは発熱時のダイアップ座薬予防投与は「15~20分以上遷延する発作があった場合」、「短時間に発作が頻発する場合」、それに「要注意因子(てんかん因子、熱性痙攣因子)が2項目以上ある場合で過去に2回以上発作を経験している場合」に適応とされています。
多くの熱性痙攣はこの適応にあてはまらない(つまりダイアップ座薬を予防に使わなくてよい)はずなのですが、一般にダイアップ座薬は必要以上に多く処方されています。(なお、ダイアップ座薬は日本のみで使われる薬で他の国にはこの形の座薬はありません。)
世界では米国小児科学会のガイドラインに代表されるように、熱性痙攣の再発予防は必要ないとされています。
ダイアップと同じジアゼパムという薬を使って熱性痙攣児への予防投与が効果があるのかないのかを調べた実験(臨床試験)の報告が複数あって、低用量では効果がないこと、高用量で効果があったものの副作用も多かったことが分かったこと、基本的に熱性痙攣の単純型は良性の性質を持つこと、などの科学的根拠(エビデンス)を基にして米国小児科学会では「予防を勧めない」と決めているのです。他の欧米の国でもこの方針が取られている国が多いのが現実です。
当院でもこの世界標準の考え方で対処していますので、通常はダイアップ座薬をお勧めしていません。ただし、15分以上に及ぶ長い痙攣や短時間のうちに何度も痙攣をくり返す場合は「複合型熱性痙攣」と言い、この限りではありません。(このような場合は、できれば小児神経内科の専門医の先生に診て頂くことをお勧めします。)
熱性痙攣に関しての詳しい情報はこちらをクリック

がん検診は有効?
がんの検診が効果があるのかないのかを見極めるには、きちんとした科学的な評価が必要です。 科学的な評価は「科学的根拠に基づいた医療(EBM)」の手法で検証して初めてなされるもので、海外ではこれらの評価がきちんとなされていて、公のホームページなどで発表されています。
科学的に有効とされているのは国際的には、子宮がん検診、大腸がん検診、マンモグラフィーによる乳がん検診の3つです。(ただしマンモグラフィーによる乳がん検診では50~69歳では問題ないのですが、40~49歳の方の場合米国がん研究所(NCI)は「10~12年後に効果が現れる」としていて、専門家の間でも意見が別れているのが実状です。日本の東北大学久道茂教授らの研究報告では50歳以上では有効な「十分な根拠」が、40歳以上では「相応の根拠」があるとしています。)
胃検診については、欧米では日本ほど胃がんが多くないため有効との評価はなされていませんが、日本の東北大学久道茂教授らの研究班の報告では検診による死亡率減少効果があるとする「相応の根拠」があると評価されていて、一般にはある程度の効果があると考えられています。
しかし、胃検診が普及してしまっている日本ではあらかじめ対象者を検診を受ける人、受けない人にランダムに分けて比較試験をできる環境にはなく、正確に死亡率減少効果がどのくらいあるのか評価するのは難しいところです。
また、バリウムによる胃検診と胃内視鏡による胃検診とではどちらがどのくらい効果があるのかなど、まだはっきりしていない部分もあります。
問題の一つは肺がん検診です。レントゲン写真と喀痰の検査で肺がん検診する方法は海外では複数の大規模臨床試験で効果が証明されず、欧米では「効果なし」とされています。海外でこの検診を行っている国はありません。
しかし、日本では症例対照研究で「相応の根拠」があるとされ、実施されています。しかし、この症例対照研究では、肺がん検診での死亡率減少効果は子宮がん検診や胃検診に比べて極めて小さなものだったことが分かっています。
そもそも「科学的根拠に基づいた医療(EBM)」では海外で行われたような大規模臨床試験(きちんとしたデザインの無作為化比較試験)が最も科学的根拠のレベルが高いとされ、日本で行われた症例対照研究はその科学的根拠のレベルは前者よりも低いものです。
「科学的根拠に基づいた医療(EBM)」の考え方では、科学的根拠のレベルの低い研究でよりレベルの高い研究の結果を覆すことは、天地をひっくり返すくらいのデータが出ないと難しいとされています。それだからこそ、海外では「効果なし」と考えられているのです。
現在、アメリカでは肺がん検診の効果を見る大規模な臨床研究が進行中です。この結果が出れば、また新たな科学的な根拠(エビデンス)が明らかになると思われますが、それまでは「効果がある」とは考えずに結果を注視すべきだと思います。
このような背景があり、当院では当面肺がん検診(二次検診)を辞退させて頂いています。
また、肺がんの場合は検診よりも禁煙により煙草から遠ざかることの方が予防効果が大きいことが分かっています。このことに早くから取り組んだ米国や英国では最近になって肺がんの死亡が減ってきています。
日本では禁煙運動は最近以前より注目されてはきましたが、先進国の中ではまだ喫煙率が高い方にとどまっています。そのため当院では禁煙運動にも力を入れています。禁煙を希望されて、なかなか禁煙できない方はご相談ください。
もう一つの問題は前立腺がん検診(PSA検診)です。当院ではこの検診も辞退させて頂いています。これについては既に読売新聞にも報道されましたし、『治療』誌に論文も掲載されましたので、そちらをご覧ください。
禁煙医師連盟のサイトへはこちらをクリック
PSA検診についてはこちらをクリック
PSA検診についての読売新聞社の記事はこちらをクリック

