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医療法人社団 敬水会
江戸川橋鈴木クリニック

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週刊誌の話題;透析の開始

ごく最近、文藝春秋にあたかも透析は必要ないかの表題がでて、それを見た透析の患者さんが怒っていました。副題には:毎年三万七千人が人工透析患者に。しかし、そのうち一万三千人は透析を始めずに生きていける。いったん始めればやめられない治療を安易に選ぶな!透析なしで一千人の患者を救った医師の告発!
副題を読むと、椎貝先生の意図としては、まだ透析が必要ないのに安易に透析になっているということをいいたいんだろうとは思います。が、始めずに生きていけるといっても、死と隣り合わせの状態を維持しているのには変わりありません。またこの状態では仕事などの社会活動もまともに送れません。透析すれば100%生きていけるのに、仕事にも復帰できるのに。
 私も医者になって3年目、腎臓専門を始めたばかりに、尿毒症の手遅れで、2人、間に合わなかった方がいて、なくなりました。そのことをすごく悔やんでいて、患者さんが納得してもらえれば透析をしたほうが社会還元になると思って薦めています。その後は一人も手遅れはありません。
 いろいろな意見はありますが、世界水準の基準としては腎機能が15%以下(正確には体表面積補正後のクレアチニンクリアランス)で、尿毒症の症状が出れば透析にというところです。早めに透析に導入する必要性は否定されています。早く14%で透析にした場合と7%で頑張る場合は差がないことがちゃんと統計的にわかってきました。しかし、7%といっても14%でも尿毒症の症状がコントロールできなければ透析を選ぶことになっています。
透析なしで1000人の患者を救ったとありますが、一人でも手遅れで死んでいたら、悲しい話ですね。