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医療法人社団 敬水会
江戸川橋鈴木クリニック

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透析と石灰化

透析の患者さんの死亡率で最も高いのが循環器系です。だいたい透析10年から20年の間がもっとも多いようです。心臓は筋肉が厚くなる場合と薄くなる場合があります。また、狭心症から心筋梗塞も多い合併症です。
心筋梗塞は透析の方の場合は特別な配慮が必要です。第一に冠動脈が石灰化して細くなるために特別おおいというものです。透析の患者さんでは血管の石灰化など石灰化が起きるといわれたのは40年近く昔の話です。透析自体が始まってまもなく身体の一部が骨のように石灰化するというのを最初に日本で報告したのは私が入局したときのボスでした。そんなことを宣伝するような先生ではないので、後で、先輩などから聞いた話です。でも、そういうことにいち早く気づいたということは、よく患者さんを観察しているということの裏返しですから、いい先生でした。ずいぶんたってから、リンを下げるためにチンカルとかカルシウム製剤がアルミニウム製剤に変わってからは石灰化が増えました。透析中にもカルシウムが体内に入るので、結局カルシウムはプラスバランスつまり過剰摂取状態になって血管が石灰化するのだというのが結論です。
透析患者さんの場合、冠動脈の石灰化が生命予後と関連するという研究が有名になって、皆の注目が石灰化に集まるようになりました。このことを報告したのはGoodmanという人で、昔UCLAのラボで一緒でした。もちろんGoodman先生は上の先生で、鶏の卵を使って骨とか石灰化の研究をしておりました。そんなわけで、この先生は、かなり前から石灰化に興味があったようです。後に放射線科と共同で、高速で冠動脈の石灰化が見れる機械を世界でいち早く開発し、石灰化と心筋梗塞が透析では特徴的で危険なことを示したというわけです。
なぜ特徴的に石灰化するのかはリンが高いと起こるといわれていますが、確かに試験官の中ではリンとカルシウムが濃ければ沈殿しますが、体の中で何が起こっているかは実はまだよくわかっていません。