点滴って何に効くの?
体調が悪い時に点滴が効くとか、風邪の時に点滴するとすぐよくなるとか、よく耳にします。本当でしょうか?点滴は万能なのでしょうか?
点滴の液の中の大半が水分です。その中にナトリウムやカリウムなどの電解質、糖分などが少量含まれています。点滴の一番の目的は水分補給です。ひどい脱水の状態の時には必要ですが、栄養の代わりにはなりません。(例えば点滴の中にブドウ糖を加えた5%ブドウ糖を点滴で入れるとすると、500ccの点滴液の中の砂糖分はたった25グラムに過ぎません。)補われる水分が500ccなら点滴に2~3時間かかりますが、この場合点滴で入る水分の量はたったコップ2杯半です。体調が悪い時の万能薬でもなければ、風邪の治療にもならないのです。
下痢や嘔吐、発熱などで水分が失われやすい状態でも、多くの場合は口から少しずつ時間をかけて(湯冷ましやお茶をさましたもので)とれば、十分補給できることが多いものです。
もちろん、本当に必要な時(脱水のひどい時、意識がないなどで口から水分補給が全く望めない時、重篤な感染症で抗生物質の血中濃度を急速に高めたい時など)は点滴を行います。しかし、このような事態は稀です。
日本では「点滴信仰」が根強いと言われます。海外に比べて不必要な点滴が安易に行われているとも言われます。
当院では点滴は本当に必要な事態を除いて、なるべく不必要な点滴を行わないという姿勢で臨んでいます。

