透析患者様の血管の石灰化はすこし特異的で、コレステロールなどとは関連しません。石灰化が多ければ予後が悪いことが知られていますが、いわゆる動脈硬化に伴う血管の一番内側の内膜石灰化なのか、透析に合併しやすい真ん中の中膜の石灰化なのかはレントゲンでは判別できないので、診断からして、難しいといわざるを得ません。ＣＴで石灰化は診断できるので、あるかないかははっきりします。しかし、以前書いたように、その成り立ちもは複雑なので、実験でできるようなことと、人で起きていることとはまだ隔たりがあるようです。つまり、理由はよくわからないというのが現状です。
診断も原因も難しくても、治療の方法はいくつかあるようで、丁度そういう総説が出たので、読んでおりました。また、私自身、実際に石灰化を消した経験はあります。血管の石灰化であったり、肩の上にできた石のようなものであっても、消せました。基本的にはその患者さんの状態によって治療の選択も若干違いますが、カルシウム、リン、ＰＴＨ，を変える事。ビスフォスホネートを使うこと。までは総説と同じです。その総説にもはっきり断言できる方法はないとありますが、その通りだと思います。他にはビタミンＫを使うようですが、総説にあるように確かとはいえません。いずれにせよ、そのような論文もあるので、石灰化で、悩んでいる方にも治療法はあるとお伝えできればいいかと思います。