高血圧の薬は飲み始めたら一生飲まなければいけないって本当?
高血圧症の治療開始にあたって、必ずと言ってよいほど質問されるのがこの問いです。「一生飲まなければいけないから飲みたくない」と言って、治療に来られない方もおられます。
そもそも高血圧の治療をなぜ行わなければならないのでしょうか?。それはある一定の高血圧を放置した場合、きちんと内服して血圧を下げた場合と比べて、心筋梗塞などの心疾患や脳梗塞/脳出血などの脳血管障害の起きる割合が高くなるという事が科学的に証明されているからです。つまりこれらの病気を防ぐために飲んで頂くわけです。(この場合、どの程度から血圧の治療を始めるべきか、どのくらいの血圧を目標に治療すべきか、などは高血圧学会の定めた治療ガイドラインなどに従って決めています。)
高血圧症に限らず、高脂血症や糖尿病など、慢性の病気は一回の治療で治ってしまうことはありません。ある程度の期間にわたって、生活の注意やお薬でよい状態を維持することが上述の様々な病気を防いでくれることになりますから、確かにある程度の期間内服を続ける必要があるのは事実です。
でも、必ずしも一生飲まなければならないというものではなく、人によっては長い期間に血圧が下がってきて、お薬を弱いものに変えたり、場合によっては止めてもよい方も出てきます。(ただし、あくまでも医師の判断です。ご自分で判断しないでください。)
治療の初めから「一生飲まなければいけない」などと考える必要はありません。あくまでも結果としてそうなるだけであって、結果として長く飲まれることは決して悪いことではありません。
ある程度高血圧の治療を続けられ、あとで振り返って考えてみたら「長く飲んだな・・・」(無事に長く過ごせたな・・・)という思いが感慨深く浮かぶ・・・そんな姿が見られるのが理想です。そうなるよう、お手伝いをさせて頂ければと思います。それでも治療に不安のある方は、ご遠慮なさらずにご相談ください。

コレステロールは下げなくてもいいって本当?
最近、新聞や週刊誌で「コレステロールは高い方がよい」「女性のコレステロールは下げなくてよい」などと報道されることがあります。確かに医師の中にはそういう主張をする方がいることも事実です。しかし、この考えには科学的根拠が薄弱だと言わざるを得ません。
まず、第一に日本では「科学的根拠に基づいた医療(EBM)」に則った大規模臨床試験(きちんとデザインされた無作為化比較試験)がこれまで行われてきませんでした。
以前新聞に報道された『J-LIT』という日本国内の臨床研究があり、これを基にしてコレステロールはある程度高い方がよい、日本のコレステロ-ル基準値は220とされてきたがもっと高めに設定した方がよい、などの意見が出ました。
しかし、この『J-LIT』はプラセボという偽薬を使った比較試験ではなく、すべてシンバスタチンというお薬を飲まれた人のデータを集めたものです。
厳密に同じコレステロ-ル値でお薬を飲まなかった人々と飲まれた人々を比べていないのですから、仮にシンバスタチンにコレステロ-ルを下げる力以外に第2の力(心筋梗塞を防ぐ力)があれば、お薬を飲んでいてまだコレステロ-ル値が少し高めでも第2の力が働いたために心筋梗塞が起こりにくかったという可能性も否定できません。(実際、この薬の仲間は最近は血管の炎症を抑えたり、動脈硬化の進展を防いだりする作用があるということが分かってきています。)
だとすると、この仲間のお薬を飲んでいない人で同じくらいコレステロールが高い人まで「高い方がよい」と結論することはできないのです。
また、このような臨床試験でよく問題になるのはあらかじめ臨床試験に参加された方の中に初期のがんの方が混じっていると、がんが進むに連れて全身状態が悪化すると栄養状態が悪くなりコレステロ-ル値が下がるため、「低いと死亡率が高くなる」(つまり高い方がよい)という誤った結論の基になってしまうことがあることです。このことは参加された方の病状を個別につぶさに検討してみなければ分かりません。
一方、海外ではどうでしょうか。海外ではこれまで日本で行われて来なかった大規模臨床試験が数多く行われ発表されています。
これら多くの臨床研究からは「コレステロールを下げることが死亡率低下につながる」ことが証明されていますし、上述したように最近ではコレステロールを下げるだけでなくお薬(スタチン系薬剤)そのものに動脈硬化の進展を抑える作用があることが分かってきています。
コレステロールが高くない人でもお薬を飲むと心筋梗塞で亡くなる割合を低くできることが分かってきて、アメリカの医師仲間では「(このスタチン系薬剤を)健康飲料に入れればアメリカ人はもっと長生きできるのに」というジョークが流行ったくらいです。
もちろん、民族による差がありますから日本人がアメリカ人と全く同じだというつもりはありません。
確かに日本人(アジア人)は白人に比べると心筋梗塞の割合が少ないのは事実です。でも心筋梗塞が全く起きないわけではないのです。
少なくとも日本人がコレステロ-ルの多い食事を今後もとり過ぎればアメリカ国内のアジア系米国人のレベルまでは多くなる可能性があります。
「日本人だけは心筋梗塞が少ないのだからコレステロールは高くても全く問題ない」というのは科学を無視した暴論です。
少なくとも日本人によるきちんとした大規模臨床試験が行われて正確な科学的根拠が明らかになるまでは、証明しようのないことですから、それまでは世界の常識に従った方がよいでしょう。
「女性はコレステロ-ルが高くてもよい」という説は、一つは今までの海外の大規模臨床試験では対象が男性が多く女性のデ-タが少なかったこと、女性の方が男性より心筋梗塞死亡の割合が少ないこと、などが根拠になっています。
しかし、最近では女性を含んだ大規模臨床試験も多くなってきましたし、女性でもコレステロールが高ければ心筋梗塞の割合は増えます。
ただ、女性の場合は更年期までは女性ホルモンの働きでコレステロールが高くならずに抑えられていて、更年期を過ぎてからコレステロールが高くなってくる方が多いという点が特異的です。
男性が30代からコレステロールが高くなり、40代や50代で心筋梗塞を起こすとすれば、女性は50代から高くなり60代、70代で心筋梗塞を起こすということかも知れません。
女性だからコレステロールを下げる必要がないというのも科学的根拠のない暴論です。

当院でできる検査
・ 胸部X線
・ 心電図
・ ホルター心電図(24時間心電計)
・ 呼吸機能検査(レスピロメータ)
・ 腹部超音波(エコー)
胃透視(胃バリウム検査)
胃内視鏡検査(食道、胃、十二指腸の内視鏡検査)
・ 注腸検査(腸バリウム検査)
・ 各種の血液検査、尿検査、便検査
青字の項目はあらかじめ予約が必要です。

当院で行っている予防接種
1.定期接種(予防接種法による)
三種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風)
二種混合(ジフテリア・破傷風)
麻疹
風疹
日本脳炎※※
インフルエンザ(高齢者)
麻疹、風疹は平成18年4月より2回(それぞれ第1期:生後12~24月、第2期:5歳以上7歳未満の小学校就学1年前~就学一日前まで)接種する方式に変わります。併せて麻疹、風疹混合ワクチン(MRワクチン)が認可される見通しです。
※※日本脳炎については2005年5月30日に厚生労働省から健康被害の報告にあわせて「積極的勧奨の差し控えについて」という通達が出され、基本的には新しい害の少ないワクチンの導入まで控えていただくことになりました。しかし、ワクチン自体は有効と考えられるため、東南アジアなど海外に出かける方、特に強く希望される方には同意書にご署名いただいて接種する道は開かれています。
なお、日本脳炎第3期(14歳以上~16歳未満)は平成17年7月29日より廃止されました。
2.任意接種
水痘
おたふくかぜ
B型肝炎
インフルエンザ
肺炎球菌
任意接種は有料です。料金については窓口にお尋ねください。

予防接種はいずれも希望接種日の最低3日前までに窓口にご予約ください。予防接種に用いる薬液をなるべく長期保管せず、常に新しいものを使用するためです。ご理解をお願いいたします。
なお、接種当日の診察室の予約は通常の診療の予約と同様に電話を用いたコンピュータ予約ができます。
当院では薬液にはチメロサール(防腐剤として用いられる水銀)を用いていないもの、または極力少なくしたものを使っています。(ただし、チメロサールについては現時点では有害なものと断定されておらず、以前疑われた自閉症との因果関係も今では否定的とされています。WHOも必ずしもチメロサールをなくす必要がないことを発表していますので、過度に恐れる必要はありません。)